Act.9-242 開幕! ULTIMATE EIGHT!! 第一回戦第一試合 scene.1
<三人称全知視点>
君臨する八人の戦争開催日の前日になってもトーナメント表は公開されず、君臨する八人の戦争の当日、大会の幕が開いた瞬間に君臨する八人の戦争に出場する八人の名前とその対戦カードが発表される。
出場者が事前に知ることができるのは自身の爵位のみなので、誰と対戦することになるかはトーナメント表を確認してようやく自分が一回戦で誰と戦うかを知ることになる。
ちなみに、各一回戦の対戦カードはこのようになった。
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◇一回戦第一試合
・アクア=テネーブル(一位) vs オニキス=コールサック(八位)
◇一回戦第二試合
・ラインヴェルド=ブライトネス(二位) vs プリムヴェール=オミェーラ(七位)
◇一回戦第三試合
・オルパタータダ=フォルトナ(三位) vs ディラン・ヴァルグファウトス・テネーブル(六位)
◇一回戦第四試合
・スティーリア=グラセ・フリーレン=グラキエース(四位) vs マリシア=ミッドナイトサン/白夜(五位)
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三月に入ってからも入れ替わりがかなり激しかったが、最終的にはこの対戦カードに決まった。
一試合目はアクアとオニキスの前世今世対決、二試合目はラインヴェルドとプリムヴェールという因縁のある対戦カード、三試合目はオルパタータダとディランというフォルトナ王国関係者同士の対決、四試合目はスティーリアと白夜の魔物対決と、それぞれ面白い対戦カードになっているようだ。
試合は同時並行ではなく順番に行われ、試合をする二人以外は待機室で対決の行方を見守ることになる。
戦いの舞台はバトル・シャトーの大ホールで、通常の時空騎士の戦いで使われる部屋よりもかなり広い分、戦いはよりダイナミックなものになることが予想される。いかに相手の退路を奪って攻撃を当てるかという点が勝負の明暗を分けることになるだろう。
◆
一回戦第一試合、バトルフィールドに入ったアクアとオニキスは一度も言葉を交わさずアクアは『光を斬り裂く双魔剣』を構え、オニキスは『王国騎士の剣』を鞘から抜かずに求道の霸気を裏武装闘気で創り出した剣に込めることで闇の力を宿した漆黒の長い剣を創り上げた。
求道の霸気はその身の内部に纏うことで肉体変化や特殊能力の付加が可能となる。基本的には覇王の霸気と対を成すように内部に影響を与えるものではあるが、武器などの体と直接繋がりを持たないものも装備していれば求道の霸気の影響を与えることができる。
オニキスはその技術を使って新たな武装を創り上げたのだろう。
アクアとオニキスは元は同じ人間だったが、長い時を経てその戦い方も少しずつ分岐していった。
他者に比べれば相手の手の内を理解している方ではあるが、確実に互いの知らない手の内の二つや三つは隠し持っているのではないかとアクアもオニキスも互いに警戒していた。バトルスタイルが同じである以上、勝敗を決するのは隠し球である可能性が高い。
「【天使之王】――天使化!!」
「まずは小手調だ! 迎え撃つッ!!」
上空に陣取ったアクアと迎え撃つように地面を踏み締めて逆手で剣を構えたオニキスが同時に膨大な覇王の霸気を剣に纏わせた。
翼を動かすことによって生じた推進力と重力加速を乗せたアクアの剣とオニキスの剣は決して触れ合うことなく拮抗――膨大な覇王の霸気を周囲に散らせて黒稲妻を迸らせる。
「借りるぞ、ファント!!」
「借りるぞ、ポラリス!」
アクアが地上に降りると同時に低く構えを取って剣を背に担ぐと、思いっきり剣を薙ぎ払った。
ファントの剣を見切ったオニキスは回避と同時にポラリス得意の刺突を放つが、こちらもアクアに躱されてしまう。
どちらもレベルの高い見気を持ち、更に使用できる剣技も知り尽くしているとなれば剣技という一点だけで勝利することは不可能。
恐らく、ここで圓式を使って仕掛けても対応されて終わりだろうというのが両者が見解だった。
「霸気は拮抗するし、技も知り尽くしている。……ならば、力で押し切るしかないな!」
「もう一人の俺、ちょっと考え方が脳筋過ぎじゃないか? だが、気持ちは分かる。そっちの方が分かりやすくて助かるぜ!」
オニキスは空歩を使ってアクアが得意とする空の領域に足を踏み入れた。
互いに膨大な覇王の霸気を剣に込め、アクアとオニキスは疾風怒涛の空中戦を開始する。
【天使之王】によって生じた翼で俊身を使うことで高速飛行を行うアクアと、異常な身体能力で桁違いの練度の俊身と空歩を行うことで空中に留まることが可能なオニキスは、どちらも瞬時に方向転換が可能で身動きが取り辛い空中でも地上と同様に戦うことが可能だ。
互いに本気の剣を交えつつ、生じた隙を狙うべく複雑に入り乱れながら空中で死闘を重ねるも、その戦闘力は闘気や霸気、八技などの全ての技術も合わせて丁度互角のレベル――なかなか決着はつかない……それどころか互いに擦り傷一つ相手に与えることができない。
「【劇毒之王】――劇毒八岐蛇!!」
「仕掛けてきたかッ! 防げッ! 求道の守盾!」
無機物すら汚染し侵食する【劇毒之王】本来の毒も、流石に単一宇宙レベルの強度を与えられた裏武装闘気で作り出し、求道の霸気を込めた盾を侵食するほどの力は持っていなかったようだ。
アクアの放った劇毒の竜を盾で防ぎ切ったオニキスは地上に降りてアクアから距離を取る。
「……このまま戦っていても霸気を消耗していくだけだし、そろそろ思い切った手を使うべきかな」
剣に込めていた覇王の霸気を解除し、同時にオニキスは求道の霸気を込めていた剣を霧散させて『王国騎士の剣』を鞘から抜いた。
「求道の霸気最終領域・求道神! 《極闇の騎士》!」
姿形に変化は一切ないが、オニキスの求道の霸気が最大レベルまで引き上げられ、求道神の領域に到達したことをアクアは悟った。
流石にオニキスであっても圓のように覇王の霸気と併用することはできない。しかし、単一宇宙規模の防御力を獲得できるという力は覇王の霸気を使えなくなることと引き返しにしても魅力のあるものだ。
その防御力は使い方によってはそのまま攻撃力にも変換できる。今のオニキスには生半可な攻撃は通じず、逆にオニキスを攻撃した武器の方が一瞬で打ち砕かれることになるだろう。
「そっちが防御なら、俺は攻撃に極振りだ! 覇王の霸気最終領域・覇王神! 《万象切斬する剣》!」
一方、アクアは一切の防御を捨てて覇王の霸気に一点集中――覇王の霸気を覇王神の領域まで上昇させる。
「絶対に斬ってみせる!」というアクアの意志の具現と、「絶対に守ってみせる!」というオニキスの意志の具現が衝突し、二人の剣が激突した瞬間に凄まじい衝撃波が吹き荒れた。
アクアの剣から溢れ出た漆黒の稲妻が戦場を駆け巡る中、アクアとオニキスの剣は拮抗を続ける。
永劫にすら思える長い拮抗の末、砕け散ったのはオニキスの求道の霸気の方だった。
最早、全ての霸気を使い切ったオニキスには武装闘気一つ纏う力も残されていない。
オニキスは最後の抵抗のつもりでアクアに斬撃を放つも、見気の未来視と紙躱を併用したアクアに攻撃を躱された。
オニキスはそのまま覇王の霸気を纏った剣で胴を両断され、無数のポリゴンと化して消滅する。
「……はぁはぁ、ギリギリだった。今日はもう闘気すら纏うことができそうにないな」
オニキスに斬撃を放ったところでアクアの霸気も尽きており、もしオニキスに攻撃を躱されていれば勝負の行方は分からなかっただろう。
アクアはどこからともなく聞こえる勝利コールを聞きながら冷や汗を拭った。
――第一回戦第一試合 アクア vs オニキス。アクアの勝利。
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