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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-237 第四王子ヴァンと婚約者スカーレットのデート〜完全予約制クラブ『クラブ・アスセーナ』のプレオープン〜 scene.1

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 ラインヴェルドと琉璃の戦いはラインヴェルドの勝利で終わったので順位の変動は無し。

 君臨する八人の戦争アルティメット・エイトまではまだ時間があるし、とりあえず危機は脱したラインヴェルドだけど、まだまだ油断できない状況が続いていく。


 今回勝利できた琉璃も含め、警戒すべき相手はまだまだ沢山いる。

 奪われたらまた取り返せばいい……まあ、そういう考え方もあるけど、やっぱり君臨する八人の戦争アルティメット・エイトに出場するなら今から三月までずっと防衛し続ける、或いは更に上を目指すくらいの気概を持ってもらいたいよねぇ。


 一月七日の琉璃とラインヴェルドの決闘(デュエル)という名の大規模イベントも終わり、今晩からはいよいよ完全予約制のクラブ『クラブ・アスセーナ』のプレオープンとなる。

 一日目となる今晩はヴァンとスカーレットの二人だ。二人にはスカーレットの就業時刻から十分後にヴァンの執務室で落ち合う手筈になっている。


 『クラブ・アスセーナ』の厨房には食材を揃え、何度も試食を重ねて準備完了。

 後はいつも通り王女宮筆頭侍女の執務をするだけだ。


 その日の王女宮の仕事はいつも通りの内容でトラブルが起こることもなく平和な時間が続いた。

 いつもと違うことがあったとすれば、昼頃に冒険者ギルドのイルワとモレッティ、使用人ギルドのギルド長であるアダルジーザ=エウリュノメからメールが三通届いたことだけかな?


 文面が違うだけで内容は全て同じ。この顔触れから何となく察しがつくと思うけど、ボクがギルドに提案したクランシステムについての交渉が無事に終了したという内容だった。

 ボクの提案は概ね通ったものの『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の扱いに関しては当初ボクが考えていたものから少しズレたものになるらしい。……まあ、結果としては同じことなんだけど、そこに至る過程が少し違うと言ったら伝わるかな?


 まず、異世界から召喚された四人がギルド『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の存続を求めた。しかし、このまま冒険者ギルドとの間で利権の衝突が起きてしまう。

 そこで、冒険者ギルドは『不死鳥の尾羽(フェニックス)』との話し合いの場を設けて交渉し、その結論として活動を特例として認めることとした。


 だが、そうなると困ることも出てくる。『不死鳥の尾羽(フェニックス)』のように冒険者ギルドの枠から脱して一旗上げたいと考える冒険者達だ。もしそういった者達が出現した場合、冒険者ギルド側はそれを認めるしかない状況にある。

 異世界から来た『不死鳥の尾羽(フェニックス)』という新参者ばかりを優遇して、何故、俺達は、私達は……っていう彼らの主張を真っ向から打ち破れる正論が冒険者ギルド側には用意できないからねぇ。


 そこで登場するのがクランシステムだ。その内容は草案からほとんど変わらないけど、改めて内容を確認しておこうか?


 まず、冒険者ギルドを解体し、クラン評議会と冒険者ギルドの二つを組織として置く。

 冒険者ギルドはこれまでの職務に加えて新たにクラン結成に関わる業務を始めることになる。

 一定レベル以上……具体的に言うとパーティの平均ランクがBランク以上ということになるそうなんだけど、そのレベルに達したパーティにクラン結成の権利が与えられる。


 クランの特典にはクラン評議会が一部費用を負担することで比較的安く購入可能なクランハウスの購入権と、クランハウスでの事務仕事や施設管理を引き受ける事務員や使用人の斡旋、直接依頼を受ける権利の三つがある一方、クランにはデメリットも存在し、毎年定額の料金をクラン評議会に納めることが求められ、万が一滞納してしまうと一年でクラン特典の凍結とクランハウスの差し押さえ、三年でクラン資格の抹消と所属していた全員の冒険者資格の取り消しが行われることになる。

 少しキツイように思える条件だけど、クランを運営できる資格がないと自覚したなら冒険者ギルドでクラン解散の手続きを行えばいい。それをしないで三年分も滞納するって悪意をもってやっている以外に考えられないからねぇ。一応、二年目の時点でクラン評議会から最後通牒も行われる形になっているし、この手の組合の中では随分と優しい方針だと思うよ。


 後はクラン評議会の会合に出席しなければならないとかあるけど、それも草案から変化していないから割愛。

 で、結局何が違うかっていうと冒険者ギルドは『不死鳥の尾羽(フェニックス)』をクランの一つとして数えるのではなく、魔法師ギルド『不死鳥の尾羽(フェニックス)』としてクラン評議会の内部に組み込むことに決めたということだ。まあ、扱いは今後冒険者ギルドから結成されることになるだろう他のクランと何ら変わらないんだけどねぇ。


 ちなみに、今朝の時点で全冒険者ギルドで冒険者ギルド内部の改革とクランシステムについての情報公開が行われ(冒険者ギルドの依頼掲示板にチラシ(ビラ)が貼られた他、各地のギルドマスターが所属する冒険者達の前でギルド内の改革とクランシステムについて説明してくれたらしい。本当に頭が下がるねぇ)、二件の申請が既に上がっているみたいだ。


 申請したのはアトラマ=ゲインバード率いる『烈風の旅人』とクレスセンシア=クロッカス率いる『紅の華』の二つの冒険者パーティで、ヴァケラー=ヴォルゴトール、ジャンロー=ジャルー、ディルグレン=プロドガンドの三人が共同代表を務める冒険者チーム『三つ首の狗狼(ケルベロス)』の申請は無し。

 まあ、ヴァケラーが現在も冒険者ギルドの人事部スカウト課所属であること、参加している全員が持ち家か馴染みの宿を持っていてクランハウスを必要としていないこと、などが理由としてあげられるだろう。まあ、全員時空騎士(クロノス・マスター)だしお金にも困っていないからクランシステムの恩恵はほとんどないに等しいしねぇ。


 ところで、何故『烈風の旅人』と『紅の華』がこんなにもあっさりとデメリットがあることも承知の上でクラン設立を決められたかというと、クランシステムを根付かせることで『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の四人を助けたいというアトラマとクレスセンシア達の善意の他に、クラン評議会に納める料金がそれほど高くないという点が大きいんじゃないかと考えている。

 実はクラン評議会に支払う年会費は時空騎士(クロノス・マスター)の一ヶ月分の最低給与と同等程度。アトラマ一人でも十分に払える程度の金額だ。これは、今後所属するクランが増えることでクラン評議会と冒険者ギルドの運営が安定することを狙い、あえて安く設定しているんだけどねぇ。足りない分はボクが支援金を出しているけど、クランが増えて来れば支援金を出さなくても良くなると思う。


 まあ、『烈風の旅人』と『紅の華』が広告塔を引き受けてくれたことと(まあ、ボクから依頼した訳じゃないんだけどねぇ。その善意にはしっかりと感謝しないと)、冒険者ギルドがしっかりと広報をしてくれたおかげで今後はクランも続々増えていくんじゃないかな?



 プリムラの就寝を確認し、王女宮での仕事を終えてから(日によってはここから書類仕事ってこともあるんだけど、ヴァンとスカーレットを待たせる訳にはいかないから明日に回したよ)、ボクは王子宮へと向かった。

 アルマの執務室はまだ明るい……頑張っているみたいだねぇ。


 それ以外の部屋は真っ暗でレインとクレマンスの執務室にも人気が無かった。二人とも王子の専属侍女だからいつも大変そうにしているけど(まあ、レインは王子宮筆頭侍女を兼任している頃に比べたらまだマシになったんだけどねぇ)、今日は無事に就寝できたみたいだねぇ。


 暗い廊下を蝋燭一つ持たず、見気と感覚だけを頼りに第四王子の執務室へと歩いていく。

 僅かに明かりが灯ったヴァンの執務室に到着し、ノックを四回。扉が開き、姿を見せたのはスカーレットだった。

 部屋の中にはヴァンが一人だけ……どうやら、エルメンヒルデには先に帰ってもらったみたいだねぇ。


「ヴァン殿下、スカーレット様、準備はできておられますか?」


「ああ、勿論夕餉も抜いて準備は万端だ」


「……あまり空腹だと美味しく召し上がることはできないと思いますよ」


「エルメンヒルデにもそう忠告を受けた。助言に従って軽食を少しだけ食べたが、それが呼び水となって今はとてもお腹が減っている。今日を俺はとても楽しみにしていた。圓殿の最高の料理、早く味わってみたいな」


「私もですわ。ヴァン様と二人で圓様の本気の料理を味わえるなんて夢みたいです」


「そんなに喜んでくれるなんて嬉しいねぇ。じゃあ、待たせても申し訳ないしバトル・アイランドへ行こうか?」


 《蒼穹の門(ディヴァイン・ゲート)》でバトル・アイランドに転移する。

 煌々と明かりが灯り、夜でも活気を失わないバトル・アイランドをバトル・ルーレット方面へと歩いていく。


 カジノをイメージしたバトル・ルーレットの周辺も他の区画と違わず多くの建物が軒を連ねている。


 多くの時空騎士(クロノス・マスター)の希望を聞き、二十四時間体制になってからは他の区画と同時期にこの区画にもポイントかARC(アーク)のいずれかで宿泊できるホテルが設置された。


 それ以前からポイントのみに対応している高級路線の服飾店、宝飾店などが数多く入っていた区画だけど、このエリアにホテルが設置される以前は食べ歩き向けの屋台を除けば食事を取れるレストランが一軒しかなく、「他の区画に比べてレストランの数が少ないし、施錠されて入れない扉のある建物の数も多いから、実はここに完全予約制のクラブ『クラブ・アスセーナ』があるんじゃないか?」って実しやかに噂されていたけど、その予想は大当たり。

 実は『クラブ・アスセーナ』はバトル・ルーレットの区画内にある施錠された扉の建物の一つから入ることができる。……まあ、それを知ったところで予約していなければ店は空いてないし、食事もできないから意味は無いんだけどねぇ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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