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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-235 【同盟大公】防衛戦〜ラインヴェルドvs琉璃〜 scene.2

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 ビアンカ、バルトロメオ、ヴェモンハルト、ルクシア、ヴァン、プリムラ、レインを観戦室へと案内し、紅茶とケーキをサーブしている間にどうやらラインヴェルドと琉璃はバトルフィールドに入ったようだ。


 琉璃は本来の姿ではなく人間体で施設長(アイランド・ブレイン)選定戦の時と同じように『黒扇・霈』を右手に持っている。

 一方、ラインヴェルドは『国王陛下の燦煌双剣サンクトゥス・レガリア』を鞘から抜き払った二刀流の構えで、既に聖紋を開放して二刀に宿している。


 ブライトネス王国の国王としてはまさに本気の解放というべき段階だけど、琉璃もラインヴェルドも闘気や霸気は一切纏わせていない。

 この様子だと恐らく二人が臨戦態勢に入るのは二人が攻撃を仕掛けるギリギリのタイミングになるんじゃないかな?


『突然の申し入れでしたのに、随分と余裕そうですね』


「いや、新年早々挑戦状を叩きつけられた時は内心ヒヤヒヤしていたんだぜ。琉璃のことは正直ノーマークだったしなぁ。だが、施設長(アイランド・ブレイン)選定戦のおかげで今の琉璃の力を把握することができたってのは大きかった。……それじゃあ、そろそろ暴れようぜ? 話していても何にもならないしなぁ」


『……相変わらず戦闘狂な国王陛下ですわね。――時空騎士(クロノス・マスター)同盟公爵(デューク)の琉璃! 押して参ります!!』


時空騎士(クロノス・マスター)同盟大公(グランデューク)のラインヴェルド=ブライトネス! 全力で迎え撃つぜ!!」


 互いに名乗りを上げた瞬間、琉璃とラインヴェルドは『黒扇・霈』と『国王陛下の燦煌双剣サンクトゥス・レガリア』に武装闘気と膨大な覇王の霸気を纏わせ、全身に求道の霸気を纏い、俊身と神速闘気を併用してまるで鏡合わせのように加速――扇と剣が振るわれ、覇王の霸気の衝突の現象が発生し、互いの武器が触れ合うことなく拮抗、膨大な覇王の霸気が黒い稲妻と衝撃波と化して戦場を駆け巡った。


「だ、大丈夫かしら……お父様」


「プリムラ、戦いはまだ始まったばかりですよ。……しかし、凄まじい霸気ですね。恐らく、ブライトネス王国の騎士団に所属する騎士の中にもあのレベルの霸気を浴びて意識を飛ばしてしまう者はいるでしょう。あれほどの力の衝突すら軽い小手調なのですから恐ろしいものです」


 戦いに疎いビアンカやプリムラへの解説を引き受けたヴェモンハルトも冷や汗を流しながら映像を眺めている。

 ヴェモンハルトほどの実力があればあの一撃で昏倒することはないだろうけど、あれほどの物理的な破壊力を生む覇王の霸気の衝突に多少怯んでしまっているんじゃないかな? まあ、『王の資質』を持つヴェモンハルトとルクシアの二人掛かりの覇王の霸気すら余裕で粉砕してしまうラインヴェルド相手に張り合っているんだから琉璃って側から見たら相当恐ろしい実力者ってことになるよねぇ。まあ、実際にそうなんだけどさぁ。


「……しかし、この戦いどうなるのでしょうか? 私の記憶だとお父様の得意属性と琉璃様の相性は最悪だった筈ですが」


「あら? ラインヴェルドも聖人に至って獲得した神聖属性に加えて火、水、風、土の四属性を扱えたわよね? あの子、水属性に相性のいい土属性で仕掛けていくんじゃないかしら?」


「お婆様、確かに父上は四属性全てを扱えます。ブライトネス王国の王族は基本四属性全てを扱えますからね。ただし、その中でも得意不得意があります。そして、父上の得意属性は火と光属性系統です。……相性が不利な火属性では勝ち目が薄い。では、水属性に相性のいい土属性であれば勝てるかというと相手は水の精霊王すら凌駕する力を持つ異世界の最強の水精霊……正直、小手先の技で勝てるとも思いません。属性的には不利な状況で父上がどう立ち回るか、それが今回の勝負の注目すべき点だと思います」


 ヴェモンハルトはやっぱり自分が魔法使いだから魔法戦に重きを置いているけど、ラインヴェルドは割とオールラウンダータイプだからねぇ。今回の試合、魔法という一つの力のみで計れるものではなくなるとボクは思っているんだけど、さてどうなるのか? 楽しみだねぇ。


水精霊の暴流ハイドロ・アクシズバースト


 大量の水を止め処なく発射して水圧で対象を撃破する水の精霊琉璃の原初魔法をラインヴェルドは見気と紙躱を使って一切無駄のない動きで躱し切ると、漆黒の稲妻と化した膨大な霸気を双剣に宿し、連続で薙ぎ払いを放った。


「二連・惟神(カンナガラ)!!」


『――ッ!? 覇王の霸気を纏った飛ぶ斬撃!! ならば、届く前に打ち砕くまで! 砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)!」


 対する琉璃は武装闘気を衝撃波として放つことで吹き飛ばす武気衝撃を応用して衝撃波を槍の形状に打ち出して攻撃する遠当ての技に膨大な覇王の霸気を乗せて放ち、覇王の霸気の飛ぶ斬撃を粉砕した。

 ラインヴェルドの「惟神(カンナガラ)」は覇王の霸気を纏わせて薙ぎ払い、斬撃を飛ばす「神威神退(シンイカムサリ)」の派生で敵に命中するタイミングで膨大な黒稲妻を撒き散らすというものだった。もし、直撃で喰らえば流石の琉璃の求道の霸気も突破され、かなりのダメージを全身に浴びることになったんじゃないかな?


「なんなんだ、あの技!? 聞いてねぇぞ!」


「……見たことがない技ですね」


 バトルフィールドで叫んでいるラインヴェルドと同じくヴェモンハルト達も「砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)」を見たことが無かったらしく、持っている知識を総動員しながら技の原理を読み解こうとしているようだ。……そういえば、この技を教えたのってボクの従魔達とビオラの裏の三大勢力だけだったっけ?


「恐らく武装闘気の衝撃波を利用した遠当ての技でしょうね。……名前からして、一つの城を粉砕できるほどの槍というところでしょうか?」


「一つの……城を……」


 ルクシアの推測を聞き、プリムラの顔が真っ青になってしまった。

 ……まあ、確かに怖いよねぇ、城一つを破壊してしまう攻撃なんて。


 戦いから縁遠い世界で暮らしてきたプリムラやビアンカにとっては戦いの世界は恐怖の対象でしかないんだと思う。……だからといって知らなくていいと言っていいのだろうか? とも思うんだ。

 ボクはでき得るならボク達の身を置く戦いの世界にプリムラは関わって欲しくないんだけど、そうは言っていられない時が必ず来る。……今回のラインヴェルドと琉璃の試合の観戦、正直あんまり良い選択ではないと思っていたけど、そう考えるとプリムラが自ら見たいと言い出してくれたんだから良い機会だったのかもしれないねぇ。


「問題はあれが武装闘気単体で『砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)』なのか、覇王の霸気を纏わせた状態で『砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)』なのか、だな」


「ヴァンの指摘は重要ですね。……恐らく前者だと思います。霸気を纏わせた状態で放たれたあれは城以上のものも陥落させられるほどの力を秘めていたと素人目にも見えました」


「……皆様、発言をお許し頂けないでしょうか?」


「レイン、そう畏まる必要はありませんよ。貴女は侍女として着いてきたつもりなのでしょうが、貴女はヴェモンハルトの婚約者です。いずれは家族となるのですから、そう畏まらずに会話に入ってもらえると嬉しいわ」


「王太后様、勿体ないお言葉でございます。……先程の『砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)』ですが、重要なのは武装闘気のみで使用可能な技であるという点にあると思います。皆様は覇王の霸気が合わさることによってより強力な技となるという点に重きを置かれているとお話を聞いていて感じました。私を除くこの場にいらっしゃる王家の皆様が開花しているか否かはさておき『王の資質』を持つ方々ですが、そういった人間は寧ろ少数です。後天的に資質が獲得できるとはいえ、覇王の霸気を使えるのはほんの一握りの選ばれた方々のみ。しかし、武装闘気は全ての人間に潜在的に備わっている力です。あれほどの技を誰もが使える可能性があるという点が『砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)』の真の恐ろしさなのではないでしょうか?」


「レインの言う通りね。闘気系を使える人でも得意不得意は確かにある。でも、武装闘気は基本的に鍛えれば誰もが習得できる力。覇王の霸気のような一部の人しか使えないものとは違い、誰もがあの『砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)』という技を使える。……恐ろしいことよねぇ、アネモネ閣下」


「あの技を発案した私にそれを言われますとなかなか答えに困りますねぇ。……話を伺っておりましたが、皆様の洞察力に感嘆致しましたわ。『砕城覇槍(サイジョウ・ハソウ)』に欠点があるとすれば、武装闘気を一定レベル以上まで鍛え上げなければならないということでしょうか? あれは、武装闘気の上位技術を使用した技ですからねぇ」


 それに、あれは思っているほど利益ばかりの技でもない。……流石にこの点には気づいていないようだけど。

 武装闘気を打ち出すということはそれだけの武装闘気を消費しているということ。勿論、常人がやれば一発撃つのが精々のロマン砲だ。


 あれを連発できるのは闘気の量と質が尋常ではないからこそ。

 ……まあ、でもあれくらい連発できないんじゃ、多種族同盟の上位の戦力には到底なることなんてできないけどねぇ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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