Act.9-231 バトル・アイランドにて〜時空騎士適性試験と新人強化基本訓練〜 scene.4
<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>
フリオ、ゼルドマン、シャルル、ジャッロが脱落し、残るはアトラマ、ベンヤミン、ザックス、クレスセンシア、ロウェナ、ヴィルジニー、アーデルトラウト、ルドヴィカ、ジギタリス、アニエス、リュビア、シャルティローサとなった。……まだまだ敵陣営の人数は多いねぇ。
「《蒼穹の門・飛閃神威》」による不意打ちで残りのメンバーを仕留めていってもいいんだけど、それじゃあ意味がないからねぇ。実力を見極めるためにも一回ずつくらいは攻撃してもらわないと。
「――槍拿水・双水!」
『冥王の心臓』のアジトでの戦いで使うことは無かった魔槍「グラン・インパクト」をリュビアは構え、武装闘気を纏わせて硬化……いや、あれは「黒刀化」か。
膨大な武装闘気を吸わせることで黒刀化させ、更に膨大な水を纏わせる。
しかし、あの水……魔元素を使用するリュビア達の世界の魔法の他にこの世界の魔力も感じられる。
先程のシャルティローサとの修行の間にこの世界の魔法の使い方を教えてもらったのかな?
「三重激流飛刃!」
そのまま槍を構えて突撃攻撃を仕掛けてくる訳ではなく、まずは「三重激流飛刃」を放ってどこまで通用するのか様子見をするつもりみたいだねぇ。
リュビアにとっては挨拶程度の攻撃なんだろうけど、武装闘気を硬化させてコーティングし、内部に膨大な神光闘気を込めている。『冥王の心臓』のアジトでの戦いの時と比べて格段に破壊力が増しているから様子見の攻撃と侮ったら痛い目を見ることになりそうだ。
「三連雷爆飛斬!」
三つの雷の刃を飛ばすオリジナルの雷属性魔法に武装闘気と覇王の霸気を込めて放ち、「三重激流飛刃」を全て打ち砕く。
一瞬にして全ての「三重激流飛刃」が撃ち落とされてもリュビアは一切臆することなく槍を構え、地を蹴って加速――俊身と神速闘気を駆使して一気にボクとの距離を詰め、激流を纏った刺突を放つ。
「強化・物理攻撃上昇! 強化・魔法攻撃上昇!!」
ルドヴィカの援護を受けたリュビアの刺突に対し、ボクは武装闘気と覇王の霸気を纏わせた剣で刺突を繰り出して真っ向から受け止める。
しかし、相手は流動する水――刺突を受け止めても纏った水と込められた武装闘気は防ぎきれない。
水の方にも何かしらの対策は必要だけど、勿論無策で刺突を受け止めた訳ではない。
刺突を受け止めると同時にリュビアの武装闘気を上回る量の膨大な武装闘気を消費した武気衝撃で纏っていた激流を纏めて吹き飛ばすと、バランスを崩したリュビアに圓式の斬撃を叩き込む。
「リュビアの刺突を……でも、まだ負けていません! 激流之身体」
武装闘気を纏った攻撃は実体に到達する――この武装闘気の性質を武装闘気を習得したリュビアが知らぬ筈がない。
恐らくリュビアは武装闘気を纏うことによる武装闘気の相殺を狙ったんだろうけど、武装闘気だけでなく覇王の霸気も纏ったボクの斬撃を武装闘気一つで耐え切ることもできず、胴のところで両断されたリュビアは無数のポリゴンと化して消滅した。
まあ、武装闘気単一でも練度の差があったから容易に武装闘気による防御を貫けていた可能性は高いんだけどねぇ。リュビアも今日初めて闘気の扱いを学んだばかりだし、初日でこれだけ扱えているんだからこれから相当強くなると思うよ。
「大鎌鼬竜巻斬!」
リュビアを撃破したタイミングでアトラマは遠距離から風の刃で構成された竜巻を掌から放ってくる。
勿論、竜巻は全て武装闘気でコーティング済み……それもかなり膨大は武装闘気を竜巻に込めているみたいだねぇ。この一撃に全てを賭けてきたってことか。
「ウチも加勢するんよ! 極大の魔弾!!」
一方、背後からは膨大な魔元素と武装闘気を弾丸に収束させたアニエスが強力な一撃を叩き込んでくる。
さて、どうしようか? この位置から一歩も動かずにどちらにも対処することはできるけど、もっと効率良くどちらか一人を撃破できる方法はある。……まあ、丁度良い位置関係だし同士討ちしてもらいますか。
「弾力空気」
風魔法に弾力を持たせることであらゆるものを触れた瞬間に勢いよく弾き飛ばす「弾力空気」を駆使してアニエスとアトラマの攻撃の射線上から脱出する。
あのまま二人の射線上にいれば挟撃は成功したけど、攻撃の射線上から上手く外れればアニエスの攻撃はアトラマへと向かい、アトラマの攻撃はアニエスへと向かう――つまり、同士討ちの構図が完成する。
今回はアニエスの攻撃の威力が優ったため「極大の魔弾」が「大鎌鼬竜巻斬」を貫通し、アトラマを木っ端微塵に吹き飛ばした。
「ダークマター・フェイク」
「極大の魔弾」は全ての魔元素を込める最後の一撃――それを撃った今、アニエスに使える魔元素を使用した魔法は存在しない。
援護しようとしたのが裏目に出てアトラマを撃破してしまい、僅かに動揺しているアニエスを狙い、暗黒物質を顕現して勢いよく地面から噴き上げる闇属性魔法を放つも、アニエスは見気で攻撃を察知したのか「ダークマター・フェイク」を躱されてしまう。
「ダークマター・フェイク」
まあ、でも回避される可能性は織り込み済み。躱した先を狙って再度「ダークマター・フェイク」を発動してアニエスを仕留める。
さて、残りはベンヤミン達とザックス、クレスセンシア、ロウェナ、ヴィルジニー、アーデルトラウト、ルドヴィカ、ジギタリス、シャルティローサか……大分減ってきたねぇ。いや、まだまだかな?
「ロウェナ、ヴィルジニー、アーデルトラウト、ルドヴィカ! 一気に仕掛けるわよ!」
「「魔力融合・晴天の激降霹靂!!」」
挨拶代わりにしては相当物騒過ぎるように思えるけど、ロウェナとアーデルトラウトが魔力を融合し、膨大な青い雷撃を纏った大量の水を滝の如く降らせる。
回避しようと俊身を使おうとした瞬間、クレスセンシア、ヴィルジニー、ザックスが一斉に俊身を使って肉薄し、攻撃を仕掛けてきた。
なかなか厄介な包囲網だ。……これは、簡単には突破させてはくれないみたいだねぇ。
ソフィスの魂魄の霸気《黒百合の眷属》の派生――《血動加速》を使用しての強引な突破(《八百万遍く照らす神軍》の《太陽神》による光速移動っててもあるけど、それはやり過ぎな気がするから今回は無し)も可能ではあるけど、折角接近戦を挑んでくれているし、ここで纏めて撃破してしまおうか。
……とその前に――。
「術式霧散」
邪魔な「晴天の激降霹靂」を分解して双剣を翼の如く広げて構える。
「俊身×神速闘気! 霊焔ノ浄太刀! 武装闘気硬化! 武流爆撃×神光闘気ッ!」
「武装闘気硬化! パワーアップした僕の剣を魅せてあげるよ! 盗力の太刀!!」
「武装闘気硬化! 緋剣流・紅一閃!!」
ザックスは霊力を変化させた焔を武装闘気で黒く硬化させた剣に纏わせ、斬撃を放つと同時に内部に武装闘気を神光闘気と共に流し込んで内部破壊を狙うつもりみたいだねぇ。
クレスセンシアとヴィルジニーはどちらも武装闘気で武器を黒く硬化させた状態でそれぞれの得意技を放つつもりのようだけど、ここから斬撃を放つと同時に「武流爆撃」で内部破壊を狙ってくる可能性もあるから油断ならない。
「圓式独創秘剣術 三ノ型 火喰-Higurai-!」
まずは圓式独創秘剣術三の型でザックスの剣に宿った炎を絡め取りつつ斬撃を受け止めた瞬間に武気衝撃を放って体勢を崩させ、態勢が崩れたところに太刀を覆い尽くすように浄化の性質が付与された霊力を伸ばして巨大な大剣へと変化させ、振りかざして両断する「桃郷一刀流壱之太刀・桃式山崩し」を放ってザックスを撃破する。
武装闘気を武器に集中させていたためか、肉体の方には全く武装闘気の強化がなされていなかった。
流石に武装闘気による強化がなされていたら厳しかったけど、生身の状態なら霊力だけで十分だったらしい。双剣に武装闘気を纏わせずとも容易く頭から真っ二つに両断することができた。
ザックスのポリゴン化を横目で見つつ、続いてクレスセンシアとヴィルジニーの剣目掛けて「ダブルディスターバー・デュアル」を放って二人の魔力を暴発させる。
武装闘気による物理強化と魔力が消滅しただけでなく暴発によりクレスセンシアとヴィルジニーは大きなダメージを負った。特に持ち主のを強制的且つ過剰に引き出して斬撃に乗せるという効果がある『緋刀エカルラート』と「ダブルディスターバー」の相性は最悪で、剣に込められた膨大な魔力と武装闘気が暴発したことでクレスセンシアの体の三分の二以上が今の一撃で消し飛んだ。
「水癒の慈愛!!」
「光の治癒!!」
ロウェナとルドヴィカが必死でクレスセンシアに治癒魔法を施すけど、流石に身体の三分の二を吹き飛ばされた状態からの回復は二人の力を持ってしても不可能だったようで、クレスセンシアの身体からのポリゴン流出は止まらず、瞬く間に無数のポリゴンと化して消滅した。
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それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。
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