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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-228 バトル・アイランドにて〜時空騎士適性試験と新人強化基本訓練〜 scene.1

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 王女宮の業務を終えたタイミングで三千世界の烏を殺し、早朝の冒険者ギルドに入る。

 いつもは王女宮筆頭侍女の職務の次にビオラ商会の業務だけど、今回は勿論、新人時空騎士(クロノス・マスター)達の基礎訓練と時空騎士(クロノス・マスター)候補者達の適性試験、琉璃との施設長(アイランド・ブレイン)選定戦の方が優先だからねぇ。


 冒険者ギルドの中はかなり騒がしくなっていた。

 何か揉めているなぁ、って思ったら元『冥王の心臓(デーモン・ハート)』の九冥公のリュビアとアニエスに『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の面々が殺意を向け、戦闘勃発スレスレのところにヴァケラー達冒険者が何とか止めに入っているというかなり切迫した状況だった。……目的地は同じだし、一箇所に集めればいいかな? って安易に冒険者ギルドを集合場所にしたけど、もう少し時間をズラすとか何かしらの細工をするべきだったかもしれないねぇ。


「既に集まっているようですわね。おはようございます、アトラマ様、ベンヤミン様、ザックス様、クレスセンシア様、ロウェナ様、ヴィルジニー様、アーデルトラウト様、ルドヴィカ様、ジギタリス様、アニエス様、リュビア様、フリオ様、ゼルドマン様、シャルル様、ジャッロ様」


「……アネモネ閣下、なんで何も無かったみたいな態度で冒険者ギルドに入ってくるんですか!? こっちは大変だったんですよ! もうこれは霸気を使って昏倒させるしかないのかもしれないと何度も思ったんですから!!」


「いっそ霸気で纏めて昏倒させたら良かったんじゃないですか? ……さて、フリオ様、ゼルドマン様、シャルル様、ジャッロ様、『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の皆様の気持ちが分からないという訳ではありません。『六魔修羅道(グラズヘイム)』と『冥王の心臓(デーモン・ハート)』との戦いで『不死鳥の尾羽(フェニックス)』は大きな傷を負いました。……しかし、彼女達は『不死鳥の尾羽(フェニックス)』と抗争を起こす以前の世界から来ています。『不死鳥の尾羽(フェニックス)』に敵意を持たれていると言われても全く身に覚えがないことなのです。それに、お三方は私の勧誘に応じて『六魔修羅道(グラズヘイム)』と『冥王の心臓(デーモン・ハート)』から脱退しています。……その判断が誤っているとお考えなら責めるべきはお三方ではなく私なのではありませんか?」


「……それ、霸気を纏いながら言うことじゃないと思うんだけどな」


「ヴァケラーさん、何か仰りましたか?」


「……いえ、何でもありません」


「ということで、今後は時空騎士(クロノス・マスター)の同僚として共闘する機会もあるのですから適度に仲良くしてくださいねぇ」


 ここまで言ってもアニエスとリュビアに対してはまだ僅かに敵意を持っているようだったけど、ジギタリスに対する敵意については完全に消えたみたいだ。

 まあ、『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の面々もジギタリスにはかなり同情していたからねぇ。

 「『神毒の身体(ゴッドヴェノム)』から解放されたんだな! 本当に良かったな!」と我が事のように喜ぶフリオ達……まあ、自ら闇ギルドに所属することを選んだ二人と闇ギルドに参加するしか無かったジギタリスじゃ印象も全然違うよねぇ。


「メンバーは集まったのだろう? ……正直この時点で納得できない部分もあるが。それで、ここからはどうするのだ?」


「……はぁ。この時点で察しが付いていると思いますが、冒険者ギルドは集合場所であって試験会場ではないのでまずは試験会場に移動します。それでは、サクッと転移しますよ。《蒼穹の門(ディヴァイン・ゲート)》」


 複数のナイフを投げて参加者全員を《蒼穹の門(ディヴァイン・ゲート)》で転移させる。

 行き先は勿論バトル・アイランド――まあ、琉璃が希望する施設長(アイランド・ブレイン)選定戦と同じ場所っていう時点でここへの転移は想像がついていたよねぇ?


「さて、皆様はこの場所をご存知ですか?」


 ジギタリス、アニエス、リュビア、フリオ、ゼルドマン、シャルル、ジャッロ――『大魔闘時代最後の騒乱〜闇を照らす不死鳥の光〜』出身の面々はともかくまさかアトラマ達も知らないとはねぇ。……ここまで認知度が低いとは流石に思わなかったよ。


「皆様、ご存知ないようなので説明させて頂きます。ここはビオラ=マラキア商主国の沖合に作られた人工の島、バトル・アイランドです。ジギタリス様、アニエス様、リュビア様、フリオ様、ゼルドマン様、シャルル様はこの世界の地理にお詳しくないと思いますので後ほど簡単な地図をお渡しします。まあ、島にはパンフレットも置かれていますし、案内看板を見て頂いても分かると思いますが、ここは一言で言ってしまえば戦いに飢えた大人達のテーマパークです。いくつかバトル施設があり、その施設のルールに沿った戦いを楽しむことができます」


 全員にパンフレットを渡しつつ、一つ一つの施設を簡単に説明していく。

 闘争心と競争心の強いフリオとジャッロは早速「どっちが先に施設全てを制覇できるか勝負だ!」と張り合い始めている。他の面々も大なり小なり興味を持ってくれているみたいだねぇ。


「ここは別に時空騎士(クロノス・マスター)専用の施設ではないのですが、時空騎士(クロノス・マスター)以外のお客様は少ない状況が続いています。ただ勝負を楽しむだけでなく勝敗などに応じてポイントを得ることができ、そのポイントを金券と交換したり、ここでしか手に入らない品物と交換することもできるので是非ご友人などにお薦めしてもらえると嬉しいですねぇ。…….さて、色々と施設がありますが本日はバトル・アリーナ、バトル・シャトー、バトル・ライブラリー、バトル・サブウェイ、バトル・ダンジョン、バトル・ルーレット、そのいずれの施設にも行きません。まあ、もし希望がある場合は後ほど私と一緒にバトル・シャトーに来て頂くこともできますが、こうした施設への挑戦は後日行って頂ければと思います。多種族同盟の各主要都市からこちらに転移することも可能ですし、時空騎士(クロノス・マスター)であれば転移魔法を使用してくることもできますからお好きなタイミングで沢山挑戦してみてください。さて、本日向かう先はバトル・クエストです。――それでは移動しましょう」


 転移先に選んだのはバトル・クエストに程近い場所だったのであっという間に到着。

 バトル・クエストの入り口でこの時間に来てもらえるようにお願いしていた『陰者(ヒドゥン)』ことシャルティローサと合流し、ボク達はバトル・クエストの内部に入った。


「お初にお目に掛かります。『陰者(ヒドゥン)』と申します。本日は適性試験を担当するアネモネ様に代わりアトラマ様、ベンヤミン様、ザックス様、クレスセンシア様、ジギタリス様、アニエス様、リュビア様、フリオ様、ゼルドマン様、シャルル様、ジャッロ様に基本的な戦いの技術をお教えすることになりました。皆様よろしくお願いします」


 直接の面識は無かった筈だけど、ムーランドーブ王国の一件についてダルフから聞いていたんじゃないかな? 『陰者(ヒドゥン)』の名を聞いた瞬間にザックスの顔から一気に血の気が引いた。


「……あの、基本的な戦い方とは何でしょうか? 俺達は冒険者です。一定レベルの戦闘経験はあるつもりですが」


「えぇ、存じておりますわ。冒険者の皆様にとって戦う術とは商売道具です。戦いの専門家である皆様に今更戦う術を教授する必要があるのだろうか? 指名依頼を受けてバトル・アイランドに足を踏み入れたとはいえ、その点を疑問視している方々がきっと大半だと思います。……しかし、皆様は一度身をもって味わっている筈です。我々と貴方方の隔絶した差を――。アトラマ様、ベンヤミン様、クレスセンシア様は新年祭の武闘大会で、ザックス様はメアレイズ閣下によるロッツヴェルデ王国侵攻で、ジギタリス様、アニエス様、リュビア様は三大闇ギルド討伐臨時班でアネモネ様達臨時班に敵として相見えて、フリオ様、ゼルドマン様、シャルル様、ジャッロ様は共闘を通して――」


「……身をもって知るどころか、メアレイズ閣下に直接お教え頂いたので使い方も多少なりは分かっているつもりですね。……闘気と八技ですね」


「えぇ、ザックス様の仰る通りです。他にも常夜流忍術、霊力、陰陽術、東洋呪術、仙術、原初魔法、瀬島新代魔法、法儀賢國フォン・デ・シアコルの魔法、ウェポンスキル、マジックスキルなど様々な技術があります。こうしたこの世界の魔法とは異なる体系の技術の会得により戦闘の幅が格段に広まりますが、今回お教えするのは闘気と八技と呼ばれる二つの技術です。どちらも既に多種族同盟加盟の騎士団などの戦闘を生業とする組織では習得が必須となるくらい重要なものとなっています。特にこの二つについては才能の有無がそれほど関係しないのでどのような方であっても鍛えれば一定のレベルまで強くなることができます。自分が後衛職・魔法職だから近接戦闘の技術は必要ないと思う方も習得して損はありませんよ。……ただ、闘気の派生の霸気については『王の資質』と呼ばれる特別な才能が必要となります。習得できる方とできない方がいらっしゃいますが、一応、『王の資質』を持たない方でも後天的に会得できる可能性はございます。もし、興味がある方がいらっしゃいましたら訓練終了後に仰ってください。アネモネ様と相談の上、修行の手配をさせて頂きます」


「まあ、そこそこ過酷な修行になりますので覚悟は必要ですけどねぇ。……そういえば、ザックスさんはメアレイズ閣下から教授を受けていたんでしたっけ? ……折角来てもらいましたし、シャルティローサさんに鍛えてもらってください」


「……もう早速帰りたくなっていますよ。……まあ、でもアネモネ閣下よりはまだ鬼畜度が低い……のか? 素直に喜べねぇ!!」


「では、アトラマ様、ベンヤミン様、ザックス様、クレスセンシア様、ジギタリス様、アニエス様、リュビア様、フリオ様、ゼルドマン様、シャルル様、ジャッロ様、後ほどお会いしましょう。ロウェナ様、ヴィルジニー様、アーデルトラウト様、ルドヴィカ様、それでは参りましょうか?」


 ボク達はバトル・クエストの受付で「トレーニングルームA」を選択(特に障害物のない大きな四角い部屋一つ分というバトルフィールドで、これといって敵エネミーは設定されておらず、クリアの概念も存在しない。自主練習や魔法の試し撃ちなどに使われることが多い場所だよ)し、同じく「トレーニングルームA」を選択したシャルティローサ達とほぼ同時に「トレーニングルームA」の中へと入った。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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