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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-225 臨時班の再始動と三大闇ギルド同盟の崩壊(3) scene.7

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


「ってことで、汀さん、トーマス先生、サクッと片付けちゃってください!」


「汀ちゃんに任せなさい!」


「この世ならざる鋭角の時間の世界と自在に行き来することで疑似的な時間移動、空間移動を可能とする。身体は灼熱の炎を纏い、猛烈な重力を操りマイクロブラックホールすら生成するという。……つまり、真月殿か」


「……まあ、真月は闇属性魔法が使えるから能力的には下位互換と言えるかもねぇ。知略面と戦闘経験ならティンダロスの方が圧倒的に優っているものの、真月はかなり天才肌みたいなところがあるからねぇ。案外直感で勝ち筋を見つけちゃいそうかな? 対策に関して対・真月のものをそのまま流用すれば問題ないと思うよ」


 ティンダロスがボクに襲い掛かって来る前に時空魔法で空間を捻じ曲げ、汀とトーマス、ティンダロスを包み込む特殊な結界を生み出す。

 この隔絶された結界が発動している間は外部と内部の繋がりは完全に消滅し、転移系の能力を使っても内部から外部へ、或いは外部から内部への移動は不可能になる。


「もし、トーマス先生と汀さんを倒せたらボクが相手をしてあげるよ。まあ、でも今の君じゃ二人を倒せないと思うけどねぇ」


超重力暗黒球ブラックホール・シュート!』


 ボクの挑発に乗らずに冷静に攻撃対象を切り替えたティンダロスの放ったマイクロブラックホールを狙われたトーマスは回避し、空歩で上空に陣取る。


「魂魄の霸気《水葬魔女》! 激流の如き連刺突スプラッシュ・スティンガー


 一方、汀は剣に激流を纏わせると同時に『人魚騎士の魔女』を召喚。激流を纏った刺突をティンダロスに浴びせつつ、『人魚騎士の魔女』の剣に膨大な武装闘気と覇王の霸気を込める。


鋭角転移(ティンダロス・ワープ)


 鋒が届く寸前にティンダロスは燃え盛る炎で自分の背後と汀の背後に鋭角を作り出して転移――しかし、見気の未来視を習得している汀とトーマスにとっては予想の範疇。……というか、転移先を炎で示しているんだから対処するに決まっているよねぇ……。


水天喰蛇(ヴァルナ・ナーガ)! 帝釈天雷(インドラ)


 転移した瞬間のティンダロスに多頭竜型の激流と聖なる力を宿した雷撃が襲い掛かる。


倶利迦楼羅剣(クリカルラ)


 相次ぐトーマスの高威力の魔法攻撃を食らって生存したティンダロスは流石と言わざるを得ないけど、振り向き様に膨大な霸気を纏わせた剣を振り下ろす『人魚騎士の魔女』と、浄焔により生まれた剣に膨大な武装闘気と覇王の霸気を乗せたトーマス――二人の攻撃を同時に浴びれば流石のティンダロスも絶命は免れない。


 ティンダロスにとって室内戦は有利な筈だけど、展開された結界は半球型で鋭角はどこにも存在しない。

 そんな圧倒的に不利な状況で一切情報のない中、多種族同盟の時空騎士(クロノス・マスター)(それも、ティンダロスの手の内を全て把握している状態)を二人も相手したんだからこれだけあっさり決着がついてしまうのも致し方ないよねぇ。



 ティンダロスの討伐後、ボクは合流時点ではフリオ達に明かしていなかった『管理者権限』を巡る戦いと、フリオ達の世界――つまり、『大魔闘時代最後の騒乱〜闇を照らす不死鳥の光〜』の『管理者権限』の保有者候補筆頭である『紫焔の悪神鳥(フェイニクス)』のギルドマスター、カズワリオ=フィシオロゴスと、それに付随してカナ=メトリシアに関して知っている限りのことを打ち明けた。……まあ、結局原作の知識の域を出なくて、それ以上のことは何も分からないんだけどねぇ。強いて言うなら、原作では滅んだ筈の魔導王国の大臣がシャッテン達と組んで良からぬことを企んでいる? ってことくらい?


「つまりその神様の中に俺の探しているカナもいるってことだな?」


「まあ、そうなるねぇ。……いずれにしてもハーモナイアの完全復活のために全ての『管理者権限』を集めるのが必須……アイオーンとヌースを倒せば解決するようにも思えるけど、多分二人は他が全滅するまでは出て来そうにないからねぇ。ボク達多種族同盟と組めば、会える可能性は高いと思うよ……多分」


 『不死鳥の尾羽(フェニックス)』のメンバーは四人とも多種族同盟に所属することに反対意見はないようだ。

 残る『不死鳥の尾羽(フェニックス)』メンバーの捜索やカナとの対決のためにもボク達の持つ情報網は必須と考えているみたいだねぇ。


 多種族同盟への加盟手続きについては正月で先送りされていたオルゴーゥン魔族王国と同時に行うことになる。まあ、一月四日から通常業務に戻るから、そのタイミングでってことになるねぇ。

 そうそう、この世界のギルドシステムとは違うシステム下で生まれた『不死鳥の尾羽(フェニックス)』が活動できる状況を作るために冒険者ギルドともやり取りをしないといけないねぇ。……一応、ヴァーナムとイルワに面会の許可を取って(できれば明日が望ましいかな? このまま宙ぶらりんのまま放置は望ましくないからねぇ)、話し合いを進めないと。……その前に草案も作っておかないといけなかったか。


 そうそう、『紅の華』の適性検査もあったねぇ。……もういっそこのタイミングで纏めて新人時空騎士(クロノス・マスター)達の強化プログラムも行おうかな? 確か全てのシンボルを集め終えた琉璃が施設長(アイランド・ブレイン)選定試験の受験を希望していたのが一月五日だったから……ついでにその日にしちゃおっか。これも一緒にヴァーナムに伝えて冒険者ギルド経由で伝えればいいか? ザックスは……よし、ボクが直接伝えに行くとしよう。逃げ場はきっちり塞がせてもらうよ。


 一月七日には琉璃とラインヴェルドの決闘(デュエル)もあるし、本当に新年からイベント尽くしだねぇ。色々と楽しみはあるけど、まずは『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の面々を管理している屋敷の一つに送り届け……最初のお楽しみの時間を目一杯楽しむとしますか。さあ、魔改造〜魔改造〜♪



 今回の三大闇ギルド連合との連戦の成果は、エンゼルトランペット、ジギタリス、アニエス、リュビア、セーラの五人。

 このうち、ジギタリス、アニエス、リュビアは極夜の黒狼、諜報部隊フルール・ド・アンブラル、ビオラ特殊科学部隊のいずれにも所属しないレナード達と同じ立ち位置で動くことになった。


 ジギタリスは魔法の凶暴さを除けば普通の女の子だし、アニエスはその性質上あんまり諜報員には向かない。可能性があったリュビアもあんまり乗り気じゃなかったし、彼女の意思を曲げさせてまで無理に諜報員を増やさなくてもいいんじゃないかと思ってねぇ。ここ最近、なんだかんだ諜報員が増えていて人手にはそんなに困っていないし。


 とりあえず、三人とも時空騎士(クロノス・マスター)になることについては確約してくれたので一月五日に闘気や八技などの基本的な技術を一通り叩き込んで、その後は個々に頑張って成長してもらうとしよう。

 三人の住まいはいつも通りクレセントムーン聖皇国にある空き屋敷を提供することになった。各屋敷への案内は残る二人の魔改造を終えてからするつもりだ。


 ジギタリス、アニエス、リュビアには別室でお茶の時間を楽しんでもらい、その間にボクは残り二人の魔改造のためにエンゼルトランペットとセーラが運び込まれた部屋へと移動する。


 まずは「飴玉生成・記憶」と「飴玉生成・人格」で作った四つの飴玉をそれぞれ二つずつエンゼルトランペットとセーラに飲ませる。

 光を失っていた二人の瞳に光が戻り、エンゼルトランペットは恍惚とした表情を浮かべ、セーラは静かに傅いた。


「圓様、わたくしは間違っておりました。あろうことか圓様に敵対し、勝利できるなどと……何と浅はかなことでしょう。そんな愚かなわたくしにもう一度チャンスをお与えくださりありがとうございます! この命、全て圓様にお捧げ致しますわ!!」


『一度は敗北した私に慈悲をお与えくださりありがとうございます! この力、必ずや圓様のお役に立ててみせますわ!』


 『大魔闘時代最後の騒乱〜闇を照らす不死鳥の光〜』を一通りプレイした人からしたら随分とキャラ崩壊しているように見えるだろうねぇ。

 二人に与えた記憶は読み取ったそれぞれの記憶に少し細工を施し、ボクへの忠誠心が生まれるように調整したもの。


 一方、二人に与えた人格の方は完全にボク好みになるようにオーダーメイドで作り上げたもので外道性格のエンゼルトランペットは(実は冷酷さの一点だけ見れば元のエンゼルトランペットを遥かに上回るんだけど)比較的お淑やかな淑女に、セーラの方は性格はほとんど弄らずにボクへの高い忠誠心を持つ淑女になるように調合を行った。

 勿論、諜報員として働くための知識も記憶の中に配合したので、すぐにでも諜報員の任務につける筈……なんだけど、念のために二人にはフェンネル達の時と同様、諜報員達による特訓を受けてもらうことになる。


 セーラの教育はフェンネル達の教育を請け負っているシャルティローサに、エンゼルトランペットには白夜に連絡をして教育係を引き受けてもらうことになった。エンゼルトランペットにはそのまま白夜の補佐として諜報員の任務を行ってもらおうと考えている。流石にあの白夜でも一人で教会の全体に目が届く訳じゃないからねぇ。


 エンゼルトランペットとセーラには中身以外の部分にも魔改造を行った。


 エンゼルトランペットには彼女の得意とする「天使魔法」に手を加え、寿命を代償としない魔法へと改造した。……「契約改竄魔法(リース・ロンダリング)」で代償をどうにかできるとはいえ、このコンボが崩されるとエンゼルトランペットは一転して窮地に立たされることになる。リスクが心配な危険な魔法だし、できるだけ不安要素は減らしておきたいからねぇ。

 魔法の国のホムンクルスなどの技術を詰め込んだ結果、見た目は更に美しく、中身は更に化け物に、っていうかつての天使よりも遥かにノーリスク・ハイリターンな天使が誕生した。


 一方、セーラには悪魔としての姿を隠すための人間としての姿を与えた。そのままの姿だと目立って諜報員としての活動はできないからねぇ。

 流石に人間体だと呪歌は使えないから戦闘時には『呪皇』の姿を、平常時には人間の姿を、と使い分けていくことになるんじゃないかな?


 二人の魔改造を完全に終えたところで、ボクはシャルティローサに残りを任せてジギタリス、アニエス、リュビアと共にクレセントムーン聖皇国へと転移した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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