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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-222 臨時班の再始動と三大闇ギルド同盟の崩壊(3) scene.4

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 ペイン=アブソリュートの使用する呪歌「強化」には感覚や肉体を強化する力がある。

 自身への「強化」の発動中は時間が経てば経つほどペインの身体能力は強化されていくため、可能な限り即時殲滅が望ましい。……というか、時間が経てば討伐困難な難敵と化す。累乗ではなく加算とはいえ、放置すれば脅威的な存在になりかねない。


 それだけでも厄介なのに、ペインにはもう一つ感覚の強化という厄介な力がある。この力は相手のありとあらゆる感覚を強化できるため、僅かなダメージすらも感覚強化によって致命傷へと変貌させることができる。

 つまり、ペイン戦ではたった一撃、ほんの僅かな傷であっても負うことは許されない。……うん、後者の能力があるおかげで身体能力の強化がイマイチ活かされていない感じもするよねぇ。まあ、身体能力が底上げされることで敵に傷を与えられる可能性も高まる訳だから全く噛み合っていないって訳でもないんだけど。


「武装瞬換術・天翼の鎧(フリューゲル)! 白翼の乱剣(ミル・フルール)


 各『呪皇』達の有する呪歌の特性はアジトに乗り込む前に全員と共有済み。

 ペインの呪歌を警戒したシャルルは剣士が最も得意とする接近戦を避け、天使のような翼を持つ銀の鎧を纏い、無数の剣を遠距離から放って攻撃を仕掛けている。


 まあ、対ペインの戦法としては最適解なんだけど、ペインも呪華七皇セブンスター・ラグナロクの一人――つまり、『幻界魔狼(マルコシアス)』の最高幹部なのだから遠距離攻撃を仕掛けてくる相手への対策が手薄ということはない。

 一撃でも当てれば一気に形勢を逆転させることができるのだから、ペインは剣士の間合いだろうとなんだろうとお構いなしにシャルルに接近して近距離攻撃を浴びせようと迫ってくる。……まあ、物理的な攻撃手段が鉤爪などによる接近攻撃しかないからねぇ。


 一応、相手の五感を全て最大値にすることで「微風を浴びただけでも異常な激痛を感じさせる」、「僅かな光すらも閃光手榴弾の如き閃光へと変貌させる」、「蚊の羽音すらも轟音へと変貌させる」……みたいな芸当もできる筈なんだけど、そこまでの「強化」を使う必要がないと思っているのかな? だとしたら随分と過小評価をしているよねぇ、二人のことを。


『何故、私の鉤爪が通用しない!』


 ペインを守るように立ち回る盾役的な役割を果たしているのは汀。

 固有魔法の「水操作」によって身体を水へと変貌させる「水身体(アクア・ボディ)」でペインの鉤爪攻撃を全て無効化する。物理攻撃でそもそもダメージが入らないのであればそれを増幅することも不可能……つまり、五感強化を皮膚感覚に使っても汀を打ち破ることはできない。


「シャルルさん、少し手伝ってあげるよ! 覇雷付加(ソブリン・サンダー)


 シャルルの放った剣の一つを掴み、膨大な武装闘気と覇王の霸気を剣に込める。

 ボクも把握していなかったんだけど、汀も聖人の領域に達することで『王の資質』を獲得したみたいだねぇ。まだまだ練度は低いけど、ペイン程度の相手を屠るにはこれで十分だろう。


『こうなれば、強制的に貴様らの五感を強化してやるまでッ!! 強制五感強化の呪歌ファイブセンス・エンハンスメント!』


「無意味だよ、既に対策済みだからね!」


 流石の汀も「強制五感強化の呪歌ファイブセンス・エンハンスメント」による五感強化の全てを無効化できる訳ではない。

 それにも拘らず余裕の態度を崩さなかったのは、ド=ワンド大洞窟王国が開発した無属性魔法「能力上昇抑制領域(ライズ・ディセーブル)」があったからだ。


 「能力下降抑制領域(ダウン・ディセーブル)」と対になるこの無属性魔法はド=ワンド大洞窟王国の魔法開発部が開発したものではあるものの大きな欠点を抱えていることから宮廷魔法師団の中でも採用されることはなくお蔵入り――事実上廃棄された。

 その欠点とは、発動中は展開した領域内のあらゆる能力上昇・能力下降を無効化してしまうというものだった。


 特定の人物の能力上昇や能力下降効果を持つ能力を発動できるといった任意性を付け加えることができなかったことから実戦では使えないと判断され、お蔵入りしたこの魔法を発動すれば、無差別値能力上昇の無効化や能力低下の無効化が行われてしまう。


 例えば、「能力上昇抑制領域(ライズ・ディセーブル)」が発動された場合、武装闘気による硬化、覇王の霸気を纏うといったことは可能なものの、三種の闘気とその派生は例え纏っても攻撃力、防御力、敏捷は上がらなくなってしまう。

 アクアやオニキスの魂魄の霸気に対抗する直接的な手段として考案されたとはいえ、自分達も闘気や身体能力強化魔法などによる恩恵を受けられないという小さくないデメリットが生じてしまうのだから、そりゃ採用もされないよねぇ。


 元々はド=ワンド大洞窟王国で秘密裏に開発されたものの、お蔵入りといいつつ魔法そのものは多種族同盟の内部で公開されていて実は多種族同盟の関係者なら習得自体は容易だったりする。汀はどうやら魔法を習得していた側らしく、ペインの呪歌「強制五感強化の呪歌ファイブセンス・エンハンスメント」に対する有効な対抗手段になり得ることにボクの説明を聞く中で気づいたらしい。


 「強制五感強化の呪歌ファイブセンス・エンハンスメント」とは、名前の通り五感の強化(・・)である。そして、「強化」である以上は「能力上昇抑制領域(ライズ・ディセーブル)」で打ち消すことが可能だ。

 汀も神攻闘気、神堅闘気、神速闘気による強化が使えなくなるものの武装闘気と覇王の霸気、後は自分の固有魔法さえ使えればペインを突破できると判断したのだろう。


 ペインの呪歌は全て「強化」だから、「能力上昇抑制領域(ライズ・ディセーブル)」の領域にペインが入った瞬間、全ての呪歌は無効化されることになる。例え、ペイン自身が踏み込まずともペインが汀とシャルルが「能力上昇抑制領域(ライズ・ディセーブル)」の範囲にいる限りペインの「強化」は二人には通用しない。

 ペインに残された攻撃手段は物理攻撃しか残されていないということになる。そして、その物理攻撃は物理攻撃を無効化することができる汀には通じない。


 ペインが汀の展開した「能力上昇抑制領域(ライズ・ディセーブル)」に入っても入らなくてもペインの敗北は必至。……まあ、接近戦以外の攻撃手段が失われたペインは汀かシャルルに接近して直接攻撃を仕掛けるしか無くなっているんだけど。


「魂魄の霸気《水葬魔女》!」


 このまま武装闘気と覇王の霸気を纏わせたシャルルの剣で突き刺してもペインは確実に絶命に追い込まれるんだけど、汀は用心に用心を重ねて魂魄の霸気を発動した。


 その効果は傍らに立つ魔女(ヘクセンナハト)の召喚である。

 自身の負の側面である魔女(ヘクセンナハト)を受け入れ、その力を現世に召喚して操る――それは、那由多彼方とは別の意味での魔法少女の宿命――魔女(ヘクセンナハト)化の克服に他ならない。


 例外なく化け物級の力を有する魔女(ヘクセンナハト)――それが二体。

 騎士の甲冑に身を包んだ巨大な人魚は巨大な騎士剣に刀身に膨大な武装闘気と覇王の霸気、更に例え吸血鬼でなくとも一瞬にして身体が蒸発してしまうほどの膨大な神光闘気を纏わせ、シャルルの剣がペインに命中するのとほぼ同時に斬撃を放つ。


 三方から放たれた膨大な霸気などを纏った攻撃を耐え切れるほどの防御力をペインが持っている筈もなく、成す術なく斬撃を浴びたペインは三撃の命中と同時に跡形もなく消し飛んだ。



『黒死海』


 オルキアス・アンガーオルカは空中に跳躍と同時に得意の呪歌を発動して黒い水の領域を展開、空中に黒い水の球体を展開して内部を泳ぎつつ、その範囲を徐々に徐々にと広めていく。

 いきなり「黒死海」を展開してしまわないのは、黒水に含まれる特殊な猛毒が他の『呪皇』にも通用してしまうからだろう。たった一人で戦うならただ無尽蔵に展開するだけで勝利できるけど、敵味方入り乱れての集団戦になるとなかなか使い辛い能力だねぇ。


雷迅烈降(ブリッツ・ヒンメル)


「レイジング・サンダー!!」


 一方、ヴァレンシュタインとゼルドマンはオルキアスから距離を取って遠距離からの攻撃を連発し、黒水の中に連続で雷を落とす。

 黒水だろうと水に変わりはなく、超純水のような電気抵抗もないため普通に電気を通す。それも、空気よりも電気抵抗が低いため、なかなか外部に電気が放出されず、黒水の内部でほとんど電気が循環してしまう。


 膨大な雷撃を絶えず浴びせられるという絶望的な状況は黒水の中では無敵を自称するオルキアスにとっても耐え切れるものではなく、雷撃を落とされた瞬間には脱出するべく呪歌を解除しようとしていたものの、雷撃の方が早くオルキアスに到達してしまい、呪歌を解除する前にオルキアスは丸焼きになってしまった。


雷鳴閃刀ドンナー・シュヴェーアト


 『呪皇』は内部のコアさえあれば復活させることもできるんだけど(ちなみに、ペインはコア諸共粉砕されたため、コアによる復活の道は完全に断たれた)、ヴァレンシュタインが軍刀に雷を纏わせてオルキアスがコアを両断したことでオルキアスも完全に消滅した。


 ちなみに、ペインよりも先にオルキアスの方が討伐されているよ。……流石に同時に全部の戦闘を説明できないから順番にねぇ。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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