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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-219 臨時班の再始動と三大闇ギルド同盟の崩壊(3) scene.1

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 『六魔修羅道(グラズヘイム)』に続き、『冥王の心臓(デーモン・ハート)』も壊滅に追い込んだ。

 残るは『幻界魔狼(マルコシアス)』――これもオーロ=ブルチャーレとの戦いの間にオーロに掛けられた「死霊魔術(ネクロマンシー)」の魔元素(エーテリアル)の流れを辿って『幻界魔狼(マルコシアス)』の拠点の位置を逆探知し、『幻界魔狼(マルコシアス)』の潜伏先の特定に成功している。


 アクア、プリムヴェール、カノープス、シスタールクスとは屋敷で別れ、アメジスタ、トーマス、汀、ヴァレンシュタインと合流、そのまま『幻界魔狼(マルコシアス)』の潜伏先であるラングリス王国の王宮へと転移した。


 クラウディア達ラングリス王国政府の一行はブライトネス王国の新年祭に参加するために昨日は国を留守にしていたけど、昨日の夜遅くに転移魔法門を使ってラングリス王国に戻ってきている。

 確か、多種族同盟の中心国であるブライトネス王国の新年祭に参加するために、本来なら一日掛けて行うラングリス王国の新年の行事を午前中と次の日……つまり、今日に分けることになったんだっけ?


 流石に新年の行事を邪魔する訳にはいかないから政府高官の誰かと接触して今回の臨時班派遣の事後承認を得ようと思っていたんだけど、クラウディアが気を回してくれて行事と行事の合間に少しだけ謁見の時間を用意してくれた。


「……なんだか申し訳ないねぇ。昨日もラングリス王国の式典とブライトネス王国の新年祭への出席、大変だったでしょう?」


「確かにあまり慣れないことで少し気疲れはしましたが……それよりも圓様の方がお疲れではありませんか? ……というより、今日って一月二日ですよね? もうこのタイミングで臨時班ですか!? ちょっと早過ぎではありませんか!?」


「まあ、昨日情報を掴んでしまって逃げられないうちに……って動いていたら気づいたらこんな状況になっちゃっていてねぇ。時間もないと思うから単刀直入に言うけど、旧三大闇ギルド同盟、現四大闇ギルド同盟の一角に数えられる『幻界魔狼(マルコシアス)』のアジトがこのラングリス王国にあるらしい」


「まさか、この国に『這い寄る混沌の蛇』以外にも非合法勢力が潜んでいるというの!? いえ、そんな筈はないわ! クラウディアが女王に正式に即位してから大規模な摘発を行ったもの!!」


 クラウディア以上にボクの発言に驚いていたのは、ラングリス王国王太后のエリザヴェータ。

 まあ、その気持ちはボクも分かるよ。クラウディアの即位に伴い、「二度とラングリス王国に悪意ある者の侵入を許してはならない」と大規模な摘発を行い、実際に多くの悪徳貴族や悪徳商人、犯罪者が摘発されたことはボクも知っている。あの大規模摘発からそこまで時間は経っていないからねぇ……もし、ボクの言葉が事実ならラングリス王国が未だに犯罪の温床になっていることを肯定することになってしまう。


 あのモルチョフ=ヴァレスコールを主犯とする(ということになっている)ラングリス王国を革命寸前まで追い込んだ事件の傷がまだ癒えていないラングリス王国でこれ以上の不祥事が起きて欲しくないと思うのは当然だよねぇ。


「あのラングリス王国の革命騒動からまだ一年も経っていない。ゴタゴタの一件でまだ調査が正式に及んでいない場所があるでしょう? クラウディア女王陛下を中心に国を磐石にすることと、多種族同盟加盟のための諸手続きを優先した結果、まだ再分配に向けた調査と処理が終わっておらず、空白地帯のまま放置されている土地が。別にボクはクラウディア女王陛下を責めている訳じゃないよ? 寧ろ、致し方ないことだと思う。ボク達が多種族同盟に関する手続きを優先させたところもあるし、ボロボロの国を立て直すことがあの状況では最優先だった。空いた穴の穴埋めは優先度がそこまで高くないからねぇ。……まあ、その調査云々は余裕が出てきたらやればいいし、まずは『幻界魔狼(マルコシアス)』関連の調査の許可だけ出してもらえないかな?」


「……モルチョフ=ヴァレスコール。貴方は処刑されてなお私達を嘲笑うかのように面倒ごとを引き起こすのですか。……本当に死してなお厄介な方ですわね。……勿論、多種族同盟の一員として『幻界魔狼(マルコシアス)』の潜伏する可能性のある旧ヴァレスコール侯爵領の調査を許可致しますわ」


「ありがとうございます、クラウディア女王陛下」


 まあ、この件にモルチョフが本当に関わっていたかどうかは疑問が残るんだけどねぇ。

 あの後ヴァーナムに聞いたところ、四大闇ギルド同盟が設立されたのは園遊会の後頃である可能性が高いという回答が返ってきた。それ以前は『六魔修羅道(グラズヘイム)』、『冥王の心臓(デーモン・ハート)』、『幻界魔狼(マルコシアス)』――いずれの活動も確認できなかったらしい。まあ、園遊会以前にはひっそりと活動していたから冒険者ギルド側も把握できなかった可能性もあるにはあるけど、だったら園遊会以後に悪名が轟くほどの活動を始めたのか説明がつかない。


 まあ、園遊会前後でこちらの世界に流れ着き、各々が何らかの形で連絡を取り合い(ここに定吉(ウンブラ)さんが絡んでいたのだろう)、現在に至るってことかな?

 ラングリス王国の革命は園遊会のゴタゴタより前の出来事だから、この時点で『幻界魔狼(マルコシアス)』がヴァレスコール侯爵領に潜入していた可能性は低い。……もし、ヴァレスコール侯爵領に潜入していたなら、『這い寄る混沌の蛇』側に『大魔闘時代最後の騒乱〜闇を照らす不死鳥の光〜』世界の何らかの技術が流出している筈だからねぇ。


 今のところ、そういった流出の痕跡も発見されていないし、『六魔修羅道(グラズヘイム)』や『冥王の心臓(デーモン・ハート)』は明らかにこの世界に関する情報をほとんど持っていなかった。そうなってくると、『幻界魔狼(マルコシアス)』も似たような状況に置かれていると考えるのが自然なんじゃないかな? ……しかし、定吉(ウンブラ)さん。四大闇ギルド同盟の構築には貢献しても他の闇ギルドにこの世界の情報を与えることはしなかったんだねぇ。まあ、そのおかげで倒しやすい状況にはなっているんだけどさぁ……本気で同盟を組むならもっと親切にしてあげれば良かったのにねぇ。


 まあ、そこまでしてあげる義理はないっていうビジネスライクな関係なんだろうけどさぁ。



 旧ヴァレスコール侯爵領は手付かずの自然が数多く残る土地だった。

 この自然はどうやら『這い寄る混沌の蛇』の活動に使うための多くの施設の隠れ蓑の機能を果たしていたらしく、見気の範囲を広げてみれば山小屋に偽装された巨大な地下施設の入り口などの怪しい施設が次々と見つかった。


 といっても、そのほとんどは元『這い寄る混沌の蛇』の施設で現在はそのほとんどが廃棄されているらしい。恐らく、モルチョフが逮捕されたことを受け、これ以上モルチョフのお膝元である旧ヴァレスコール侯爵領に潜むのは危険だとこの辺り一帯の施設を放棄したのだろう。まあ、順当な判断だねぇ。


 その後、施設の一部が『幻界魔狼(マルコシアス)』の拠点として二次利用され、息を吹き返したのだろう。どうやら、旧ヴァレスコール侯爵領で最も標高の高いヴォアファルス山(標高三百十五メートル)の中腹にある山小屋に偽装された入り口から続く施設の中に『幻界魔狼(マルコシアス)』の『呪皇』達が潜伏しているらしい。


 今回用事があるのはその施設だけだけど、旧ヴァレスコール侯爵領の現状については後でしっかりとラングリス王国に報告をして調査団を派遣してもらわないといけないねぇ。……これだけ『這い寄る混沌の蛇』の施設がラングリス王国の内部で作られていたという情報はラングリス王国が知らなければならないといけないものだし、この施設をどのように処分するかも決めなければならない。旧ヴァレスコール侯爵領を治める後任の貴族に「はい、どうぞ」と丸投げできる状況じゃないからねぇ。……まあ、街の住民も気づいていないようだったし、案外そのまま渡しても次の領主が気づかないままってこともあり得るだろうけど。

 いずれにしてもこのままにしておくのはリスクが高過ぎる。ここを捨てた『這い寄る混沌の蛇』が再びこの地に戻ってくる可能性もゼロとは言い切れないし、何もしないという訳にはいかないだろう。……それに関してはボクの仕事じゃないから、あくまで報告をするだけだけどねぇ。ほら、外政干渉を疑われるようなことはなるべく避けたい立場だし。


「しかし、気になる話だったな」


「ああ、少し前に旧ヴァレスコール侯爵領の街スザンを訪れた一行ねぇ。見慣れない冒険者風? の四人組で、白髪混じりの金髪の男と、黒の短髪の目つきが悪い男、真紅の髪を肩まで伸ばした騎士風の女、そして、青み掛かった銀色の短髪の男。……『不死鳥の尾羽(フェニックス)』という聞き慣れない名前を口にしていたという彼らだねぇ。突然この世界に来たと証言していて、お金の持ち合わせがないからと職を斡旋してもらって働いているとか。確か、森の中に出現する魔物討伐に協力しているって言っていたねぇ。まあ、トーマス先生が考えているように『大魔闘時代最後の騒乱〜闇を照らす不死鳥の光〜』の関係者で間違いないよ。『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の二代目マスターであるカナ=メトリシアの孫で父パゴノメ=プシュークロンの意志を継ぎ、三代目マスターにその地位を譲った後に行方をくらませたカナ=メトリシアを探している主人公のフリオ=プシュークロン、『不死鳥の尾羽(フェニックス)』の四代目マスターでパゴノメ=プシュークロンとチームを組んでいた雷の魔法使いのゼルドマン=アルカトル、『不死鳥の尾羽(フェニックス)』最強の女魔法師で特殊な時空魔法『武装瞬換術』の使い手で無数の武器や防具を呼び出し、装備して戦うシャルル=ナイトロード、『不死鳥の尾羽(フェニックス)』所属の魔法使いでシャルルと同じくフリオのライバルであるオーロ=ブルチャーレの息子――ジャッロ=ブルチャーレ。まさか、あの物語の中核を担う四人がこの世界に来ているとはねぇ。……流石に三大闇ギルドだけじゃないとは思っていたけど。四人の居場所も見つけたし、『幻界魔狼(マルコシアス)』の討伐に向かう前に会いに行ってみようか?」

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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