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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-215 臨時班の再始動と三大闇ギルド同盟の崩壊(2) scene.3

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


「リュビアはこの話、胡散臭いと思います」


「だよね〜。……そもそも、他の人のことは勧誘していないんしょ? どういう基準で選んでいるの〜?」


「……そりゃ、お嬢様のことだから性別と顔ですよね?」


「アクアの言葉を否定できないのが辛いところだねぇ。まあ、確かに女の子に対して異様に甘いところがあるのは確かだよ……殺すってなったら覚悟決めて殺すけど。何かしらのバックボーンがあるか、希少な力を持っているか、後は性別かな? いずれかの要因を勘案して決めているのは確かだねぇ。最終的には直感なんだけど」


 割と直感っていう非科学的なものに頼っている場合が多いんだよねぇ。

 仲間にするか、仲間にしないかって。


「まあ、そうだね……ウチは悪い話ではないと思うよ! 別に『冥王の心臓(デーモン・ハート)』への執着がある訳でもないからね〜。ただ、ウチも『はい分かりました』って二つ返事で仲間にするつもりもないんだよね〜。だからさぁ、貴女の力を示してくれないかな? 一戦交えようよ? そうすれば、ウチがこれからどうするべきなのか分かる気がするんだ。……リュビア、君はどうする?」


「リュビアも『冥王の心臓(デーモン・ハート)』に拘りはありません。……ただ、乗るべき相手は自分で見極めたいと思います。リュビアとアニエス――二人同時に相手して実力を見せてください。ただし、そちらはお一人でお願いします」


「よし! あたしが相手してやるよ!」


「……だからルクスさん、今はお呼びじゃないって!」


 リュビアとアニエスと勝負するのはボク。アクアとプリムヴェールは負けないと思うけど、これはボクが言い出したことだからねぇ。お父様に関してはここで出したら二人を殺しちゃいそうだし、シスタールクスは論外。……まだ多種族同盟に入ったばかりで新しい技術も完璧に習得した訳じゃないからねぇ。不安要素が多過ぎる。


激流飛刃(ウォータースライサー)


 最初に仕掛けてきたのはリュビア。水を収束させた刃を相手に飛ばす彼女の得意魔法「激流(ウォーター)」のバリエーションの一つだねぇ。

 裏武装闘気の剣を創り出し、少しだけ霸気を纏わせて刃を両断する。


激流飛刃(ウォータースライサー)を防ぐだけの力は持ち合わせているようね。でも、これならどうかしら? 三重激流飛刃トリプルウォータースライサー!」


 三つの「激流飛刃(ウォータースライサー)」を同時に解き放つ「三重激流飛刃トリプルウォータースライサー」をリュビアが放ってくる。

 今度は魔導二丁拳銃を構えたアニエスも加えた同時攻撃……つまり、二人合わせて五つの攻撃が同時に飛んでくるということになる。


野獣の魔弾(モンスターバレット)! 幻影の魔弾(ファントムバレット)!」


 「野獣の魔弾(モンスターバレット)」は発射と同時に狼のようなエネルギーを弾丸に宿し、駆けるように対象に噛みつき、狼のようなエネルギーの口から対象の体内に弾丸を貫通させる魔法、「幻影の魔弾(ファントムバレット)」は幻影魔法で無数の弾丸の残像を出現させつつ、本体の弾丸は迷彩によって隠す搦手の魔法。

 この二つの魔法から分かるように、アニエスの二丁拳銃から繰り出される弾丸に込められた魔法はどれも個性的だ。


 王道の水使いのイメージがあるリュビアと、搦手を得意とする二丁拳銃使いのアニエス――相性が悪そうに見える二人だけど、実はなかなか相性の良いコンビだったんだねぇ。

 『大魔闘時代最後の騒乱〜闇を照らす不死鳥の光〜』の中ではコンビを組んで戦った描写がない二人だからちょっと新鮮だねぇ。

 まあ、連携が取れていてもそれでボクを討ち取れるかどうかはまた別問題なんだけど。


 圓式の斬撃を連続で放って三つの刃と狼型のエネルギーを纏った弾丸と幻影の中に隠された本体の弾丸を全て両断する。


「そんなの聞いてないよ!!」


「リュビアの三つの刃を一撃で!? 斬撃が全く見えませんでしたわ」


「どうする? リュビア?」


激流包海(ウォーター・プリズン)! リュビアの水魔法で相手を閉じ込めます。アニエスはその隙に攻撃して――」


「その程度の拘束でボクを止められるとでも本気で思っていたのかな?」


 覇王の霸気を発散してリュビアの展開したボクを包む水の領域を一瞬にして破壊する。

 まあ、風魔法で空気の領域を作って水の内部から攻撃しても良かったんだけどねぇ。


激流大竜巻(ウォーターストーム)!」


 リュビアの使える魔法の中でも威力の高い激流の竜巻を発生させる魔法を放って確実にボクを仕留めに掛かってきたリュビア。

 魔法で対抗してもいいんだけど、ボクはあえて膨大な武装闘気と覇王の霸気、神光闘気を纏わせた剣で切り裂くことを選択、真正面から圓式の斬撃を放って激流の大竜巻を切り裂いた後、そのままリュビアに肉薄し、剣を持っていない左手で手刀を作り、リュビアの首元に添えた。


「リュビアさん、チェックメイトだよ」


「まだリュビアは負けていません! 激流之身体(アクアボディ)を使えばリュビアは物理攻撃は効かなくなります」


「じゃあ、やってみる? ちなみにボクが武器に纏わせている武装闘気は相手の実体に直接ダメージを与えることができるという効果を持っている。例え、身体が水になろうとマグマになろうと、光になろうとボクの攻撃を躱すことはできないよ」


「……リュビアの負けです」


 ボクの言葉をハッタリだと一蹴して戦いを続けることだってできたけど、リュビアはあっさりと負けを認めた。

 まあ、あれだけ攻撃を仕掛けても全部無効化されたんだから、勝ち目がないと判断したんだろうねぇ。


「もしかして、ウチ、大ピンチ!? でも、まだまだウチ、諦めてないんよ!! 極大の魔弾(マキシマムバレット)!!」


 膨大な魔元素(エーテリアル)を弾丸に収束させて放つアニエスのとっておきの弾丸。


「その弾丸を止められたらアニエス、君の負けってことでいいかな?」


「やれるものならやってみるんよ!!」


「闇纏魔剣・圓式飛闇斬!」


 裏武装闘気の剣に闇の魔力を纏わせて圓式の斬撃を飛斬撃の形で放って「極大の魔弾(マキシマムバレット)」を真っ向から両断する。

 念のために斬撃に膨大な覇王の霸気を込めておいたけど、必要無かったかもしれないねぇ。


 斬撃を浴びた「極大の魔弾(マキシマムバレット)」が付与された弾丸は綺麗に真っ二つになり、込められた膨大な魔元素(エーテリアル)に耐え切れずにそのまま爆発四散した。


「ウチの『極大の魔弾(マキシマムバレット)』が、止められたんよ……」


 アニエスが出せる最大火力が「極大の魔弾(マキシマムバレット)」だった。それを真っ向から打ち破られた今、アニエスにボクに勝てる可能性は残されていない。


「ウチ達の敗北なんよ……」


 その後、降伏したアニエスとリュビアをジギタリス達を転移させた屋敷に転移させ、ボク達は戦艦の最深部への侵攻を再開した。



 アニエスとリュビアと戦闘した部屋から続く廊下を進んた先にあったのは全面鏡張りの部屋。

 この特徴的な部屋で待ち受けていたのは、この部屋の特性を最も生かすことができる「鏡造形魔法」と「光属性魔法」を得意とするミロワール=ズィエールカラと、『雷切』の異名を持つ雷魔導師の剣士ギシュール=レランパゴの二人。


 ここで二人が出てきたとなると、残る九冥公は植物魔法により自らを植物へと変貌させた植物人間のタイガ=ヴァルドゥングと、エセイリア=ドーマジックルの生みの親である元アンドリューワーズ魔導王国の魔法科学者の不死者(アンデッド)――ヴィクター・アレハンドロか。

 あの二人もペアで仕掛けてくる可能性は……まあ、無さそうだねぇ。ヴィクターは間違いなくエセイリア達を引き連れて戦うだろうし。


「――アニエスとリュビアまで倒されたのか!? ……ってか、たった五人でここまで来たのかよ!? 『冥王の心臓(デーモン・ハート)』の九冥公、このまま行ったら全滅させられちまうじゃねぇか!?」


「……その可能性は高いかもしれないな。先程、ヴィクターの奴が『六魔修羅道(グラズヘイム)』が壊滅状態になっていたと騒いでいた。……メンバーは同じく五人だが、そこの女剣士以外は違う顔触れだったようだな」


「……ってことは、こいつら並みにヤバい奴が少なくとも後四人いるってことかよ?」


「その中の一人はエセイリアが自爆に巻き込んで殺したようだがな」


 どうやらヴィクターは他の九冥公と積極的に情報交換をしている訳じゃないみたいだねぇ。持っている情報が古い。プリムヴェールがマグノーリエが死んでいないと「エセイリアがマグノーリエを自爆に巻き込んで殺した説」を否定したことを『六魔修羅道(グラズヘイム)』の壊滅の情報を知っていたミロワールも知らなかったみたいだし。

 ……うーん、報連相は組織の基本なんだけどねぇ。


「まあ、いずれにしてもコイツらが危険なのは間違いねぇんだろ? だったら先手必勝でやられる前にやるしかないぜ! 雷光抜刀(ローレンツ・ドロウ)!」


 雷を纏い、一瞬の踏み込みと同時に消えたと錯覚するほどの速度まで加速、雷魔法により発生させた高磁場を利用し、レールガンの原理で勢いよく鞘から刀身を射出し抜刀を行う。

 ギシュールの代名詞『雷切』の由来となった最速の斬撃はボクに向かって放たれた……のだけど、その刃はボクに届く前に打ち砕かれた。


「もういい加減あたしも戦っていいよな!?」


「……許可する前に既に暴れているよねぇ? まあ、そろそろ我慢の限界だろうし、一戦も戦わないっていうことになったらわざわざ臨時班に来てもらった意味がないし、ギシュールさんとの相性もそこまで悪くない。シスタールクスさんに任せるのが妥当だとボクも思うよ」


「よっしゃ! ってことでバトルの時間だぜ! 聖拳(セイント・ブロウ)躍乱拳舞(バーサクラッシュ)ッ!!」


「いや俺もう剣砕かれているんだけど!! というか、なんで俺の電磁抜刀術が結構余裕な感じで無効化されているんだよ!!!」


 見気の未来視による攻撃予測と、神速闘気と俊身、魔力による身体強化と魔力噴出によるブーストの合わせ技による高速移動でボクとギシュールに割り込み、武装闘気を纏わせた拳で高速パンチを放ってギシュールの剣を砕いたというのが真相なんだけど、まあ、確実にギシュールの目では捉えられなかったんだろうねぇ。……これでもまだ練度は甘さが残るレベルなんだけどなぁ。


 得物を失っても雷魔法で雷撃を落として攻撃することもできるんだけど、紙躱と見気を駆使しているシスタールクスには一撃も当たらない。

 そのまま聖なる魔力と武装闘気を纏った拳による怒涛の連撃を浴びせられ、一方的にボコボコにされたギシュールは原型を留めない肉塊と化して息を引き取った。……全く、えげつない殺し方をするねぇ。えっ、もっと凄惨な殺し方をするお前には言われたくないって……それ言われると反論できないよ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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