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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-209 臨時班の再始動と三大闇ギルド同盟の崩壊 scene.2

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 アイゼン……じゃなかった、フェンネル達への処置を完了したタイミングで残りをシャルティローサに一任して、ボクは臨時班の面々を集めた屋敷の一つへと向かった。


「ごめんねぇ、待たせたよね?」


「いや、俺達も今来たばかりだ。なっ、ディラン」


「おう! しかし、親友と俺に、カノープス公爵、マグノーリエさんとプリムヴェールさんだろ? 興梠さんに、レナードさんに、トーマスさんに、アメジスタさん、汀さんに、シスタールクスさんとヴァレンシュタインさん……急遽決まった臨時班にしては少々メンバーが多過ぎる気がするんだけどなぁ」


「ああ、この臨時班は任務三つ分だからねぇ。今回は連絡を入れたように『六魔修羅道(グラズヘイム)』の拠点に攻撃を仕掛ける。これが一つ目の任務ということになる」


「それが一つ目ということは後二つの任務はどうなるんた?」


「プリムヴェールさんの疑問はもっともだろうねぇ。……ボクの予測が外れていたら後二つの任務は取り消しになるんだけど、その可能性は割と高いと思っている。残る二つの任務は同格の闇ギルドである『冥王の心臓(デーモン・ハート)』と『幻界魔狼(マルコシアス)』の壊滅……なんだけど、現時点で二つのギルドのアジトの場所は判明していない」


「ギルドの場所が判明していないならどうやって襲撃を仕掛けるんだよ?」


「……レナード殿、圓殿が根拠なく襲撃を計画するとは思えない。私は鍵を握る人物が『六魔修羅道(グラズヘイム)』の中にいるのではないかと思ったのだが」


「トーマス先生のご推察通りだよ。鍵を握るのは『六魔修羅道(グラズヘイム)』のエセイリア=ドーマジックルと、『冥王の心臓(デーモン・ハート)』のオーロ=ブルチャーレ。この二人を利用することで『冥王の心臓(デーモン・ハート)』と『幻界魔狼(マルコシアス)』の情報を得ることができる。ただ、問題はそれ以上の情報を得ることができないことでねぇ……『管理者権限』を最も持っている可能性があるカズワリオ=フィシオロゴスには到達できないんだ。まあ、それに関してはまた別の機会にということで、今回は三大闇ギルド同盟を壊滅させよう」


 用意してきた三種類の冊子をそれぞれに一冊ずつ渡していく。

 冊子にはそれぞれのギルドの紋章が描かれていて、渡された冊子に描かれた同じ紋章のギルドを討伐する臨時班の一員として行動することになる。


「マグノーリエ様……では無かった、マグノーリエさんとは違う紋章が描かれているようだが?」


「今回は四人とボクという五人で一つの臨時班を三つ用意したんだけど、いずれの臨時班についてもあまり組まないメンバーを選定した。例えば、アクアとディランさん、マグノーリエさんとプリムヴェールさんみたいな普段から一緒に行動する人は別の臨時班に配属されている。今回のコンセプトは即席のパーティでも危なげなく任務を達成することだからねぇ。……いつも同じ人と組める訳じゃない。次のステップに上がるためにも普段組んだことがない人とも組んで臨時班として連携を取れるようにしてもらいたい。……まあ、今回は相手がそこまで強くはないと予想されるから可能なことなんだけどねぇ」


「『六魔修羅道(グラズヘイム)』の攻略組は俺とマグノーリエさんと、レナードさんと興梠さんか。……興梠さん以外は臨時班で行動したこともあるし、まあ、言うほど互いの実力を知らないってことはないな」


「よろしくお願いします、ディランさん、レナードさん、興梠さん」


「『冥王の心臓(デーモン・ハート)』の攻略組はラピスラズリ公爵様と、プリムヴェールさん、シスタールクスさんですね。……そういえば、臨時班ではあまり公爵様とは行動していませんね。この中で実力が分からないのはシスタールクスさんですか」


「まあ、あたしは強い奴と戦えればそれで十分だけどな!」


「……前途多難な予感しかしないな」


『「幻界魔狼(マルコシアス)」の攻略組がそう考えると一番バラバラかもしれないわね。トーマスさんとも汀さんともなかなか組む機会がないのよね』


「だが、何故かこのパーティが一番安定しそうな気がするな」


「……ヴァレンシュタインさんっていう戦闘狂が混ざっているけどねぇ。さて、まず『六魔修羅道(グラズヘイム)』組から行こうか? それ以外のメンバーに関しては軽食といくつかボードゲームを用意しておいたから自由に楽しんで待っていてもらってもいいかな? ああ、飲み物と軽食の補充は諜報部隊フルール・ド・アンブラル所属のリューナ=グレーダスに待機してもらっているから彼女にお願いしてねぇ。それじゃあ、ディランさん、マグノーリエさん、レナードさん、興梠さん、『六魔修羅道(グラズヘイム)』のアジトに行こうか?」



 アイゼンの記憶によると、『六魔修羅道(グラズヘイム)』のアジトはブライトネス王国のイトラス伯爵領にあるゼゲファ=トラス大森林の中にあるらしい。

 イトラス伯爵家の管理も十全には行き届かないほど深い大森林らしく、凶暴な魔物も多く生息することから、この大森林を迂回するルートを選択するのが一般的なのだそう。


 幸い、強力な結界を大森林を取り囲むように展開することで魔物による被害は他の領地に比べると少ないそうだけど、高い生命力を有して火魔法で焼き払おうともすぐに復活してしまう魔の森はイトラス伯爵家にとっては開墾すら不可能な土地は厄介なものでしかなく、手付かずの大森林という名の空白地帯が領地の大多数を占めることから外れの土地と呼ぶ者も多いのだとか。……まあ、イトラス伯爵自身が「外れ伯爵」を自称するくらいには不毛な領地だねぇ。


 まあ、普通は近寄らない場所。人目を避けたい盗賊達でもまず寝ぐらにしなさそうなところではあるんだけど、どうやら『六魔修羅道(グラズヘイム)』はこのゼゲファ=トラス大森林を拠点にしているらしい。


 ボク達はまずイトラス伯爵に状況を説明し、ゼゲファ=トラス大森林の探索許可を願い出た。

 イトラス伯爵家当主のサーヴァルト=イトラス伯爵は以前からアネモネに対して友好的でもなければ好意的という訳もないという割と中立の立ち位置にいた貴族だったから、今回の探索の話は上手くいかないんじゃないかと思っていたんだけど、ラインヴェルドとアネモネの友好関係を知っているサーヴァルトはボクと敵対するような真似をするのは得策ではないと思ったのか、交換条件を出す形で限定的にゼゲファ=トラス大森林の探索許可を出してくれた。


 その交換条件とはゼゲファ=トラス大森林の魔の森の強力な再生能力の秘密の調査と、可能であれば魔の森の除去。以前から領地替えを何度もブライトネス王国に依頼しているものの許可は出ず、じゃあ、もう魔の森を排除するしかないじゃないか! ということらしい。


「それで、親友? この大森林をどうやって排除するんだ?」


「うーん、まあ、イトラス伯爵家の気持ちを考えると排除するしかないか。……この森の異様なレベルの再生能力の正体は全ての木が地下茎で繋がっていて、火や病などで傷ついた木を即座に修復できる能力を持っているからだよ。分類上は植物系の魔物ってことになるねぇ。魔の大樹(プレデター・プラント)という魔物で、討伐方法は至って簡単。魔の大樹(プレデター・プラント)の本体を倒すこと。再生能力は本体が回復魔法をそれ以外の魔の大樹(プレデター・プラント)に届けているから成立しているから本体を倒されたら回復する方法が無くなってただの木になる。ただ、危険性は皆無な魔物だからねぇ。寧ろ、積極的に光合成を行って温暖化を抑制してくれるから、酸素を必要とする酸素生物や環境という視点から見れば割といい子なんだよ?」


「だが、実際にこの森の魔物が活性化しているとイトラス伯爵は言っていたが……」


「プリムヴェールさんは森が原因で魔物が活性化しているって思っていたみたいだけど、実際は森じゃなくてこの地の土壌に含まれる大量の魔力が原因かな? 本来の魔の大樹(プレデター・プラント)も流石にここまでは成長しない……もし、これほどの繁殖力があるなら魔の大樹(プレデター・プラント)に全ての樹木が成り代わられている筈だからねぇ。つまり、魔物の増加の問題も魔の大樹(プレデター・プラント)の急成長もこの地に眠る膨大な魔力をどうにかできれば解決するんだけど……とりあえず、魔物を討伐しながら『六魔修羅道(グラズヘイム)』のアジトに襲撃を仕掛けようか? 土壌対策は『極大付与術アルティメット・エンチャート』で土地から魔力を除去、魔の大樹(プレデター・プラント)は本体を見つけて討伐すれば問題なし……まあ、そっちは今回の優先事項じゃないんだけどねぇ」


 今回は『六魔修羅道(グラズヘイム)』の討伐が最優先だからねぇ。……先に森の方をどうにかするっていう手もあるけど、彼らの隠れ蓑の森が消えれば徒に警戒させるだけだし、戦火が飛び火して伯爵領の街に被害を出さないためにも森は残しておいた方がいいと思う。

 魔物はまあ、そこそこ手強かったけどボク達の敵ではないレベルだった。……まあ、強い部類ではあるかな? 強力な結界がなければ腕利きの冒険者が何人か必要になるレベルだねぇ……森の全ての魔物を討伐しようとするってことになると。


 『六魔修羅道(グラズヘイム)』は参加は多いもののギルドメンバー自体は割と少数で精鋭揃い。たった七人で闇ギルドの頂点の一角を占めているからねぇ……まあ、他も似たり寄ったりだけど。

 そこにたった五人で挑もうというのは相手からしたら命知らずと思われるんじゃないかな? 油断してくれたらやりやすいけど……まあ、相手は無数の修羅場を超えてきた闇ギルド最強の一角そう上手くはいかないよねぇ? 多分?

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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