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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-206 新年祭の騒動〜動き出す四人目の三賢者と夢追い人の互助倶楽部『綺羅星の夢』〜 scene.2

<三人称全知視点>


『まずはこのような形の謁見になったことをお許しください。……私もまさかこのタイミングでバレてしまうとは思っておりませんでしたし、これから『世界の王』と『世界の王妃』への謁見もございます。これは私の夢に至るためには必要な謁見でございますから、折角のチャンスを不意にする訳には参りません。……ただ、もう少しだけ時間がありますのでその間に『お喋り』くらいはしても構わないと思っております』


「お喋り、ねぇ。……例えば、この怪しげな機械の正体についてとか?」


『それはお答えする訳には参りません。この機械を作った彼は私の同僚……共犯者と言うべきでしょうか? その一人でして。互助倶楽部『綺羅星の夢』の一員とだけ言っておきましょうか? 恐らく百合薗圓さんに聞けばこの機械の正体を教えてもらえるでしょう』


「お前の口からは話す気がねぇってことか。まあ、いずれにしても圓には確認を取るつもりだったから関係ねぇけどな」


『しかし、驚きました。まさか那由多彼方を倒すとは……魔女(ヘクセンナハト)化した彼女が文字通り世界の存亡を賭けた戦いを仕掛けた時には私も肝を冷やしましたよ。私と彼女は同じ互助組織に所属する者ではありますが、その願いは対極に位置するものですからね』


「あの戦いをお前も近くで見ていたってことか? つくづく惜しいことをしたなぁ。今後のことを考えればお前はあの場で始末しておくべきだった」


『……その返答は意外でした。貴方は寧ろこの状況を喜ぶ方だと思っていましたので。……模範的な王の皮を被った修羅、それこそがラインヴェルド=ブライトネス、貴方の本質では無かったのですか? そうそう、我々には切り札がありますので、例外なく私の術の効果を受けた者は私の軍門に下ったと思ってください』


「ってことは、例外は無しってことか。……最悪のシナリオじゃねぇか。どうすりゃいいの? 全員で圓に土下座すればいいの?」


『個人的な考えではありますが、気づけなかったことが失態に当たるなら、この失態は圓さんにも当てはまることだと思います。何度も言いますが、私も正直このタイミングでバレるとは思っていなかったのです。それだけ偽装は完璧でした。……気づいたラインヴェルド陛下とオルパタータダ陛下の方が色々とおかしいと思いますよ。……しかし、随分と恐ろしい霸気ですね。本当に直接謁見せずに済んで良かったと思います。『霸気こそが全てを凌駕し、神域へと誘う』と彼女も仰っていましたが、その言葉の意味を痛感しました』


「……おいおい、まさか霸気まで!? ああ、最悪な気分だぜ。で、誰だ? 彼女って」


『ヒントは散りばめてありますから、それ以上のことを言うつもりはありませんよ。……さて、そろそろ謁見の時間です。ラインヴェルド陛下、この場で一つの取引に応じて頂きたいと思います』


「……取引、ねぇ」


『今後も私はその機械を使って暗躍するつもりです。無論、その機械を使って皆々様を害するとか、盗撮するとか、そういった目論みはありません。私はまだ準備の段階なのです。物事にはそれに相応しい場というものがあると思います。園遊会がそうであったように、次の戦いには貴方達多種族同盟が恐らく考えていらっしゃるように、それに相応しい舞台があります。私はその舞台のために最高の手札を揃えるつもりです。アントローポス、エクレシア、『救済の魔女(ナユタ≠カナタ)』、Queen of Heart、ミューズ・ムーサ・ムーサイ、リツムホムラノメノカミ、『永劫の虚無』、枢機司教達、『最初の天恵の巫女』イヴ=マーキュリー、冥黎域の十三使徒を中心とする『這い寄る混沌の蛇』の者達、三代皇帝トレディチ=イシュケリヨト……述べたのはほんの一部ですが、文字通りこれまでの戦いの総決算です! だから邪魔をしないでください。お互い舞台が整うまで不干渉と行きましょう』


「その対価が今までの曖昧な情報ってことか。……まあ、断ったら断ったで変なタイミングで仕掛けてきそうだし分かっているなら覚悟を決められる。いいぜ、乗ってやる」


『ありがとうございます。では、最後に最大の情報を差し上げましょう。多種族同盟の最大の敵とは一体誰なのか? 私……と言いたいところですし、未来は誰にも分かりませんが、確実にこの時点では『世界の王』と『世界の王妃』、唯一神アイオーンと創造神・智慧之神ヌースです。おや、そこまで驚いた様子ではありませんね』


「ああ、知ってたからな。まあ、でもその裏付けが取れたから良かったぜ」


『では、そろそろ時間ですので通信を切らせて頂きます。……次の戦争でお会い致しましょう』


 その言葉を最後に謎の機械は一切言葉を発しなくなった。


「とりあえずこいつの解析だな。……アクア、ちょっとジェルメーヌにこいつを渡してきてくれねぇか? 確か、裏方の方で侍女の仕事をしていただろう?」


「分かった、届けてくる。……ところで、この状況はどうするんだ?」


「どうするってどうにもならねぇだろ? 現状じゃ打てる対策はないし、約束しちまったからなぁ」


「父上、何故あのような得体の知れない者とあのような約束をしたのですか?」


 まるで失望したと言わんばかりに冷たい視線を向けてくるヘンリーに、ラインヴェルドが溜息を吐く。


「全く、そんなことも分からねぇのか? じゃあ、お前が俺の立場ならどうしたんだ?」


「勿論、王国の威信を掛けてあの機械を一掃し、機械を通して傲慢な態度を取っていたあの女を私達の前に引き摺り出します」


「あのさぁ、それができたら苦労はしねぇよ。……ってか、さぁ、それ机上の空論だろ? じゃあ、具体的にどうするんだよ? 魔法による探査も、それどころか見気すら通用しないんだ。それをどうやって見つけるって? 見つける方法があるって言うんなら俺に教授してくれよ、なぁ。それに、あの機械を通して俺に話しかけてきた相手がどこにいるかも分かっていねぇんだ。いや、今いる場所は大体予想が付くが、まあ、今の俺達じゃ絶対に辿り着けない場所だぜ。協力者に関しても情報はないし、霸気を使える可能性もある。ブライトネス王国の代表として国王陛下として威厳ある態度を示せって言いたいのは分かるぜ。……勝手に俺が決めちまったことに問題は生じるかもしれないが、俺はこの選択が正しいと思うぜ。敵が攻めてくるのが次の戦争だってことが決定したんだ。それ以外のタイミングで不意打ちを仕掛けてくるより対策し易い。お互い不干渉に、と向こうから提案してくれたんだ。じゃあ、それまでに俺達は俺達の取るべき対策をしっかりと取るべきだろう?」


「父上の考えは理解できません。あの父上に斬り掛かってきた冒険者達を許したことといい、今回のことと言い」


「それはこっちのセリフだぜ。……お前のこと、もう少し賢いって思っていたんだけどなぁ。……まあ、別に俺はお前がそれでいいならいいけどさぁ、もう少し視野を広く持った方がいいぜ。……お前は昔から卒なく物事をこなしてきた。要領のいいお前は昔の俺よりも賢かったと思うぜ。万能な天才であるが故に幼い頃から世界に退屈していて、どこかでこの世界をつまらないものだって思っている節があるだろ? そこの英雄の娘にも言えることだけどさぁ……お前ら、この世界を舐め過ぎだろ? まあ、こればかりはいくら口で言ったところで分かってもらえねぇと思うが、いつかお前らは人生最大の窮地の中で理解することになると思うぜ? 本物の深謀遠慮と、真の世界の姿をなぁ。……しかし、これをポジティブに考えるしか無くなったなぁ。もしかして、救える命もいくつかあるんじゃねぇか? そう考えたら……もしかしたら、アイツも? いや、まさかなぁ……」


 「王としての威厳を示せ」と言いつつもヘンリーは機械を通して語り掛けてきた女の素性すら知らない。結局、何も対策を立てられないヘンリーはラインヴェルドの決定を覆す方法を提案することができなかった。

 睨め付けるヘンリーを無視してラインヴェルドは新年祭での職務に戻る。ラインヴェルドとヘンリーの間に決定的な亀裂が走った瞬間をヴェモンハルトは悲痛な表情で見ていることしかできなかった。



<三人称全知視点>


『この先が謁見の場だ。くれぐれも失礼のないように』


「分かっております」


 背後に控えるのはアントローポスとエクレシア。

 シャッテン・ネクロフィア・ シャハブルーメとは圧倒的に格が違い過ぎる二人から特別扱いされて彼らの主人てあるアイオーンの元へと案内されている理由は、自身の固有魔法「残留思念から英雄を復活させる」で二人を蘇らせたからである。


 完全に圓の手に落ちたエンノイアを復活させることは叶わなかったが、二人の強大な戦力がアイオーンの手に戻ったことはアイオーンにとっても喜ばしいことである。

 シャッテンを自身の神域に招くくらいには感謝の心を持っているということなのだろう。


『ようこそ、我が神域へ。シャッテン・ネクロフィア・ シャハブルーメ。私の名はアイオーン、そして彼女はヌースという。今回は君の固有魔法でアントローポスとエクレシアを蘇らせてくれて本当にありがとう。……流石に我も同時に二人も失うのは大きな痛手だったのだ』


『『も、申し訳ございません。アイオーン様!』』


 アントローポスとエクレシアでさえ、シャッテンにとっては雲上人だった。

 しかし、彼らの主であるアイオーンは二人とは明らかに格が違い過ぎる。圧倒的なプレッシャーに晒され、シャッテンの額から無数の汗が流れた。


『我らと汝は、いずれは敵同士。唯一神は唯一故に唯一神なのだからな。だが、我は世界の存亡を左右する宴に追加参戦があっても良いと考えている。我は我とヌース以外の二十八のゲームの有力者達に『管理者権限』を与えた。そして、彼らと同様に汝にも望むのであれば『管理者権限』を与えたいと思っている』


「勿体なきお言葉ですわ」


『そう固くならずとも良い。汝には二つに分かられる以前の完全な形の『魔法少女暗躍記録〜白い少女と黒の使徒達〜』の『管理者権限』と、不完全なものではあるが『Eternal Fairytale On-line』の『管理者権限』を与えよう』


「ありがたき幸せにございます」


『『憂鬱』や汝ら『綺羅星の夢』が計画している魔法学園の断罪を口火とした戦争のことは我らも承知している。そのアントローポスとエクレシアを汝に貸し与えよう。そ奴らも百合薗圓とのリベンジに燃えているだろうからな。汝らの奮闘を楽しみにしているぞ』


 アイオーン達との謁見を終えたシャッテンは汗を拭ってアントローポスとエクレシアと共にシャッテンの保有するアジトへと向かう。


 シャッテンにとっては人生最大の恐怖の時間だったが、この謁見によってシャッテンは大きく夢へと近づいた。新たに強大な戦力を味方につけることに成功したシャッテンは夢を叶えるために共犯者と共に来る戦争に向けて暗躍を続けていく。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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