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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-202 恋色に染まる新年祭(2) scene.7

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 『Jazz Storm 〜Sing! Swing! and Beat!〜』……作詞者も作曲者もボク、つまり百合薗圓。

 でも、そんな御大層なジャズ曲っていう訳でもなく、百合薗グループの忘年会で月紫さん、化野さん、柳さん、陽夏木さん、斎羽さん、高遠さん、蛍雪さんとジャズセッションをした際に半ばお巫山戯で作った曲。……なんだけど、メンバーが一通り楽器を扱える……どころか、結構な腕前の人ばかりだから(月紫さんと高遠さんと蛍雪さんに関しては相当練習したみたいだけどねぇ。柳さんは学生時代に吹奏楽の経験があって、化野さんと斎羽さんはあっさり楽器の扱い方を習得してしまった。……まあ、あの二人は器用だからねぇ)、演奏レベルは割と高い。


 序破急という雅楽的な三部構成で、だんだんとテンポが上がって求められる技巧のレベルも上がっていく。

 似たようなフレーズを繰り返しつつも、そこに複雑に音が足されていくから曲を聴く方にとってはあんまり違和感がないんだけど、演奏する側だと最後の高速化かつ超絶技巧化した急のパートはもはや鬼畜の所業……まあ、でもちょっと難しくないと張り合いないしねぇ。


 実はルーネス、サレム、アインスにも音楽を教えていた縁でジャズの曲の演奏方法も教えていて、三人とも一通りの楽器で『Jazz Storm 〜Sing! Swing! and Beat!〜』を演奏できたりする。

 なんでも相当練習を重ねたそうで凄いレベルにまで至っているから、正直ルーネスに関しては心配は皆無。ボクもこの曲でアクシデントを起こすことはないし、不安要素はプロである筈の『ビックバンド・スコール』のキャスト達ということになる。まあ、曲は作曲者と作詞者を隠して一般公開しているし、ジャズのプロなら当然は演奏をしているだろう。……というか、演奏できないなら途中で止めるように誰かが言ってくる筈だし。


 ただ、曲名を聞いた瞬間にキャスト達が明らかに渋面になったから自信はあんまりないんだと思う。……じゃあ、ゲストをステージに呼んでセッションしようとするなよ。


 さて、このどう考えても波乱しかないアンコールの演奏だけど、『ビックバンド・スコール』のキャスト達が必死の形相で怒涛の演奏を耐え切ったことで一度のミスもなく無事に終えることができた。会場からは割れんばかりの拍手、支配人とキャスト達は安堵の表情を見せつつ、どこか疲れ切った顔をしていて、ルーネスは割と楽しそうな表情で「もう一曲くらい演奏しますか?」なんて冗談(?)を言ってキャスト達を怯えさせていた。


 まあ、よく分からない上に誰得? って言いたくなるようなアクシデントはあったものの(『ビックバンド・スコール』側はボクの演奏力を知っていて確実に演奏を失敗しないからサプライズに協力してもらっても問題ないだろう。なんて軽い気持ちで事前の打ち合わせとか無しに本当にサプライズでアンコールに呼んだんだろうけど、結果的に『ビックバンド・スコール』のキャスト達はかなりの負荷で疲弊しているし、支配人は誰かが演奏失敗で台無しになってしまわないかとヒヤヒヤしていたし……うーん、サプライズであっても基本的にこういう場合は事前に打ち合わせとかするんだけどねぇ)、ルーネスも楽しんでくれたし、デートとしては大成功……なのかな?


 その後、ルーネスを目的地のレストランまで送り届けてルーネスとのデートは一旦終了。この一分後にサレムと共にルーネスと合流し、その一分後にアインスと合流して三人でレストランに入る予定だ。

 三千世界の烏を殺してサレムと合流……さて、デート第二弾を始めますか!!



 サレムとのデートは『ホンテッド・パレス』というお化け屋敷系アトラクションと『パイレーツ・オブ・ドワルゴン』というシューティングライドアトラクションの二つを予定していたのだけど、サレムが同意をしてくれたので予定通りの二箇所を巡ることになった。


 まずは『ホンテッド・パレス』へ。廃城を舞台としたお化け屋敷で一階から四階へと上がり、四階からはVRライドで一気に一階まで駆け降りるというお化け屋敷とライドの良いとこ取りをしたようなアトラクションの内容になっている。

 一階から四階まで移動する際には三つのミッションを攻略する必要がある。順路通りに進めば攻略できるような内容になっているものの、ミッションの攻略に手間取り過ぎると後続に影響が出て待ち時間が伸びるという点は若干不評なものの、凝った世界観は人気を博し、ホラー部門では『ストレンジ・カースエレベーター』と並んでホラー部門一位タイ。

 ちなみに、全てのアトラクションの中でも十本の指に入るくらい人気を博している。


 一つ目のミッションは十二の謎を解くこと。ただし、右側の最奥の部屋も含めて存在する十二箇所の部屋のうち左側の最奥の部屋以外の鍵は閉められていて、必然的に左側の最奥の部屋に入るしかない。

 ということで、まずは左側の最奥の部屋に移動。二つ分の部屋を繋げた晩餐室には左右に獅子の石膏像と天秤の石膏像が置かれ(石膏像の土台にはそれぞれ「Leo」と「Libra」と書かれている)、机には大量の料理を模した食品サンプルが置かれている。


 入室した地点の丁度反対側には晩餐室の絵画が飾られている。この絵画が次の部屋に行くための鍵になっているんだけど、サレムはこの謎に気付けるかな? まあ、その前に仕掛けはあるんだけど……。


「まずはこの先に行く方法を見つけないといけませんね。あの絵画の裏側に行くことができれば次の部屋に入ることができると思うのですが」


「うんうん、そうだねぇ。絵画というか、あの絵画が飾られている壁を越えれば次の部屋に行けるんだけど……分かっているとは思うけど霸気を纏わせた剣でぶった斬るとかじゃないよ?」


「分かっていますよ。この部屋の仕掛けを解かないと次に進めないのですよね……何かヒントが壁画にあるのでしょうか?」


 サレムが絵画に近づいていき、その後を追うようにボクも絵画に向かって歩いていく。

 そして、ボク達が丁度晩餐室の真ん中を超えた頃、背後から気配がして……返り血を浴びたゾンビメイドが斧を持って立っていた。


 斧を引き摺ってボク達の方へと徐々に迫ってくるゾンビメイド……を完全に無視してサレムは絵画に歩いていく。もう謎を解くことしか眼中にないらしい。

 唸り声を上げながら迫り来るゾンビメイドを二人で無視して絵画に向かって歩いていく。


「十二の部屋……で獅子と天秤ということは黄道十二星座ということでしょうか? 料理も細々なところは違いますが、そこに仕掛けはないと思いますし、椅子に座っている王族と控えているメイド達も恐らく関係ないでしょうし……天秤……そういえば、ここの天秤は傾いていますが、絵画の中だと釣り合っていますね。つまり、天秤を釣り合わせれば良いということですね。あの獅子の石膏像以外でこの部屋にあるものを天秤に乗せて釣り合わせるのではないでしょうか?」


 ブンブン斧を振り回すゾンビメイドを完全に無視して(絶対見気で気づいているだろうし、見気使わなくても気づくレベルだと思うけど、完全に無かったことにしているよねぇ)、食品サンプルを手に持って見繕い始めるサレム。……ちょっとゾンビメイドが可哀想になってくるねぇ。まあ、ボクも最初に来た時にはゾンビとかお化けとかキャストは全員無視したんだけど……あんまり人のこと言えないか。


 吟味しながら天秤に乗せるサレムとそれを見守るボク、斧を振り回すゾンビメイド……カオスな時間が続いた……んだけど、それが唐突に幕を閉じた。まあ、要するにゾンビメイドが業を煮やしたんだよねぇ。


「こ、怖がってくださいよ!! 何のために『ホンテッド・パレス』に来たんですか!!」


「何って……謎を解きに?」


「謎を解くのに忙しいので後にしてもらってもいいですか?」


「もう嫌!! アネモネ閣下、前に来た時にもこんな感じでしたよね!! 脅かすのか仕事なので襲ったりはしませんし、襲ったら返り討ちにされそうですけど、こういう風に徹底的に無視されると辛くなってくるんですよ!!」


「……じゃあ、女の子らしくキャーって叫べばいいの? ボクってそういうキャラじゃないんだけど。というか、今時女の子の方が肝が据わっているからねぇ」


「だからって無反応は無いと思います!!」


 とりあえず、人並みには怖そうにした方がいいんじゃないかとサレムと二人で「キャー!」って叫んでみたら叫んでみたでゾンビメイドのキャスト(フォルトナ=フィートランド連合王国出身のシェージェンヌ=レイズ)に「嘘くさい」って言われるし、一体どうすればいいんだろうねぇ。


「……ところで、部屋って本当に十二個なのでしょうか? 十二の謎……扉の数は十二でしたが、この部屋は少なくとも二部屋分、恐らく獅子と天秤を意味するのでしょうけど、欠落があったのは天秤のみ。十二の謎とは十二個の謎ではなく、黄道十二星座に関わる謎があるということでしょうか? それに、手渡されたゴブレットも気になりますし」


「うんうん」


「もう一つ気になるのは十三個目の部屋ですね。……先程見気を使ったらもう一部屋あることを発見しました。ただ、その部屋に行く方法は分からないままですが。……恐らく、対応するのは黄道十二星座の十三番目に数えられる蛇遣い座ですね」


「な、なんでそんなことまで思いつくのですか!? 前回のアネモネ閣下といい、サレム殿下といい……このアトラクションの開発にアネモネ閣下は関わってないのですよね!?」


「関わっていませんよ? でも、何かしらのショートカットできる方法が隠されているんじゃないかとか普通は考えませんか? 蛇遣い座は黄道十二星座関連が出てきたらまずは疑うべきところですね」


「私も先生の意見に同意です」


「もうやだこの人達!!」


 ゾンビメイドの絶叫が『ホンテッド・パレス』の一階に響き渡ったとか、響き渡らなかったとか……キャストが叫んでどうするの?

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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