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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-199 恋色に染まる新年祭(2) scene.4

<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 ネストと共に向かったのはアフタヌーンティー専門店の「TEAROOM〜Golden Flowery Orange Pekoe〜」。

 融資型ではなくビオラが直営で運営しているアフタヌーンティー専門店で、一応ボクも監修の立場で参加している。


 店長や役職持ち店員、その他店員を含めて元々ビオラの別の部署で働いていた人から希望者を募って従業員を揃えている。まあ、今後人手が足りなくなれば「TEAROOM〜Golden Flowery Orange Pekoe〜」が求人を打って従業員を集めるということも行われると思うけどねぇ。


 組織図的にはモレッティの管轄で、店長は元『Rinnaroze』の第三シェフのプリューナ=ヴァレンアイズ――初期の頃からペチカと共に『Rinnaroze』を盛り上げてきた腕利きの女料理人だ。

 第一シェフのカリュツファー=リュエールが肉の専門家、第二シェフのマイネード=リコラスが魚の専門家であるようにプリューナはお菓子の専門家――パティシエールであり、アフタヌーンティー専門店の「TEAROOM〜Golden Flowery Orange Pekoe〜」でも主に洋菓子を専門にしている。……まあ、専門というだけでそれ以外のことに関しても並みの料理人以上の技量があるんだけどねぇ。


 人気店だし、突然連絡を入れても席の確保は難しいんじゃないかと思っていたんだけど、このプリューナ店長が気を遣って普段から特別なお客様をもてなすために用意しているという特別席を開放してもらうことができた。

 二階のオープンテラスに三つのテーブルが用意されていて、席からはブライトネス王国の王都の街並みを堪能することができる。その中のテーブル席の一つが特別席ということになるらしい。……店の運営には携わっていないからこういう席が用意されていることは知らなかったなぁ。


 席に案内してくれたのはまさかのプリューナ……そこまで至れり尽くせりしてくれなくてもいいんじゃないかと思いつつ、プリューナからメニューを受け取って開く。


「王道アフタヌーン・ティーセットで」


「では、僕もそれで」


「承知致しました。ご用意致しますので少々お待ちくださいませ」


 注文してから用意するまで時間がある。その間にボクはネストにプレゼントを渡すことにした。


「ネストにプレゼントを渡したいと思ってねぇ。アフタヌーン・ティーがくる前に渡しておくよ」


「……変なものじゃないよね?」


「あれ? ボクってもしかして信用されてない!? ああ、勿論、『Rosetta』で買ったロリィタ数点もネストへのプレゼントだよ?」


「いらないよ! 着る予定もないし!」


「後、ボクがネストに着てもらいたくて作ったドレスもあるんだけど」


「義姉さんの手製の品はとても嬉しいけどドレスって……複雑な気分だよ」


「ちゃんと男物のスーツとかもあるよ。ただ、たまには女装姿を見せてもらいたいな……って思うけどねぇ」


「…………ま、全くもう。し、仕方ないなぁ。義姉さんがそこまで言うなら、た、たまになら着てあげてもいいよ!」


「本当に典型的なツンデレさんだねぇ」


「そんなんじゃないから。……本当は嫌なんだけど、義姉さんがしょんぼりしている姿を見るのはあんまりいい気分じゃないからね。……プレゼントってもしかしてドレス? 女性ものの服?」


「流石にそれは嫌がられそうだから、ドレスと服はサブのプレゼントの扱いで後でネストの部屋に届けるつもりだよ。ボクが作ったブローチとカフスボタンのセット、これが今日のデートの記念品……これを見て今日のデートを振り返ってくれると嬉しいなぁって思っていたんだけど」


「……あの着せ替え地獄を思い出してうなされて欲しいって?」


「そんなに辛かった?」


「……義姉さんが百合好きでボクに女装して欲しいという気持ちは分かっているつもりだよ。本当は義妹の方が良かったって思っていることも。……だけどやっぱり僕にも男としての矜持があるからね」


「……本当に申し訳なかったよ。ちょっと暴走し過ぎた。まあ、反省はしていないけど」


「本当に義姉さんらしいなぁ。……もし、ほんの少しでも申し訳ないと思っているなら仕切り直してもう一度デートをしてもらえないかな? 今度は僕が義姉さんをエスコートするよ」


「まだ時間があるし、ネストが満足してくれるなら『TEAROOM〜Golden Flowery Orange Pekoe〜』でお茶を満喫した後はネストにエスコートをお願いしようかな? なんかごめんねぇ、迷惑掛けて」


「いいよ……それに、いつも義姉さんにはお世話になりっぱなしだからさ。デートの内容も……若干……いや、かなり自分の欲望を優先していたとはいえ、ちゃんと考えてくれていたみたいだし。……本当はちゃんと『TEAROOM〜Golden Flowery Orange Pekoe〜』でお茶デートをしてくれるつもりだったんでしょう?」


「さぁ、どうだろうねぇ」


「……義姉さんの場合は本気で着せ替えデートをする気満々だったかもしれないから、恐ろしいよね。……ブローチとカフスボタン、ありがとう。僕の好きそうなデザインと色を考えてくれたんだよね? 大切にするよ」


 アフタヌーン・ティーをネストと共に堪能した後、ボクはネストと共に夕刻のブライトネス王国王都に繰り出した。

 屋台を巡りながら二人で同じ時間を共有する……まあ、新年祭で屋台も一際盛り上がっているし、普通はこういうデートをするものだよねぇ。……ごめんよ、着せ替え祭りなんていう趣味極振りなデートを提案してしまって。まあ、ネストの美少女姿を沢山拝めたから全く後悔はしていないんだけど。


 歩いているうちに空は夜の闇に染まっていく。

 そして、午後六時頃、空を彩る無数の打ち上げ花火が打ち上げられる中、ボクはネストと共に王都の一角にある小高い丘に登った。


 ブライトネス王国の国立公園の一つで、初代国王の時代から存在している。

 初代国王テオノア=ブライトネスが後に妻となるシェルカ=メルディスと、僅かな仲間達と共に挑んだ最初の戦争においてテオノア側の勢力の拠点となった場所でもあり、この一帯はワードリス古戦場と呼ばれることもある。


 自然を残しつつも人の手でしっかりと整備がされているから打ち上げ花火を見るには絶好のスポットなんだよねぇ。……まあ、王都の各所でも十分楽しめるからわざわざワードリス国立公園まで来て花火を楽しむ人は少数派……というか、皆無なんだけど。


 街の喧騒から離れた丘の頂上で置かれたベンチにネストと共に手を繋ぎながら花火を見る。恋人っぽい甘い雰囲気に赤面するネストが可愛い。

 ……成長したとはいえ、まだまだウブなところがあるよねぇ、ネストって。


「義姉さん、今何考えている?」


「ん? そうだねぇ……平和な日常だなぁ、って思っているよ。まだまだ戦いは続いていくけど、いつか必ず終わらせる。……『管理者権限』も全て回収して、瀬島奈留美との因縁も終わらせる。そしたら、またボクの大切な人達とこうして花火を見ながらデートをするのもいいかなって」


「……大切な人達」


「月紫さん、スティーリアさん、ソフィスさん、ルーネス殿下、サレム殿下、アインス殿下……勿論、ネストも入っているよ。大切は大切だけど、ちょっと意味が違う大切な人達――ボクの好きな人達。そんなみんなと沢山の思い出を作りたいなぁ、なんて」


「そのためには、まずは魔法学園だね」


「その前にペドレリーア大陸の件を終わらせないといけないけどねぇ」


 戦いの日々にある、ほんの僅かな平穏な時間――その幸せを噛み締めながら、ボクはネストと共に最後の打ち上げ花火が上がるその瞬間までワードリス国立公園でデートを満喫した。



 ルーネス、サレム、アインスとのデートはこれまでのスティーリア、ソフィス、ネストとのデートとは異なり三人と同じ場所で待ち合わせをしている。


 場所は最近オープンしたばかりのド=ワンド大洞窟王国のテーマパーク「アンダーグ・ランド」。

 こういう娯楽が少ない世界だからオープン当初から人気を博しているんだけど、新年は種族問わず家族と過ごすことが多いため、客は普段より少ない。


 合流地点は『氷炎の大山脈〜Photoros Dragon Legend〜』の乗り口付近と約束しているので、まずは合流地点に向かった。

 通常なら三十分待ち、四十分待ち、五十分待ちなんてことはザラにあるんだけど、今日は二十分待ち……確かに長いけど、人気のアトラクションだからねぇ、これでも空いている方なんだよ。


 今後、改良が加えられていく中で追加される可能性はあるけど、今のところアトラクション優先入場案内システムは導入されていない。なので、基本的にはちゃんと並んで順番待ちをする必要がある。……貴族の中には権力を振り翳して優先的に入ろうとした輩もいたらしいけど、王族(というかラインヴェルドとオルパタータダ)が率先して他の客と同様しっかり並んだことでクレームが無くなったとかなんとか、というか、あいつら一体何やってんの!! 本当に子供より子供っぽい人達だよねぇ。


 順番待ちをし始めてから十五分後、本を読みながら暇を潰していると、ロケットダッシュでボクに向かって走ってくるアインスが……。

 勿論、本は片付けてぶつからないようにしっかりとキャッチしたよ。


「会いたかったよ! アネモネ先生!!」


「……アインス、先生に迷惑をかけちゃダメですよ。遅くなりました、アネモネ先生」


「お父様から話を聞いていて一度訪れたいと思っていました。これが、先生が設計した『氷炎の大山脈〜Photoros Dragon Legend〜』なのですね」


 後からアインスを咎めるサレムと、『氷炎の大山脈〜Photoros Dragon Legend〜』を見て目を輝かせるルーネスが到着。……残り五分のタイミングで主役が揃ったねぇ。本当にいいタイミングだ。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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