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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-198 恋色に染まる新年祭(2) scene.3

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 ブライトネス王国の外れに位置するボクの保有する屋敷の地下には本格的なものではないものの映画館が存在する。

 客席数は僅かだけど、試写するには十分な広さで今日実際にソフィスに見せるものを作る際に協力してくれた劇団フェガロフォトの面々と試写会をした時にもこの屋敷を使って問題は生じなかった。


 今日はソフィスと二人きりだし、客席の問題はまず発生しないし、試写会の時のように人数がそこそこ居て圧迫感が、といった事態にもまずならない。設備の面で今回のデートが失敗することは無さそうだねぇ。


 一先ず試写のための一通りの準備を終えたところで、一階でソフィスを出迎える準備をする。ポップコーンとジュースの組み合わせがやっぱり映画鑑賞では王道だけど、ソフィスがあんまり食べ慣れていないものだし、紅茶と手軽に食べられる焼き菓子を用意しておいて、どちらか好きなものを選んでもらおう。まあ、紅茶以外にもコーヒーに、お茶に、炭酸飲料に、色々と用意してあるんだけどねぇ。


 一通り準備を終えたところでどうやらソフィスが到達したらしく、ピンポンとチャイムが鳴った。


「いらっしゃい、ソフィスさん」


「お招きありがとうございます、圓様」


 まずは屋敷の一階にある応接室にソフィスを案内する。


「今日は前回ボクにソフィスさんがしてくれたみたいに、所謂おうちデートをしたいと思っている。ただ、内容はソフィスさんがしてくれたものとは大分違うけどねぇ。今日わざわざこの屋敷まで来てもらったのはこの屋敷にしか今のところ存在しない施設を使いたかったからなんだけど、ごめんねぇ、随分と遠かったでしょう?」


「確かに王城からはかなり距離がありましたね。……ところで、この屋敷でしかできないデートとはどのようなものなのでしょうか?」


「まあ、それは後のお楽しみ。その前にやっておかないといけないことがある。これから小一時間ほど見てもらいたいものがあるんだけど……観劇を思い浮かべてもらったら分かりやすいかな? その時に何か飲み物と食べ物があった方がいいと思うんだけど、ここにあるものから好きな飲み物と食べ物を選んでもらってもいいかな?」


「紅茶とコーヒー、ジュースと、マフィンは分かりますが、この細長いお菓子と、これは一体何なのでしょうか?」


「細長いお菓子はチュロスといって、小麦粉と水と少量の砂糖・塩を混ぜた生地を星型の搾り器から搾り出して油で揚げ、ハチミツ、砂糖、シナモンなどをまとわせたもの、そして、この紙の入れ物に入っているのはポップコーンといって玉蜀黍を炒ったお菓子だよ。キャラメル味と塩味を用意したけど、オススメはやっぱり塩味かな? ボクは炭酸オレンジジュースと塩味のポップコーンにするつもりだけど……」


「では、私もそれをお願いします。圓様と同じものを食べたいですから♡」


 ポップコーンを二つと炭酸ジュースと紅茶(ソフィスは飲み物の方は飲み慣れた紅茶を選んだ)を持って階段を降りていく。

 地下一階に到着すると三つある扉の中で真ん中の扉を開け、その中へとソフィスを案内した。


「……ここは?」


「映画館……といっても分からないか。昔アニメのことは話したけど、そのアニメーションを大きなスクリーンで見られる施設と言ったら分かってもらえるかな? 正確には不特定数の観客に対して長いフィルムに高速度で連続撮影した写真や絵を映写機で映写幕(スクリーン)に連続投影することで、形や動きを再現したものを上映する施設なんだけどねぇ。アニメーションと違うのは映画の方は基本的に単発で、一般的には二時間くらいのものが作られる。アニメーションは宣伝やオープニング、エンディングを含めて三十分くらいのものが数十話ということになるから、トータルで計算すればテレビアニメーションの方が長くはなるねぇ。今回、ソフィスさんに見てもらおうと思うのはこの二時間程度のアニメーション映画ということになる。これに関してはソフィスさんに見せることを目的に作ったから他の場所での公開は予定していない。もし、ソフィスさんが興味を持ってくれて原作者の許可が得られればこれは一つのプロジェクトになるかもしれないけどねぇ。……それじゃあ、話していても仕方がないし始めようか?」


 映画の内容は『エメラルドの王女と仮面の伯爵』の劇場版。脚本はソフィスが書いた原作をダイジェスト化して上手く編集し直したもの。……流石に全編映画化したらアニメ一クールでも若干足りないし、流石に二時間の映画にはならないからねぇ。

 食べることも飲むことも忘れたかのように映画の世界に没頭するソフィスを横目で見ながら、ソフィスへのプレゼントを『統合アイテムストレージ』から取り出しておく。


「どうだったかな? イメージと違っていたら申し訳ないな、と思いながら作っていたんだけど」


「……『エメラルドの王女と仮面の伯爵』のみんなが画面の中で生きていました。圓様から頂いた『典幻召喚(コール・ヴィジョン)』の時も感動しましたが、その時の感動とはまた少し違いますわね。……本当に、圓様は私達を喜ばせるのがお上手ですわ。これは、きっと私にとって一生の大切な思い出になると思います」


 ソフィスにとって思い出深い『エメラルドの王女と仮面の伯爵』――その映像化だからソフィスの納得がいかない内容になってしまったかもしれないと不安だったんだけど、どうやら杞憂だったみたいだねぇ。


「それと、これはボクからのプレゼント」


「これほど素晴らしい映画を見せて頂けたのに、その上プレゼントまで……本当にいいのでしょうか? こんなに幸せなことがいっぱいあって」


「どちらも普段頑張っているソフィスさんへの細やかなプレゼントだよ。中身はソフィスさんをイメージした手製のドレスと『エメラルドの王女と仮面の伯爵』の同人誌……後者の方は解釈違いが起きているかもしれないから、場合によっては劇物かもしれないけど、ボクなりに『エメラルドの王女と仮面の伯爵』を解釈して作ったものになるよ」


「ドレスに、圓様の書いてくださった『エメラルドの王女と仮面の伯爵』……本当に、ありがとうございます! ドレス大切にしますね。『エメラルドの王女と仮面の伯爵』は帰ったら早速読ませて頂きます! ああ、今からもう楽しみで仕方ありません!」


 満面の笑みでプレゼントを大事そうに抱えるソフィス……本当に可愛いねぇ。用意して本当に良かったよ。

 その後、ソフィスにアクアマリン伯爵家の皆様へのお土産のケーキを渡してアクアマリン伯爵邸まで送り届け、ソフィスとのデートは終了となった。



<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 ――ロリィタを主力とする服飾雑貨店『Rosetta』にて。


「……義姉さん、絶対にこれって僕を楽しませる目的のデートじゃありませんよね。ラズリーヌさんも義姉さんを止めてください! なんで乗っかって一緒に喜んでいるんですか!?」


「えっ、なんで止めないといけないのですか!? こんなに可愛いのに!! ……本当に男の方なのですよね? 少しだけお化粧をしただけでどこからどう見てもロリィタちゃんです!」


 羞恥の感情で少しだけ頬を赤く染めたネストはもはや乙女のようにしか見えない。女装しているなんて絶対にバレないんじゃないかな?

 甘ロリに身を包み、少しだけ恥じらいの表情を浮かべるネストにボクもラズリーヌも興奮しっぱなし! 天使が、天使が舞い降りた!!


「……ねぇ、義姉さん。スティーリアさんとソフィスさんとはもうデートしたんだよね?」


「ん? そうだけど?」


「その内容って具体的にどんなものだったのかな?」


「スティーリアさんとのデートは氷菓専門店『Frozen』で氷菓を食べた後、アイスダンスを踊って、打ち上げ花火を見ながらプレゼント渡して、その後屋台巡り。ソフィスさんとは『エメラルドの王女と仮面の伯爵』の劇場版を二人で鑑賞した後、プレゼントを渡して終了って感じかな?」


「明らかに僕だけ罰ゲームのような気がするんだけど」


「そんなことないと思うけどねぇ。……まあ、確かに趣味に極振りし過ぎた自覚はあるよ。ネストの女の子の姿、いっぱい見たいなぁ、って思いながらデートコースをデザインしたし」


「まさか、『Rosetta』以外にも……」


「後十二件予定しているよ?」


「却下だよ! そんなの!!」


「そんな男口調で話さないでくださいよ! 折角可愛い女の子になっているのに!!」


「貴女はちょっと黙っていてください!!」


「でも、今後ラピスラズリ公爵家を継ぐなら女装の技術は割と必要になると思うんだけどねぇ。面が割れると潜入とかできないし、いっそ女装して潜入捜査をした方が安全だと思うんだけど。ほら、この機会に女の子の仕草とか学んでみたらいいんじゃないかと思ってねぇ。……そんな怖い顔で睨まないでよ、美少女の怒り顔とか、可愛過ぎてどうにかなっちゃいそうだよ!!」


「もう既に色々と手遅れだと思うよ、義姉さん!」


「手遅れって今更だよねぇ。ネストと初めて出会った頃から大体こんな感じだったよ。……まあ、ちょっと趣味に極振りしてしまった自覚はある。ネストも嫌みたいだし、もう一つのデートプランにしようか」


「ちゃんと用意してあったんだね、もう一つのデートプラン。……って、義姉さん、そんなあからさまにがっかりしないでよ。分かったよ、この後のデートも女の子の格好をすればいいんでしょ! でも、流石にこんなフリフリの服を着ているのは恥ずかしいから別の格好でのデートなら、仕方がないからしてあげてもいいよ!」


 ツンデレなネストも可愛い……じゃなかった、なんだかんだでネストも優し過ぎるよねぇ。なんだかんだ言って付き合ってくれるし。

 今回のデートプランは悪ノリが過ぎた自覚があるし、次の機会があったらちゃんとしたデートを提案するとしよう。


 町娘風の服に着替えてもらい、それに合わせてメイクを直した後、ボクはデート内容をサブプランに切り替え、ネストと共に目的地に向かって歩き出した。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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