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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-196 恋色に染まる新年祭(2) scene.1

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 予定通り七時にアルベルトが予約したレストラン『Clair de lune.』に到着。

 しっかりとしたコース料理で飲み物の幅も広い。一応未成年扱いだからお酒は注文せず、飲み物は紅茶を注文。


 夜景を眺めながら楽しい食事を……とは思っているんだけど、あんまりそんな気分になれないのが本当に申し訳ないと思っている。


「先程から浮かない顔ですね。……お口に合いませんでしたか?」


「とても美味しい料理だし、夜景も絶景、夜空に打ち上がる花火も美しいんだけど……ちょっとそういう楽しさに浸れる気分じゃなくてねぇ。デートの内容を考えてくれたアルベルトさんには本当に申し訳なく思っているよ。……実は先程ジェルメーヌからメールがあった。ボク達が参加していない新年祭のパーティで一騒動あったらしい。結論としては想定の範囲内ではあるんだけど、その中に想定していなかったことも含まれているという感じかな? ボクが最も起きて欲しくないと願っていた最悪のシナリオが肯定されて、今後はそれを込みで考えていかないといけないから胃が痛いんだけどねぇ。……詳しい話は後日時空騎士(クロノス・マスター)宛ての一斉メールに書くけど、そうだねぇ……ボクが大規模な戦闘が発生する可能性があると考えているローザ=ラピスラズリ公爵令嬢の断罪――それが引き金となって起こる戦争は恐らく過去最大のものになると思う」


「……それは園遊会の時よりも、ですか?」


「間違いなく、園遊会以上だねぇ。……ただ、相手の動きが読めないからもしかしたらもっと前に仕掛けてくる可能性もある。その場合も彼女が動くだけで園遊会以上の内容になることは間違いないから覚悟はしておきたいねぇ」


 アルベルトがゴクリと唾を呑む音が聞こえた。


 アルベルトが経験した戦争の中でも最も規模が大きかったブライトネス王国戦争(まあ、それはボク達多種族同盟所属の戦争経験者全員にも言えることなんだけど)を容易に上回る戦力って聞けば怯えるのも無理はない。そういう話を聞いて嬉しそうにするのはラインヴェルド達一部の戦闘狂だけだと思う。

 まあ、この件に関してはボクも絶望だけを感じている訳じゃない。あの時叶わなかった再戦や、今思うと悔いのある選択……そういった「有り得べからざる」を叶える機会が与えられたと考えたら少しは希望も見出せはするんだけどねぇ。


「まあ、その辺り考えても仕方がないし、そろそろ気持ち切り替えるよ。しかし、流石はヴァルムト宮中伯家御用達のレストランだねぇ。細やかな気配りが一品一品にされているのが伝わってくる品々ばかりだ」


「気に入って頂けたのでしたらまた来ましょうか?」


「お話は有難いけど、奢られてばかりというのも気が引けるからねぇ。一応、ボクもこんな見た目だけど稼ぎのある大人のつもりだし、次はボクの方でデートプランを用意させてもらうよ。まあ、それはそれとして素敵なレストランを紹介してくれてありがとう、またどこかで一緒に来たいと思ったよ」


「それは良かったです」


 ボクの稼ぎなら余裕だけど、筆頭侍女の給金だけだと少し厳しい価格帯の店なんだろうねぇ。メニュー表に料金が書かれていないところがまた恐ろしい……まあ、金額を気にする人が来るような店ではないんだろうけど。


 コース料理を食べ終わったところでデートは終了、レストランでアルベルトと別れ、「三千世界の鴉を殺し-パラレル・エグジステンス・オン・ザ・セーム・タイム-」と空間転移魔法を同時に使って正午のボクの保有する屋敷の一つに転移、アネモネのアカウントに切り替えて身支度を整え、フォルトナ=フィートランド連合王国に向かった。



<一人称視点・アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 フォルトナ=フィートランド連合王国の新年祭午前の部はフォティゾ大教会が主導する儀式なので参加するのはフォルトナ=フィートランド連合王国の王族とフォティゾ大教会の関係者のみ。

 オルパタータダは「午前の儀式に参加しても別に構わないぜ!」とか何とか言っていたけど丁重にお断りさせてもらい、参加するのは午後から行われるパーティーだけということになる。


「アネモネ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン大統領閣下、ご到着にございます!」


 会場に到着すると、さわさわと話を弾ませている宮廷の蝶達も、顔見知りの貴族達も一斉にボクの方へと視線を向けた。

 一応、緘口令が敷かれ、フォルトナ=フィートランド連合王国外に情報が広がらないように制限が掛けられているけど、フォルトナ=フィートランド連合王国……というか、フォルトナ王国の中でボクの正体に関する情報はかなり広まっている。


 ビオラ=マラキア商主国とクレセントムーン聖皇国――二国の君主であり、同時にドゥンケルヴァルト公爵、ライヘンバッハ辺境伯、グラリオーサ辺境伯兼宮中伯を持つ大貴族……まあ、注目されない筈がないよねぇ。


「おっ、早かったな? もうちょっと遅れてくると思ったんだけど」


「時空魔法を使えるのに遅れるのは失礼なことだと思いまして、あまりご迷惑にならない時間に訪問させて頂きました。新年明けましておめでとうございます、オルパタータダ陛下、ルーネス殿下、サレム殿下、アインス殿下、イリス様、シヘラザード様」


 礼儀正しく挨拶したのに「気持ち悪っ!」みたいな顔をされるの、本当に腹立たしいねぇ。


「いつもの口調に戻したらどうだ? なんか凄い気持ち悪いぜ」


「……父上、言動が無礼千万です。圓様に謝罪してください」


 ルーネス、サレム、アインスのトリプルジト目を向けられながらも「俺って変なこと言ったか?」と首を傾げる鋼メンタルのクソ陛下。……ほら、イリスとシヘラザードの視線まで絶対零度だし、アルマンに至っては溜息を隠そうとすらしていないよ。


「一応、国王陛下と王家の皆々様に礼節を持って挨拶をしたつもりなんだけどなぁ。……ボクの立ち位置って割と怪しいから名前呼びで挨拶をするのはまあ、ありかな? とは思っているんだけど」


「俺とお前の仲だし、いつも通りでいいと思うぜ。フランクに行こうぜ」


「親しき仲にも礼儀ありって言葉もあるんだけどねぇ」


「それでどうする? お前と挨拶したい貴族も大勢いるだろうが、その前に折角だし一曲くらいダンスを踊らないか?」


「えっ、陛下と? 嫌だよ。絶対に妨害仕掛けてくるじゃん。ボクはダンスバトルするつもりは更々ないからねぇ。……ということで、ルーネス殿下、サレム殿下、アインス殿下、イリス様、シヘラザード様、ボクと一曲お付き合い頂けないでしょうか?」


「勿論です! よろしくお願いします、圓様」


「ありがとうございます」


「先生と踊れる日をとても楽しみにしていたんだ!」


「あらあら、嬉しいご提案ね。えぇ、勿論お受けするわ」


「私もお受けするわ。楽しいダンスになりそうね」


「俺だけハブられているんだけど!!」


 オルパタータダが五月蠅いので、結局オルパタータダとも踊ることになった。

 ゆったりとした音楽に乗りつつ、ルーネス、サレム、アインスとは女性パートで、イリス、シヘラザードとは男性パートで踊り、オルパタータダは明らかに予定外のステップを踏みまくってくるので結局ダンスバトルに……だから嫌だったんだけどなぁ。


 途中、ここがパーティの会場で騎士以外も大勢いることを完全に忘れたポラリスが「礼儀がなっていない!」みたいなことをガミガミ言ってきたり、そんなポラリスにミゲルが同調したり、シューベルトが覇王の霸気を纏わせた剣で斬りかかってきたり、モネがドM発動したり、ドロォウィンを踵落としで粉砕したり、ヨナタンとジョナサンとジョゼフに斬り掛かられたり、レオネイドとバチストの愚痴を聞かされたり(気づいたらフレデリカとジャスティーナも増えて愚痴大会になっていた)、婚約したファンマンからパワーアップした惚気話を聞かされたり、みたいなアクシデントがあったけど、その後はボクとの挨拶を希望するフォルトナ王国の貴族達と挨拶を無事に終わらせ、食事を堪能するアクアとディラン(フォルトナ勢の転生者だからこっちにも参加し、その後、オルパタータダ達と共にブライトネス王国の新年祭に参加する予定らしい)とも新年の挨拶を交わし、パーティを満喫することができた。


 しかし、やっぱりフォルトナ王国の社交界は好意的な視線が多くて、参加していて気分が良いものだねぇ。

 アネモネとして築いた信頼、ボクの正体が広く知られていること、この二点があるからこそほとんど他国の人間ながら敵意や害意を向けられることがほとんどない。対等な存在として接しようとする意識が随所に見られ、「貶めてやろう」みたいな悪意がほとんど存在していないんだよねぇ。……まあ、ボクを貶めようなんてすれば王家を敵に回すし、ボクも敵に回るし、で散々な状況になるだけなんだけど。


 打算的なものがあるのは仕方ないし、やっぱり駆け引きはちゃんと存在しているんだけど、それは社交界の醍醐味でもあるし、それにこういう駆け引きは別段嫌いじゃない。

 ブライトネス王国だとこんな風にはいかないからねぇ。……祖国より気兼ねなく参加できる他国の新年祭って一体なんなんだろうか?


 パーティの後半ではオルパタータダの無茶振りでピアノに座らされ、フォルトナ=フィートランド連合王国の宮廷楽団と合同で演奏することになったりと、本当に滅茶苦茶だったけど、全体的に見ればとても華やかで楽しいパーティになったと思う。


 パーティの終了間際、ボクはルーネス、サレム、アインスに再び会いに行き、改めてデートの開始場所と時刻を伝えた。ルーネス、サレム、アインスはこの後仮眠を取ってからブライトネス王国の新年祭に参加し、その後、ボクとデートをするという流れになるらしい。

 三人にとってボクとのデートが新年のメインディッシュなのだそうだ……そこまで期待されるとちょっと本当にこれで良かったのか心配になるねぇ。


 まあ、でもルーネス、サレム、アインスにしっかりとデートを楽しんでもらえるように、全力で取り組むつもりなんだけど。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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