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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-179 激動の一年の終わりと新年祭 scene.3

<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>


 聖夜祭……というか、大晦日は大いに盛り上がった。

 ペチュニアのサプライズ登場にも料理にも満足してもらえたようだし、同じ食卓を囲むというプリムラの小さな願いも叶えることができた。プリムラから許可を得られたので、来年以降もペチュニアを含めたメンバーで聖夜祭の夜を過ごしたいと思っている。まあ、いつかはやめないといけない日が来るんだろうけどねぇ……いや、ラインヴェルドが参加したもっと大きくて騒がしい食卓になりそうな気がしないでもないけど。


「今年一年、ありがとう。明日からも、またよろしくね!」


「勿論でございます」


「今夜は私とシェルロッタ、真月が夜警につきますので安心してお休みください」


「今夜はオルゲルトめが……と思っておりましたが、お三方なら致し方ありませんな。よろしくお願いしますぞ」


「えっ? 真月さん?」


『ワォン!』


 ボクの影からピョンと飛び出して現れる真月。……さては食堂でお腹いっぱいプリンを食べて来たな? プリンの欠片が口についているよ。

 とりあえず、ハンカチでプリンの欠片を拭き取りつつ、プリムラに今後のことを話すことにした。


「明日の新年祭、万が一の場合があるかもしれませんので警備のために真月を影に潜ませておいて頂けませんでしょうか?」


「私はいいのだけど……明日の新年祭、何か起こるのかしら?」


「何かが起こる可能性は極めて低いとアネモネ閣下もお考えのようですが、未来は誰にも分かりませんからねぇ。真月は強いですから、どのようなことが起きても基本的には対処できると思います」


「分かったわ。明日はお願いね! 真月さん!」


『ワォン! 任せてよ!!』


 プリムラの影に真月が飛び込む。多分そのままぐっすりだと思うけど、真月も阿呆の子じゃないからねぇ、有事になったらきっと目を覚まして対処してくれると……思いたい。


「明日の朝は俺特製のモーニングセットだから楽しみにしていてくださいよ、姫さま」


「わ、私も夜警を――「ソフィスさんは寝ようねぇ」


 ボクと一緒に徹夜しようとしたソフィスは勿論止めた。昨日も徹夜して原稿仕上げていたの、お姉さん知っているんだよ?



 新年祭の朝は早い。早朝から一般参賀の国民達がやってきて、国王陛下のお言葉(アーネストが用意した台本通りに。あのクソ陛下にそのまま喋らせたら何話すか分かったもんじゃないからねぇ)に耳を傾け、そして王族は神殿へ、国民は祝賀の祭りにそれぞれ向かう。

 そして、ボク達使用人はお仕事に行くって流れだ。ちなみに、新年の使用人は基本的に希望者を募る形なので、シフトの関係で出勤せざるを得ない人以外は当然のことだけど志願した上での出勤ということになる。だから、働く側が「新年早々仕事かよ……」みたいな感じで悲観していることはないんだよねぇ。じゃあ、士気がいつもより高いかと言われると、それはそれで微妙ではあるんだけど。

 いつも通り粛々と仕事をしている者もいれば、仕事始めだからと気合を入れている者もいる。まあ、本当に人によって色々だねぇ。


 外宮周辺は一般参賀用に開放されているので賑やかだけど、王女宮みたいに奥まったところは比較的静かだ。

 この冬の静謐な空間が厳かな空気を醸し出して、不思議と背筋が伸びる気持ちになる。こういう空気感、好きなんだよねぇ。


「おはようございます、プリムラ様」


「おはよう、ローザ」


 いつものようにお支度をお手伝いして、髪形を整え、朝の熱い紅茶を一杯。

 そして飲み終わるとタイミングを計ったかのようにノックの音がして食事がオルゲルトによって運び込まれてプリムラの一日がスタートとなる。


 一般参賀は八時頃の予定だから、それまでに段取りの確認を行い、王宮内部にある簡易神殿で禊をしないといけない。その後着替えて一般参賀に出席、プリムラが言葉を発することはないけど手を振るという仕事があるから防寒着をしっかり着込んで頂かないとねぇ。

 そして、そのまま黒百合聖女神聖法神聖教会のブライトネス統括教会の神殿に赴いて祈りを捧げ、十一時半頃には王宮に戻り、昼食を取ってから午後のパーティに参加ということになる。ボクの仕事はパーティ前のプリムラの着替えの手伝いまで、ということになるねぇ。……結構タイトなスケジュールだよ。


 禊を終えたところで、儀式用のドレスに御着替え頂いて、お化粧をほんの少しだけ。この段階で美少女(天使)超美少女(女神)になったんだけど、そこに加えてビアンカ王太后から譲り受けたアクセサリーを身に着けると……あっ、尊い。

 あまりの尊さに気絶し掛けたものの、気合いで何とか耐えて鼻血をプリムラに気づかれないように拭い(シェルロッタとソフィスにはバレていたらしい。ちなみに、オルゲルトは食事を片付けた後に仮眠を取りに行った)、最後に髪を整えて終了。


 真っ白なドレスに豪奢な金の髪を編み、華奢なデザインのアクセサリーを身に着け、あどけなく笑うその姿は……あっ、もうダメかも……(ばたんきゅ~)。


「だ、大丈夫! ローザ!」


「ローザ様はあまりのプリムラ様の美しさに耐えきれずダウンしてしまっただけですから大丈夫ですわ」


 まあ、すぐに復活したんだけどねぇ。いつまでも倒れている訳にはいかないし。


「……ご心配をおかけしましたわ。とてもお美しいですよ、プリムラ様」


「本当? 嬉しいなぁ、ありがとう! いつもより大人っぽく見えるかな?」


「はい、とても素敵なレディになられました」


「ふふ、嬉しい!!」


 無邪気に喜ぶプリムラ、可愛い。癒されるねぇ。



 午前の行事ごとは滞りなく終わった。一度儀式用のドレスやお化粧を全てオフにし、バスローブのようにゆったりした部屋着でお寛ぎ頂き、昼食の扱いになる軽食を用意し、食べ終えてから小休止を置いたところでパーティのためのドレスに着替えて頂き、そしてご来賓の皆様がある程度お揃いになり、王家の方々がご入場という段まで待機となる。


 ボクの役目は、次のドレスに御着替えになるところまで。その後は休みを取っていたオルゲルトと交代して、午後の半休に入ることになる。


 ちなみに、ソフィスもこのタイミングで休みに入り、後でボクとデートをすることになる。ソフィスには待ち合わせ場所を伝えているので後でその場所で合流する予定だ。スティーリア、ネスト、ルーネス、サレム、アインスも同様だねぇ……まあ、ルーネス達とはその前にフォルトナ=フィートランド連合王国で会うんだけど。


 ここからの流れはなかなか詰め込まれていて、この後、パーティ開始前にアルベルトと共にマリエッタ達に挨拶をして、そのままアルベルトとデート。その後、三千世界の烏を殺してフォルトナ王国の新年祭に出席、ブライトネス王国に戻ってスティーリア、ソフィス、ネスト、ルーネス、サレム、アインスとデートをしてパーティが幕を閉じる夜に王女宮に戻る。

 まあ、その分楽しみがいっぱいあるんだけどねぇ。


 イブニングドレスに着替え、軽く化粧をしてから髪型を整える。

 Aラインのネイビーのドレスで一見地味なように思えるけど、幻想級クラスのドレスを解いた糸を使っていて素材は最高級クラス。かなり耐久性が高いので、実は下手な鎧より防御力があったりする。……えっ、強度は必要ないだろうって?


 丁寧に刺繍を入れ、肩から袖は総レースにしてエレガントさをアピール。露出は低めにしていて、上品さも醸し出させる。そして、露出が低いということは即ち防御力が……えっ、戦闘ありきになっているって? ただお洒落なものよりもお洒落な上で性能も高いものの方がいいと思わない?


 ただ待っているのも暇なので、コーヒーを淹れて本を読みながらアルベルトの到着を待つ。ブラックコーヒーもいいけど、たまにはカフェオレも飲みたいってことで角砂糖一つとミルクをたっぷり淹れたカフェオレ。流石に、ジェルメーヌみたいな甘みの爆弾みたいなものはキツイから、ほどほどの甘さだよ。


「アルベルトです、遅くなりました」


 ノックの後、アルベルトの名乗りを聞く間も無く扉を開ける。見気を使えば誰が来ているかくらい判別できるからねぇ。


「てっきりデートですからいつもの騎士服で来るかと思いましたが、夜会用の礼服ですか。随分と気合が入っていますねぇ」


「今日はプライベートで公式の場に行く訳じゃないというのを強調しようかと思いまして。それに、気合を入れなければ簡単に捨てられそうですから」


「人聞の悪いことを言いますねぇ。捨てるんじゃないですよ。アルベルト様が諦めるか、諦めないかというただそれだけです。ボクからこの関係を諦めるように言うつもりはもうありません。……ボクの気持ちを変えるか、心変わりをして関係を解消するか、どちらになるかは今後のアルベルト様次第だよ」


 今は嫌悪感が強いけど、今後マリエッタに絆されるかもしれない。そうなれば、マリエッタと敵対するボクに敵意を向けることになるだろ。まあ、敵意を向けられたところで多分心が痛むことはないし、何一つ心が動かされないまま敵対したアルベルトを殺せる自信はあるけど。


「ローザ様のドレス、とても似合っていますね」


「そりゃ、ボクに似合うように計算して作ったドレスだから似合っていて当然だよ。この年齢のローザ=ラピスラズリが一番似合うドレスだからねぇ。……まあ、それはそれとして褒め言葉は例え社交辞令だとしてもありがたく受け取っておくよ」


「素直に喜んでは頂けないのですね」


「甘い言葉を掛けて素直に喜んでくれる女の子がいいならボクは対象から外すべきだと思うよ。ボクは捻くれ者だからねぇ」


 本当になんでこんな可愛げのないボクなんかに惚れたんだろうねぇ。イケメンで近衛のホープだから結婚相手なんて選び放題のなのに。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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