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百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 9. ブライトネス王立学園教授ローザ=ラピスラズリの過酷な日常と加速する世界情勢の章〜魔法の国事変、ペドレリーア大陸とラスパーツィ大陸を蝕む蛇、乙女ゲームの終焉〜

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Act.9-176 次代の魔王と、大迷宮攻略。 scene.7

<一人称視点・リーリエ>


 リーリエにアカウントを切り替えて【カイの深淵迷宮】の迷宮統括者(ギア・マスター)が待つ千層のボスの間に突入する。

 もはやお馴染みとなった円形の闘技場には漆黒の巫女服を纏った黒髪の女性の姿があった。巫女系……ってことは、回復やサポートを得意としている職業かな? まあ、単体で迷宮統括者(ギア・マスター)をしている以上は攻撃手段を何一つ持ち合わせていないということはないと思うけど。


『ようこそ迷宮へ。私はこの迷宮の迷宮統括者(ギア・マスター)を務めているモーリシア・χ・ラビュリントと申します。私を倒し、下の階層に到達した者にはこの迷宮を制覇した者にはこの迷宮の支配権が与えられます。それではここまで辿り着いた挑戦者の皆様、最後の勝負です! 存分に力を発揮してください』


「アスカリッドさん、エリーザベトさん、エイレィーンさん。約束していたようにここからはボク一人で戦わせてもらうよ」


「うむ、分かっておる。そういう取り決めじゃからな! エリーザベト、エイレィーン、邪魔にならないように下がるとしよう。巻き込まれたらただではすまんからな」


「アスカリッドさん、流石にボクも本気は出さないよ。迷宮統括者(ギア・マスター)は殺さずに味方に引き込みたいからねぇ」


『随分と余裕そうですわね。確かに、私の職業は暗黒巫女(ダーク・カンナギ)暗黒看護師(ダーク・ナース)――回復を最も得意とし、次点でサポート技を得意とする後方支援役です。しかし、だからといって迷宮統括者(ギア・マスター)に必要となる戦闘力が皆無という訳ではございませんわ! あまり、私こことを舐めないで頂きたいですわ』


「いや、舐める舐めないの問題ではないのじゃ。お主の目の前にいるリーリエ殿はこれまで数多くの迷宮統括者(ギア・マスター)と戦って勝利を収め、迷宮統括者(ギア・マスター)達を従魔としてきた。……一人だからと軽んじない方が良いと思うぞ。まあ、警戒したところで勝てぬものは勝てぬじゃろうが」


『……ちなみに、数多くというのは具体的には?』


「エヴァンジェリンさん、ドミティアさん、リヒャルダさん、ベラトリックスさん、サトゥルニナさん、アピトハニーさん、カトリジャーヌさん、リヒャルダさん――八人だねぇ。いずれも最終戦だけはボク一人で戦わせてもらってきた。別に君の力を舐めているという訳ではないよ。そっちの方がボクにとって都合がいいというただそれだけ」


『……先程の態度、謹んで謝罪させて頂きますわ。これまで数多くの迷宮統括者(ギア・マスター)を倒してきた挑戦者に私の力がどこまで通じるのか分かりませんが、全力を尽くして勝負させて頂きます!』


 しかし、律儀だねぇ。アスカリッド、エリーザベト、エイレィーンがしっかりと下がり終わるのを待ってから攻撃してくるとは。

 他の迷宮統括者(ギア・マスター)にも言えることだけど、これまで会ったメンバーは真面目な性格な人ばかりな気がする。まあ、そりゃ、真面目な性格じゃなければ迷宮の管理なんてできないよねぇ。


 迷宮統括者(ギア・マスター)であることに誇りを持ち、だからこそ軽んじられるような真似をすると怒りを覚えるのだと思う。じゃあ、真面目一辺倒が祟って柔軟な態度を取れないかというとそうでもない。状況を判断して的確に考えを変えられる柔軟性を持ち合わせている。

 アスカリッドの話を聞いてボクを油断ならない相手と見定めたのだろう。ボクが一人で戦うと言い出した時にはボクを軽んじる視線を向けていたけど、今の表情はその時以上であることは勿論、初対面でボク達に向けてきたものより以上に緊迫している。……挑戦者を見定めるというよりも、自身が挑戦者として強敵に挑む、そういう心境になっているんじゃないかな? 見気で心を読んでもそんな感じの気迫が伝わってくるし。


『先手必勝ですわ! 暗黒医術・黒域の増殖ダークバイオ・インクリース!』


 取り出したのは無数の注射器。黒い何か(恐らく特殊な菌のようなものなんじゃないかな?)が注入された注射器を高速で投擲する。

 暗黒巫女(ダーク・カンナギ)の技っぽくはないし、暗黒看護師(ダーク・ナース)の技の一つなんじゃないかな?


「渡辺流奥義・颶風鬼砕!」


 『漆黒魔剣ブラッドリリー』を鞘から抜き払って鋭い風の刃をイメージした霊力を纏わせ、勢いよく抜刀して横薙ぎすると同時に爆発させて周囲全てを斬り捨てる。

 爆発的な破壊をもたらす風と、鋭く切り刻む風を放って投擲された無数の注射器をボクに命中する前に撃ち落とす。


 MOBの捕獲確率に影響を与える隠し効果がある『魔眼(イビルアイ)』を駆使して捕獲確率を上げつつ、【万物創造】で作成したMOBの捕獲確率を上昇させる課金アイテムのドミネートMOBポーションをがぶ飲みしながら捕獲確率を高めていく。


「イービルストーム・ジ・エンド!」


 必ず即死しない程度の威力に調整された敵を瀕死に追い込むほどの威力を誇る「イービルストーム」の派生技でモーリシアのHPを瀕死まで追い込む。以前は「精神激痛(ダイレクト・ペイン)」でギリギリまでHPを削っていたけど、こっちの方が効率がいいからねぇ。


暗黒医術・苦痛圧縮ダメージコントロール・インパクト! 宵闇の障壁!!』


 これまでの迷宮統括者(ギア・マスター)は回復能力を持たない場合が多かった。だから、こういう戦法が通用したんだけど、どうやらモーリシアには通用しないらしい。

 自身の受けたダメージを巨大なシャボン玉の形で取り出してHPを全回復し、そのまま巨大なシャボン玉をボク目掛けて放ってくる。


 更に油断せず闇属性のダメージ遮断障壁を張ってくる慎重さ……もしかしたら、これまで戦った中で一番捕獲が難しい迷宮統括者(ギア・マスター)なのかもしれない。


「円環の太刀風! 影蝙蝠の吸血姫(ナイトメア・ドッペル)!!」


暗黒医術・電気解剖刀(ラジオナイフ)


 巨大なシャボン玉は旋風の斬撃を放ち、巨大な円環状の斬撃で回転鋸のように対象を切り裂く侍系三次元職の侍大将の特技で破壊し、「イービルストーム・ジ・エンド」一発分のダメージを回避。

 そのまま「影蝙蝠の吸血姫(ナイトメア・ドッペル)」を発動してリーリエの影を嗾ける。


 対するモーリシアは巨大なメス型の剣を取り出して雷撃を纏わせて「影蝙蝠の吸血姫(ナイトメア・ドッペル)」に斬撃を放ってくる。


影片蝙蝠ナイトメア・ブリックバット


 雷撃を纏った剣が「影蝙蝠の吸血姫(ナイトメア・ドッペル)」に命中する……というタイミングで無数の影の蝙蝠に変化させ、モーリシアを襲わせる。まさか、蝙蝠となって攻撃を仕掛けてくると思わなかったモーリシアは躱し切れずに蝙蝠の噛みつきを浴びた。

 ダメージ遮断障壁の「宵闇の障壁」の効果で二、三回の蝙蝠の噛みつきはノーダメージに住ませることができたようだけど、襲い来る蝙蝠の総数は百体。当然、回避し切れずに許容量以上の噛み付き攻撃を浴び、副作用の睡眠の状態異常が発生する。


 しかも、あれだけ噛み付かれたのだからかなり強力な睡眠効果が発生している。「暗黒医術・苦痛圧縮ダメージコントロール・インパクト」を使う余裕もなく、そのままモーリシアは寝落ちしてしまった。


「睡眠のバッドステータスを使わざるを得ないところまで圓殿を追い詰めるとは、なかなかの強敵じゃったな。しかし、やることが鬼畜過ぎるぞ」


「いや、まだ終わってないからねぇ。一応捕獲率を上げるためにHPは削っておきたいし、今から『イービルストーム・ジ・エンド』を放って瀕死に追い込んでから捕獲する」


「そんなことをして大丈夫なのか? 起きてしまうのではないか?」


影片蝙蝠ナイトメア・ブリックバットの睡眠効果はかなり強力なんだ。一撃浴びたくらいじゃ目を覚まさないよ」


「……本当に恐ろしい技じゃな」


 アスカリッドに予告した通り「イービルストーム・ジ・エンド」を放って瀕死に追い込んでから【万物創造】で支配者の鎖網を創り出し、モーリシアに投げた。

 鎖がチカチカと緑色に点灯を続け、八回、鎖が明滅すると緑の光が消え、パリィーンと音を立てて鎖が砕け散る。


全状態異常回復術式(パーフェクト・キュア)


 神官系四次元職の施療帝と聖女が習得可能な最高ランクの状態異常回復魔法を使ってモーリシアを深い眠りから解放する。


『参りましたわ。今後は従魔としてお仕えさせて頂きます。よろしくお願い致しますわ』


「よろしくねぇ、モーリシアさん」


 名前は変更せずに「モーリシア・χ・ラビュリント」と彼女の迷宮統括者(ギア・マスター)時代の名前をそのまま採用。まあ、いつも通りだねぇ。


 名前(NAME):モーリシア・χ・ラビュリント

 種族(SPECIES)暗黒巫女(ダーク・カンナギ)暗黒看護師(ダーク・ナース)迷宮統括者(ギア・マスター)

 所有(owner):リーリエ

 HP:40,000,000

 MP:50,000,000

 STR:70,000,000

 DEX:10,000,000

 VIT:19,000,000

 MND:19,000,000

 INT:82,000,000

 AGI:29,000,000

 LUK:15,000,000

 CRI:10,000,000


 ステータスを確認してからボク達はモーリシアの案内で最下層へと続く階段を降りる。

 真紅の魔法陣が設置された小部屋と、青色の魔法陣が設置された小部屋、二つの部屋を繋ぐ中部屋がある最下層に辿り着き、まずは魔物を迷宮内部に封印した。


 青色の魔法陣の上にある山積みの硬貨や、幻想級の武器や防具ファンタズマル・アイテム、宝石や貴金属などの換金アイテム、数十種類はある大量の素材アイテムのうち、宝石や貴金属などの換金アイテムと硬貨以外をボクの取り分としてもらい、残った硬貨はそのまま魔王軍の代表者であるアスカリッドに手渡した。


 まだ多種族同盟に加盟していないから紙幣への交換は加盟後に彼女が必要と判断すれば交換することになる。ちなみに、この費用は魔王軍の運営費と迷宮で命を落とした者達の遺族への見舞金に使うそうだ。

 魔王としては正しい判断かもしれないけど、攻略したアスカリッド達自身のために使っても別にバチは当たらないと思うんだけどねぇ。


 新作のロリィタを買う費用にちょっとだけ使ってもいいのではないかと思い浮かべ、すぐに頭を振って欲を打ち消した民思いのアスカリッドには後で匿名で『ミルキーウェイ』のロリィタの新作をプレゼントすることにして、カトリジャーヌ、リステルカ、モーリシアの三人とプリンセス・エクレールをラピスラズリ邸とボクの保有する屋敷にそれぞれ送り届けてからアスカリッド達と共に迷宮を後にして魔王城に戻った。

 お読みくださり、ありがとうございます。

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 もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

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