表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜  作者: 逢魔時 夕
Chapter 3. 香辛料は大航海時代以前の地球でも異世界ユーニファイドでも貴重なのです!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/1357

Act.3-2 国王陛下御前の模擬戦-ローザvs戦闘使用人- scene.2

<一人称視点・アネモネ>


 ヒースは沈んだ。それはそれは呆気なく、自業自得で沈んだけど、戦闘中に気絶したならそれはもう敗北だ。……というか、もし実戦だったらその隙を突かれて殺されかねないから、じゃれ合うのは戦闘が終わってからにしてもらいたいんだけど……。


「幻惑の森」


 おおっと、水属性を応用した幻惑魔法で虚像を作り出してきたか。確かカレンの十八番だったねぇ。……自分の虚像ではなく作り出したのはアクアとサリア……なるほど、年少コンビで攻めてくるのか。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 左で手刀を作って、空中に四縦五横の格子を描く破邪の法を、滅多矢鱈に振り撒く。……一応狙ってはいるんだよ? ただし、虚像を含めて闇雲に攻撃しているから二人……いや、幻惑魔法を使っているカレンを含めて三人は読まれていないって思っているみたいだけど、残念。


 ボクもこの一年、何もしていなかった訳じゃない。ボクの研鑽は、異世界ユーニファイドの技術の調査と研鑽だけに留まらず、元の世界の――地球における得難い技術にも及んだ。

 その大きな成果の一つ(・・・・・・・・・・)が三種類の闘気を束ねた武装闘気であり、もう一つが――。


「【錬成・谷地眼】」


 ほうほう……アクアの方が勘が良かったみたいだねぇ。

 地面を錬成することで変化させ、局所的に底無し沼のような状態を作り出し、本物の(・・・)サリアの足を封じた。


 もう一つの技術――勿体ぶったけど、その正体は気を読み、鍛え方次第では未来視や他者の心を読むことする可能とする見気――見聞の気のことなんだよねぇ。

 

 まずは内なる気を感じ取ることから始め、気の形を掴んだらちょっと狡いけど気配感知を使って相手の気を探っていく。それを積み重ね、最後は目で……いや、感覚で気を視る境地に至る。ここまで来てようやく見気、そこから未来視や他者の心を読むというまで行くには相当な鍛錬が必要なのだろう……まあ、やるけどねぇ。

 そして、ここに来てようやくボクもスタート地点に立った訳だ。何のって? 見気でも闘気でもない、第三の気っていうものに辿りつくものだよ。……まあ、実際にボクも聞いたことは無かったんだけどねぇ。きっと秘匿されていたんだねぇ、この力。

 魂の根幹に根差す第三の気……気そのものを己の根源たる象へと近づけて、変化させる力。いつかここにたどり着きたいけどねぇ。いつになるやら。


「こうなったら!!」


 サリアが小さな隠しナイフ(毒が塗られているもの)を投擲してくる。……そうはいかないよ。


 統合アイテムストレージから取り出したベレッタPx4を取り出して間髪入れずに隠しナイフを撃ち落とした。あっ、弾丸はゴム弾を装填したものを使っています。今回のは殺傷性とか要らないからねぇ。


 直後、六発の銃声が戦場に響いた。ああ、メイド長のヘレナだねぇ。

 元々弓と属性魔法の矢を組み合わせた狙撃のプロだったヘレナと拳銃や狙撃銃の相性はピッタリだった。今では回転式拳銃(リボルバー)ではコンバットマグナムとS&W M686、自動拳銃ではコルト ガバメント、狙撃銃ではレミントンM700と、ドラグノフ狙撃銃、マクミラン TAC-50とKSVK 12.7と、それぞれ使い分けているらしい……まあ、正確に言えば統合アイテムストレージから取り出したこれら拳銃や狙撃銃を基にして錬成複製した、〇〇(擬)と呼ぶべきものなんだけど……。


 でも、銃声が響いたというだけで、それが命中したなんて一言も言っていない。


「渡辺流奥義・颶風鬼砕」


 鋭い風の刃をイメージした霊力を武器に宿し、勢いよく抜刀して横薙ぎすると同時に爆発させて周囲全てを斬り捨てる奥義で爆発的な破壊をもたらす風を生み出して全ての弾丸を叩き落とす。ここに鋭く切り刻む風を加えないのがポイントなんだよねぇ、えっ、そんなこと知らないって?


 「渡辺流奥義・颶風鬼砕」の届かない範囲から勢いよく間合いを詰めて独特な斬撃を繰り出してきたアクアを、「風精-暴風障壁・圧-」――風の精霊に霊輝(マナ)を供給することで、風を圧縮して障壁を生成する原初魔法で止めつつ、底無し沼と化した土に嵌ったサリアに「千羽鬼殺流・歳星」――霊力を武器に通わせて自在に操ったり、霊力そのものに形を与えたりする技を使って生み出した水の竜で撃破した。


 二人撃破したのでアカウントをマリーゴールドに変更して――。


這い迫る雷蛇スリザリン・ボルテージ


 『沙羅双樹の魔杖』を掲げて魔法系二次元職の大魔導師が覚える魔法の一つを発動する。

 雷で形作られた無数の蛇が地を這うように地面スレスレを走りながらジーノ、エリシェア、ヘイズ、ヘレナ、カレン、ジェイコブ、ナディア、ニーナ、アクアに迫る。


 やっぱり、簡単に躱されたねぇ……でも、ナディア、上に飛んで躱すのはあんまり良くないねぇ(・・・・・・・・・・)


極寒の氷球(フリージング・オーヴ)


 柄だけになった鎌では攻撃を防げないと高を括っていたんだけど、まさかエリシェアが飛び出して回し蹴りで「極寒の氷球(フリージング・オーヴ)」を蹴り返してくるとはねぇ。……だけど。


「…………ちっ、こんなもの!!」


 魔法系二次元職の大魔導師が覚える魔法の一つである「極寒の氷球(フリージング・オーヴ)」は、握り拳大の氷の塊を作り出して放つという攻撃魔法なんだけど、追加効果として命中地点を凍結させることができる。

 蹴りで氷の塊を防いだエリシェアの足は今ので凍結したみたいだねぇ。


冷気の奔流フリージング・ストリーム


 冷気の奔流を直線状に解き放ち、敵を下流(・・)へと押し流す魔法系二次元職の大魔導師が覚える魔法の一つでエリシェアを追加で凍らせ、完全に動きを封じたところで近づいて『沙羅双樹の魔杖』を向けて降伏させる。


「火精-灼熱-。……はい、これ飲んでねぇ」


「えっと……ありがとうございます?」


 火の精霊に霊輝(マナ)を供給することで発動できる原初魔法の一つで氷を溶かし、神水を飲ませて体力を回復させる。


「ローザ嬢、それは何だ?」


「ああ、これ? 神水っていう魔法薬の一種みたいなものだよ。欠損部位を完全に修復して、自然治癒力を強化・回復するっていう効果を持っている」


「……おい、カノープス。そんな薬の話、聞いたことはあるか?」


「……いえ、私も初めて聞きます。まあ、私の娘は完全に我々の味方という訳ではありませんので、隠し事の一つや二つしていても咎めるのは筋違いだと考えていますが」


「まあ、確かに今のところ俺達とローザ嬢は敵対関係にはなっていないが、俺達がローザ嬢の平穏を乱した、となれば対立は避けられないからな。……正直、それはそれで楽しそうだが。……ところで、ローザ嬢。うちの第三王子との婚約とかどうだ? ワクワクしないか?」


「…………それ、明らかに確信犯だよねぇ。……それに、ボクのことをお父様から聞いているなら分かっているよねぇ? ボクは男と結婚とか(・・・・・・・・・)御免被るから(・・・・・・)


「アハハハ、やっぱりローザ嬢は面白い! 実に愉快だ! それなら、ヘンリーを女装させて愛でろ! クソ笑ってやるから」


 ……やっぱりいい性格しているよねぇ、この王様。別に嫌いじゃないんだよ? 寧ろ、こういうざっくばらんで、自分の欲望に忠実な人好きだし。

 しかし、分かっていてあえて言ってくるところが確信犯みたいでいいよねぇ。勿論、答えはラインヴェルドの考えている通りだよ?


「例え見た目天使でも、男の子を女装させて愛でる趣味はないからねぇ。というか、それ、どこのリボンメイドだよ? 元天使を祖先に持つ王族みたいに、この国に十歳になって自らの身を守れるようになるまで、女装して正体を隠すなんて風習はないよねぇ?」


 アクアが「えっ、もしかしてお姉様達が女装させたサリアを見ながら(はなぢ)を出しそうになったのバレた!?」って顔をしているけど……いや、アクアの性癖はみんな知っているよ!? なんで知られていないと思ったの!?

 というか、なんでそっちのハナヂ(・・・)にしたの? 衂は「ねばねばしたはなぢ。するどさがくじけてやわらかくなる。転じて、気力がなくなる。ひるむ」っていう意味だから、どう考えてもアクアのは衂じゃなくて鼻血の方だよ! ってか、なんでそっちに変換された!? ……まさか、アクアは厨二病を……。


「アハハハ、やはり最高だ! お前の娘は実に面白いぞ!! ……なるほど、ではもっと面白いことを提案してやろう! この世界の創造者の一人だというお前も満足しそうな最高の提案だ!!」


 ……いや、ボクって創造主じゃないよ? 創造主はハーモナイアだって……この人本当に分かっている?

 まあ、兎に角第三王子との婚約は回避できたみたい……この人、何考えているか本当に分からないけど、ガサツで享楽的でありながらも他人の気持ちを理解できないタイプではないみたいだし、その面白い(・・・)は、きっとボクも面白い(・・・)と思えるものだと期待しておくよ。


「内容は教えてもらえないんだよねぇ?」


「そりゃ、ここで教えたら楽しさが半減するだろう? その時になったらカノープス経由で教えるから楽しみにしておけ。そして、心ゆくまで俺を楽しませろ!!」


 あっ、結局一番は自分の楽しみなんだねぇ。ブレないなぁ、この人。


「それじゃあ、とっとと再開しろ。戦闘使用人共は律儀に待っているみたいだしな。そして、俺を楽しませろ!!」


「別に律儀に待ってくれなくても奇襲でもなんでも仕掛けてくれたら対処していたんだけどねぇ。……それじゃあ、戦いを再開しようか?」

 お読みくださり、ありがとうございます。

 よろしければ少しスクロールして頂き、『ブックマーク』をポチッと押して、広告下側にある『ポイント評価』【☆☆☆☆☆】で自由に応援いただけると幸いです! それが執筆の大きな大きな支えとなります。【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてくれたら嬉しいなぁ……(チラッ)


 えっ、「お前が更新を止める訳がねぇだろ? やめるやめる詐欺の逢魔時サンよぉ?」って、実は割と評価が低いことが原因で何度か更新停止の危機に直面しているんですよ! 私は豆腐メンタルなんです! って、おい、やめろ! 油の中に突っ込むなー!! 豆腐メンタルが揚げ出し豆腐メンタルになってしまうではないかッ!!




 また、もし何かお読みになる中でふと感じたことがありましたら遠慮なく感想欄で呟いてください。私はできる限り返信させて頂きます。また、感想欄は覗くだけでも新たな発見があるかもしれない場所ですので、創作の種を探している方も是非一度お立ち寄りくださいませ。……本当は感想投稿者同士の絡みがあると面白いのですが、難しいですよね。


 レビューも勿論お待ちしております! 寧ろ、全力でプリーズ!!


 それでは、改めまして。カオスファンタジーシリーズ第二弾を今後ともよろしくお願い致します。


※本作はコラボ企画対象のテクストとなります。もし、コラボしたい! という方がいらっしゃいましたら、メッセージか感想欄でお声掛けください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ