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残念美人の日常  作者: のんの
9/9

残念美人が人生について語った件について

ガラガラッ

「おっはよー早希!」

『おはよう鈴。って言ってももう昼だけどね』

「あ、あははーちょっと寝坊しちゃって…」

『ちょっと?だいぶ寝てると思うけど?』

「やだなー早希。私はちゃんと8時に起きたよ?」

『いやそれも寝坊だけどね。じゃあなんで早く来なかったの?まさか鈴に限って来にくかったなんてことはないでしょ?』

「もっちろん!でも布団さんが離してくれなくて…」

『結局2度寝!?…まあ鈴らしいけどね。とにかく事故とかじゃなくて良かったよ』

「早希…!早希が朝から私を殺しにかかってくるなんて予想外すぎるよ!!」

『………いや昼だって』





『で?なんで寝坊したのにスキップして学校来てたわけ?』

「えっ!?なんで知ってるの!?まさかストー…」

『断じてないから。むしろ止める側だから私』

「もう照れちゃってー!可愛いなー早希は!」

『………なんでこんなに褒められてるのにイラッとするんだろう……。とにかくスキップのことは窓からたまたま見えただけだから。変な勘違いしないでね?』

「はいはい早希は私のこと大好きだもんねー?だから寂しくてずっと窓の外見て私を待ってたんだもんねー?」

『……花音ちゃんにあることないこと吹き込んでやろうか?』

「すっすみません!!!それだけはご容赦を…!!!」

『分ったならいいよ。それで?なんでご機嫌?』

「ふふふーよくぞ聞いてくれました!実は…」

『あーやっぱいいやどうせ花音ちゃんでしょ?というか言っとくけど先に話逸らしたの鈴だから』

「今日早希冷たくない!?話逸らしたのは認めるけど…ほら、早希何度話逸らしても結局聞いてくれるし!」

『冷たくない。ああ私のせいか…私の甘さがこんなバカみたいな鈴を作り上げてしまったのか…』

「やめてよ悲しくなる!!」

『えっ鈴に悲しいという感情が…?』

「あるよ!!もう早希どうしちゃったの?一緒に病院行く?」

『ああそれはいいかも。じゃあ鈴。精神科行こ?それでずっと入院してたら私も元気になるよ』

「早希…!ってそれどういうこと!?私どこもおかしくないよ!!」

『あの行動でその言葉を発する辺りがもう末期なんだよ!!!』





『で?結局スキップしてた理由は?』

「ふふん!聞いて驚け見て驚け!なんと私は人生について考えてみたのだ!!」

『いや見て驚けないけど。何を見て驚くの?空気?』

「えっよく重大発表の前に聞くじゃん。聞いて驚け見て驚け!って」

『えっいや…それはまた…説明しずらいけど違うんだよね。まあいいや。それで、人生について考えたこととスキップに何の関係があるの?』

「もう早希ってば分かってないなー。人生について考えたんだよ?人に生きると書いて人生について考えたんだよ?」

『う、うん?全然話が読めないんだけど』

「だーかーら!なんか賢くなった気がするじゃん!嬉しいじゃん!」

『………えっ。それだけ?』

「うん!そうだよ!これで天使もイチコロの賢さを身に付けたわけだよ私は!これはもう無敵だね!」

『…もしかして寝坊したのもこれが原因?』

「そうだよ!ずっと考えてたらいつの間にか朝になっててさー!」

『ソッカ、ヨカッタネ』

「何でカタコト?早希大丈夫?」

『大丈夫じゃないかも…。もう鈴が分からないよ…』

「大丈夫だよ早希!今からでも私のことを知っていこう!」

『いや、知れば知るほど分からなくなりそう…』

「何馬鹿なこと言ってるの!知れば知るほど分かるに決まってるでしょ!」

『何で急にお母さん口調!?』

「だってここは1発叱っとくべきか!って思ったから!」

『そっ、そっか……。うん、ありがとね』

「いえいえー他ならぬ親友のためですから!」

『うん。話戻そうか』





『一応聞くけど人生について考えてみて分かったことは?』

「ない!」

『やっぱり。…夜更かしして寝坊してまで考えたのに結局何も分からなかったって時間の無駄以外の何物でもないよね』

「早希!無駄な時間なんてものはないんだよ!考えることに意味があるの!結果なんて二の次だよ!」

『うん、いいこと言ってるのに何も感じないのは鈴がやるべきことをやらずにいるからだね』

「でも私は睡眠より人生について考えることの方が今やるべきことだと思ったんだよ!」

『でもその結果遅刻って絶対やるべきこと間違ってたでしょ』

「そんなことないよ!だって私、後悔はしてないもん!」

『ああこいつ絶対反省してないわ」





「もう早希!いい加減人生について語ろうよ!」

『知らないよ!?人生について語りたいとか初耳だしボケ倒してたの鈴でしょ!?』

「ほらまた話逸らした!」

『逸らしてないよ!』

「無自覚かー」

『それは鈴だから!というかいつも鈴は突然なんだよね。なんで人生みたいな壮大でいつまでたっても答えが見えないようなことについて語らないといけないの?』

「だって考えることに意味があるから!」

『よく分かんないけど人生について語らないと終わらないのは分かった』

「流石早希!」

『…うん、ありがとう』

「まず考えるのは人生とは何か!だよ!』

『これまたざっくりしてるね…。というか1個目から核心迫ってきたね』

「その方が深みが出るでしょ?」

『そう…だね?分かった。じゃあ鈴は人生って何だと思う?』

「うーん……」

『あっそうだった。これずっと考えてて夜更かしして、それでも答えが出なかったのに今考えて分かるわけないか』

「うーん……」

『もういいよ鈴。私が考えるから』

「………」

『鈴。……鈴……?って寝るな!!』

「うーん…うるさい…」

『起きなって鈴!充分寝たでしょ!?』

「うーん…あと2分35秒だけ…」

『細かっ!?えっそんな時間ぴったりに起こさないといけないの!?』

「もううるさい…あと2時間35分だけだって…」

『増えてる!!単位変わってるから!絶対起きてるでしょ!』

「分かった分かった。あと12時間だけね…」

『半日!?言ってないってば!どんだけ寝る気なの!?』

「うーん……早希…?なんで私の部屋に…って学校!?もしかして早希が私を運んで…?」

『違う!1回ちゃんと起きて学校来たでしょ!?もしかして…無意識……!?鈴ならあり得そうで怖い…』

「どうしたの?いきなり頭抱えて、具合悪いの?」

『今は、起きてる…よね?』

「??」





「じゃあ気を取り直して人生語ろうぜコーナー!」

『どこからがタイトル?というかコーナー?』

「もう細かいことはいいから!早くしないと休み時間終わっちゃうよ?」

『寝てた人に言われたくないんだけど!?』

「まあまあそれも細かいことだよー」

『はいはい分かったよ。人生とは何かだったよね?』

「そうそう。私はー…」

『あーいいからいいから。そうだなー人生といえば…道?』

「ミ…チ…?」

『いや知ってるでしょ道だって。人が通る道のことだよ』

「人が通る道…それはすなわち人道!」

『全ての言葉にその法則が当てはまると思ったら大間違いだからね?』

「えっそうなの!?」

『そうだよ!?逆になんで今まで気づかなかったの!?』

「あんまり関わる機会がなかったから?」

『言語だよ!?絶対関わってるでしょ!それを言うならあんまりそういうことを考えたことがなかったからって言おう!?』

「なるほど!賢いね!」

『褒められてるのになんか複雑だよ!というかまた話逸れてるから!』

「あっ本当だ!いつの間に!えっと…何の話だっけ?」

『人生とは何か、でしょ!?早くしないと一生終わんないよこの話!』

「あーそうだった。うん覚えてた覚えてた」

『見え見えの嘘をつくな!!』





「はいはい、人生は道って言うのが早希の意見なんだよね?」

『こっちは真剣に考えてあげたのに何で軽く流した感じで話してるの?殴られたいの?Mなの?』

「荒れてるなー、まあまあ落ち着いて」

『どの口が言ってんの!?』

「はい深呼吸ー。吸ってー…吐いてー」

『はいはい分かったからもういいよ。そう、私の意見はそれで合ってますよ』

「やったね!」

『やったね!?確信犯か!!』

「ご、ごめん…怒った…?」

『いや、鈴にそんな知能があったんだってむしろ感動してる』

「早希…!!…あれ?馬鹿にされてる…?」

『えっと私が人生は道だって言ったのはよく言われてるっていうのもあるんだけどね』

「えっ?話進めちゃうの?」

『まあ実際その通りだなって思うんだよね。最初に言い出した人はいい例えしたよねー』

「う、うん?」

『だって人生を道だとすると、人はまず自分だけの1本道をずっと歩いてるでしょ?それでそのうち色んな選択肢がどんどん出てきてその道に進んでいく。そして同じ選択肢を選んだ人と出会って違う道を選んだ時には別れる。道は立ち止まったり逆走したりするからそれも人生って感じがするし。…まあ人生の道を逆走したところで時間は戻るどころか進む一方だけどね』

「うーん…?難しすぎてよく分かんないよ」

『そう?まあ人生の考え方は人それぞれだし分からなくてもいいんじゃない?』

「そっかー。…うん、そうだよね!じゃあ私は人生を天使例えようかな!」

『えっそれは流石に無理があるかも…」





「ではでは続いてのお題に参ります!」

『はいはいもう最後までお付き合いしますよ』

「えっ!?そんな急に告白なんて…!ごめん早希のことは好きだけど私には天使という存在が…!」

『どこをどうしてそうなった!?しかもさりげなく花音ちゃんを巻き込むな!ほら早くお題言って!本当に終わんないよ!?』

「もうそんなに焦らなくてもまだまだ時間はたっぷりあるから」

『ないよ!昼休み永遠に続いたらそれはそれでホラーだから!』

「確かにホラー映画とかでありそうだね!あとはどんなのがあるんだっけ?」

『えーっと…って!それよりお題!!』

「あっごめんごめん。次のお題はねーズバリ!人は死んだらどうなるのか!だよ!」

『これまた壮大な…まあ人生について考える時点で壮大なお題じゃない方が珍しいか』

「私はね!人は死んだら鳥になるんだと思うの!」

『鳥!?じゃあ鳥は死んだらどうなるの?人?』

「ううん!鳥は鳥!」

『それ鳥の数めちゃくちゃ増えるけど!?』

「えーじゃあ人は死んだら犬になる!」

『そんなあっさり変えちゃうの!?』

「だって早希が文句言うから…」

『いや文句っていうかただ私は事実を…』

「あーはいはい。じゃあ早希はどうなの?人は死んだらどうなると思う?」

『うーん…私はまず人に限らず生物は地獄とか天国、いわゆる死後の世界に行って、そこで神様が色んな生物に転生させるんじゃないかな?って思うけど』

「えーつまんなーい」

『何で面白さ求めてるの…。つまんなくて結構です』

「もー早希は夢がないなー。だってそれよく言われてるやつじゃん。どっかの誰かが考えたやつじゃん。早希の意見じゃないじゃん」

『何で不貞腐れてるの?私の意見だよ。どっかの誰かが考えてても共感してるんだから私の意見だよ』

「そこ!そういうとこがダメなんだよ!ちゃんと人に合わせるだけじゃなくて自分だけの意見を言わないと!」

『ええーそれ今求められても。というかこれ本当に私が共感したことなんだけど』

「ダメだよちゃんと人生について考えないと!ほら早希の意見は?」

『聞く耳持たず、だね。うーんいきなり言われてもなー…人が死んだら…うーん…』

「じゃあ私の意見言うからその間に考えてね!」

『えっさっき言ったよね!?一体何個あるの!?』

「何個って言われても今思いついたから言うだけだよ?」

『今思いついたの!?人生について何時間も考えて答えが出なかった人がこの数秒で!?』

「人生とは何か、っていうのが私には難しかっただけなんだよ!」

『そう…なのかな?じゃあ思いついたこと言ってみて』

「うん!人は死んだら幽霊になると思います!」

『よく聞くけど…あれ、もしかして死んだ人全員幽霊になるって言ってる?』

「そうだよ!」

『この世に未練ない人どうやって成仏するの!?』

「うーん、自然に消える…?」

『それまでに逆に未練出来ちゃいそうだね!?』

「あーなるほど、そういうこともあるかもねー」

『軽い!!そもそもアニメとかならよくあるけどそれって悪霊になったりする霊が出てきて超常現象とか起こるんでしょ?そういうのニュースで全然やってないし私は信じられないなー』

「でも私前にテレビでこれは霊の姿か!ってやってるの見たよ?」

『私もあるけどそれが本当なら悪霊になる霊少なすぎない?こういっちゃなんだけどもっといそうなイメージなんだよね、死んでしまったけど復讐したい!みたいな霊。もちろんあの人を見守りたいから成仏出来ないって言って残ってる霊が時間的に悪霊になっちゃうとかはないとしてだよ?』

「うーん…死んだら大体どうでも良くなるとか!」

『ああ、なるほど。それはあるかもしれないね。でも大体、じゃなくて復讐心とか殺意、にしとかないと、大切な人を見守ることすらどうでも良くなるみたいになっちゃうからね』

「あ、確かに…ごめんごめん」

『あっでもそれなら霊って悪霊にはならないのかもね』

「どういうこと?」

『だって悪霊ならもっとド派手に何かしそうだけどそんなことがあったら大騒ぎになってるけどないし、戸をガタガタ鳴らすとかなら普通の霊が気づいて欲しくてやったのかもでしょ?』

「確かに。私なら天使へのラブソングを届けるけどね!」

『それホラーだから』

「そんな!やっぱり生きてるうちに伝えないとダメか…。じゃあ今からラブソング歌って来るよ!」

『待って待って話まだ終わってないから。というかラブソングもう完成してるんだ…』

「初めて天使に会ったその夜に徹夜して作詞作曲したよ!」

『その力もっと別のとこに使えないかなー…。それに出会ったその日にって絶対薄っぺらい歌詞じゃん。やめといた方がいいと思うよ』

「そんな…!私が間違っていたのか…!」

『うん。だから1回精神科いこう?』

「それでも心を込めて書いたあの歌を天使に届けたい…!一体どうすれば…!」

『その気持ちと一緒に天使へのいきすぎた気持ちを一生開かないように鍵かけて心の中にしまっておきなさい』

「ああ神様!私はどうすれば…!」

『今からさっきの続きを話せばいいと思うよ?他の選択肢やばそうだし』

「早希!ちょっと黙ってて!今神様からのお言葉を待ってるところなんだから!」

『神様からのお言葉をそのままずっと待ってる間に一生終えてもいいわけ?』

「早希!!」

『私は正論を言ってるつもりなんだけど!?とにかく1回話を聞け!!』





『未練が残った人が霊になる。で、他の人は死者の世界に行って転生する。なんかまとめたら結局どっかで聞いた感じになっちゃったね』

「だね。でもやっぱりそれが1番しっくりくるかも」

『そうだね。やっと話終わった?満足?』

「ううん!まだまd……」


キーンコーンカーンコーン



『はい!終了ーー!!』

「えーー!!そんなーーー!!!」

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