表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/94

9話 闇クリニックのお姉さん


さっき見たのは、夢だったのか?


まさかこんな不思議なことが見えたとは思わなかった。


ぼんやりした夢だったが、夢の中には、やはり明らかに非常識なことを見た。


理解できないことだらけだった。



「兄さん!えーんえーん…。やっと、目が覚めた、よかった…」


レンカちゃんがベッドサイドの椅子に座っており、しくしくと泣いている。


「心配してくれてごめん…」


そういえば、ここは――


「朔夜君、また会ったね」


「葵姉さん?!」


このスラムに来てから知り合いになった頼もしいお姉さん――小御門(こみかど) (あおい)


僕より少し年上で、どんぐりまなこに通った鼻筋をしている正真正銘の美人だ。


ここは葵姉さんの闇クリニック、僕は何度もここに来たことがある。


いつもお世話になるところなのだ。


しかし実は、クリニックとはいえ、葵姉さんが一人で経営しているのだ。


なので、もうすでに潰されそうだ。


「何でそんなに驚いて?朔夜君が初めてここに来たとき、その傷は今よりずっとひどいではないか」


「それはそうだけど、昏迷に陥ってたから仕方ないよ」


「よく言うわね。2日間昏睡してたよ、朔夜君。ところで、この子は本当に朔夜君の妹さんなの?今まで妹さんの事を聞いたことがなかったけど」


「はい、妹です~」


レンカちゃんは先回りして答える。


「……まあ、一応」


僕はベッドから起き、椅子に座った。


…経緯をざっと説明した。


「事情が分かったわ。朔夜君、これからどうするつもり?」


「一つお願いあるけど、いいかな?」


「いいよ。言ってみて」


「家の近くは危ないので、僕の体が回復するまで、せめてこの子、レンカちゃんは葵姉のところに身を寄せて…」


あの霊能者はまたやっつけにくるかもしれないから。


「嫌だ、兄さんと一緒にいたいー」


レンカちゃんはダダをこねる。


「これは君の安全のためだから…」


「こっちの都合はいいけど、本当にこれで良いのか?」


葵姉さんは問いかける。


「迷惑をかけてごめん。その代わり、何か手伝えることがあったら遠慮なく言ってください」


「そんなに遠慮しないで。でも、ちょうどお願いしたいことがあるよ」


葵姉さんはただならぬ顔つきをする。


「言ってください。できるだけのことをするから」


「大丈夫、朔夜君の体が回復してから…朔夜君もここに何日泊まってもいいよ」


「け、結構だ。僕一人でいい。もう慣れているから」


「いいから、私の言う通りにして」


「まあ、いいだろう。ありがとう。葵姉さん。これからもよろしく」


「では、お二人はここに何日間泊まって…。朔夜君も体を大切にしてね」


「ああ、わかった、わかったよ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ