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22話 過去の話

「ふふ、では、道を案内させていただきますね」


「うん、お願いするの」


「頼むぞ」


今は、紅蓮に頼るしかないと思う。


「ふふ、任せてください!その前に、女将に伝えておいてきますね」


紅蓮は離れたうちに、泊まった部屋に戻り、荷物を片付け始めた。


昨日まで三人で、旧都に来たのに…


三人というより、人間二人、幽霊一人といったほうが適切だろうか。


予想外の出来事で、二人だけになってしまったこの状況は、この困難は、乗り越えられるか。


荷物を片付けるとはいえ、旧都に来たことが突然の計画なので、別にたくさんのものを持ってきたのではない。


「レンカ、先はありがとうな」


「ううん、別に礼を言わなくてもいいの。妹に礼を言うなんてずいぶん水臭いね」


「はあー。そうだよな」


「何だか兄さんは少し変わったね」


「どういうこと?」


「兄さんは礼を言うことは、特に私に礼を言うなんて、ほぼ不可能なことなの」


レンカは少しでも昔のことを言い及んだようだ。


よし。この調子で昔の話をどんどん聞いていこう。


もちろん、できるだけレンカを刺激しないように。


「そっか。僕はどんな人だったのか?教えてもいいかな」


「兄さんは、冷たい人だった。でも私は知ってる。実は兄さんは、表向きだけは冷たかったの」


「そういうことだったか」


「そうなの。いつも優しくて見守ってくれていて、そして、力も、霊力も強くて… あ、私、何を言ったの?」


「霊力?僕、霊力が強かった?」


レンカからもっと詳しいことを聞きたいところなのだが…


「あの、すみません。お二人さん、もう準備できましたか?」


引き戸の外から紅蓮の声が聞こえた。


どうやらそっちは大丈夫みたいだ。


今の時点で、レンカに昔のことを問い詰めるのはやめようか。


でないと、この前のようにレンカに精神的なダメージを与えることになるから。


本当は聞きたいと思うが…


「じゃ、行こうか。レンカ」


左手を伸ばして、手をひらを上に向き、レンカに頼んだ。


「ちゃんと手を握ってね。迷子にならないように」


レンカは右手で僕の左手を上から握ってくれた。


「うん、行きましょ」


引き戸を開けたら…



「では、お二人さん。ついてきてください」


「女将さんの方は大丈夫か?」


「ふふ、ちゃんと許可をいただいたから大丈夫ですよ」


「どういう言い訳なの。少し気になるの」


さすがレンカの好奇心だ。


「お客様の観光案内という理由で、お客様をご案内しますって伝えました」


「よく女将さんは許可してくれたよね。兄さんもそう思うでしょ」


「あ、ああ」


「こちらも当館のサービスの一つですから… いや、やばい!口が滑った…」


「よくもお金を求めるなんて、いい度胸なのね。兄さんはどう思う?」


「まあいい。確実に案内してくれればいいからさ」


「ふふ、ありがとうございます。では、お二人さん、ちゃんとついてきてくださいね」


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