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20話 知ってます

そうだ。この子に葵姉さんの住所をきいてみようか。


詩音が行方不明の状況になってしまった以上、地元の人に聞いてみるしかない。


とはいえ、これは無関係な人には知らせたくはないことだ。


だけど、今は仕方がない。聞いてみるしかない。


でないと、葵姉さんを助けられない。


どうせ聞くなら、目の前にいるような単純に見える子に聞いたほうがいいと思う。


だって、知らない町で誰か悪い人か、誰か裏がある人か、分からない。


少なくとも、目の前のこの女の子は、悪い人ではなさそうだ。


しかも、この子とはどこかで会ったような気が…


「どうしたの?こんな朝早くに」


寝惚け顔つきをするレンカは、部屋の引き戸を開けて廊下に覗いてきた。


「ごめん。起こした?」


その顔を見たら、なんだかかわいそうに思っている。


レンカは昨日疲れそうだし、夜中にはそんな大変なことが起こったから、仕方がないか。


でも、レンカは知らなった。いえ、忘れてしまったのか。


「ううん、大丈夫。兄さん何してるの?」


レンカはその眠い目を擦りながら、近づいてきた。


「目を擦るなよ。レンカ。目に悪いからさ。」


「その子は?」


「旅館の手伝いさんだそうだけど」


「おはようございます!あたし、紅蓮と言います」


「お、おはよう」


振り返ったレンカは、僕に尋ねた。


「そういえばあの幽霊さんは?気配が感じられないけど」


「詩音の行方がわからないんだ。レンカは何か心当たりがあるか?」


夜中、あの時、詩音はレンカと一緒に狐面の少女に転送されたはずだった。


なぜ、詩音だけは行方不明なのか?


あの狐面の少女が何かしたのか?それとも、幽霊だから何か間違ったことが起こったのか?


多分、レンカに聞いても分からないだろう。


それでも僕は、僅かな希望でも、掴んでいきたい。


「ううん、知らないよ。私は」


予想通り、レンカは頭を振った。


レンカは夜中の出来事についての記憶がなさそうなせいか、答えられないだろう。


詩音の行方も重要だが、今は心当たりがない。


まあ、あいつの能力なら大丈夫だろう。


とりあえず、葵姉さんの住所を聞いてみようか。


葵姉さんの住所が書いてあるこの紙切れで。


「あ、その場所、知ってます!」


紅蓮がこの紙切れを見たら、すぐに答えてくれた。


まさかこの子が本当に知ってるとは…


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