14話 運命
「君は誰?まさかこの陣は君の仕業?!」
「輪廻の刻印の持ち主よ、これは運命。此処にいる者は逆らうことができない」
寒い!
狐面の少女が現れた後、急に体が寒く感じた。
周りの時間も氷結されたように固まっている。
時の流れが、この瞬間から止まったような気がする。
これも目の前に現れたこの狐面の少女の仕業なのか?
「そう」
それは、回答?
彼女の口調は全然変化がない。
まるでここで起こったことも、及びこれから起こりそうなことも、彼女には関係がないようだ。
ただの傍観者として、ここに来ただけっていう感じ。
「主!何やってますか?!早くしないとレンカちゃんの魂が吸い取られますよ!」
「くそ!わかった!」
「刻印の持ち主よ。運命を逆らう気?」
「運命はどうかは興味ない。僕は、いや、僕たちはここから脱出したいだけだ。そもそも何で君が運命を代表できるかよ」
「それでもこの鼎を破壊させない。その代わりに、同行者のお二人を安全なところに転移させる。如何でしょ」
いつの間にか、狐面の少女は鼎の上に座っている。
その喋り方、先より少し明快になった気がするが、彼女の言ったこと、どういう意味なのか?
僕がまだ返事がないことにもかかわらず、少女が勝手に呪文を念じた。
「おい、何をするつもりかよ?!」
「……」
睨まれた…
「よせ!やめろ!」
止める方法はわからないが、今はとにかくやってみるしかない。
刻印!輪廻の刻印!頼む!力をよこせ!どうかこの理不尽の状況をなんとかしろ!
心の中で強く念じた。
熱い!
右手が熱くなってきた。
特に刻印のところがすごく熱い。
火に燃やされているような感触だ。
血の匂い。
刻印の形に沿って、血が右手の甲から血が出てくる。
一瞬、狐面の少女が怖そうに震えた。
だが、その怖さがあっという間に消えた。
「もう遅い」




