7話 ザコの霊能者
「レンカちゃん、外に出るな。僕が見てくるから」
「はい、兄さん。気をつけて」
外に出ても、一見、近くには人がいないみたい。
骨の髄を刺すような冷たい風が吹いているだけだ。
一体…どこに?
「俺を探してるかい?」
路地裏から一人の男の人がゆっくりと歩いてきた。
「君は…、何者だ?」
目の前に現れた人は、恐らくレンカちゃんが言った霊力のある人、つまり霊能者だ。
そして、もう一人の幽霊がいるはず。
「俺の名を知る必要はない。どうせお前は間もなく死ぬから、これを知ってるだけで十分だ。その前にひとつだけ教えてほしい。…あの白髪の女の子は?」
やはり狙いはレンカちゃんなのか。
「知りたいなら、僕を倒してみろ!」
でも、そうはさせない。
たとえ会ったばかりの少女だとしても、捨てておけない。
「ふざけるな。あの女の子の霊力の強さに対して、お前の霊力をあまり感じてない。所詮お前の力は大したものではない」
「だったら、僕を倒してみれば!」
霊力がなくても、ただのザコの霊能者だけで倒されるわけがない。
「っ!」
急に誰かに打たれたように、体が痛みを感じて。
あの霊か。霊に殴られているのか…
クソ、はめている指輪に霊力が注入してあるから、体術では霊への攻撃が可能だが、霊が見えない以上、抜き差しならなくなるんだ。
盲目的に攻めるより、むしろ…
目を閉じて、息の流れを感じて…。精神を集中して、そして徐々に霊の霊力の存在を感知して…。
ちっ、その時、精神と体が莫大な苦痛を受けていると感じている。
霊の攻撃を耐え続け、精神が侵食されている
「どうだ、怖いか?怖くて目を閉じたのか。ハハ…」
あいつの挑発を無視し、霊の霊力を感知し続ける。
一般的には、幽霊の行動は何かの軌跡がある。
人間にとっては、二点間の最短距離は直線だから、人が目的地へ行く時はできるだけ真っ直ぐ歩く。
だが、幽霊は違う。
幽霊は幽霊なりの歩き方があって、より速く目的地に着くことができる。
幽霊は特殊な空間に存在して、移動ルートも特別だ。
人間から見れば、幽霊の移動の軌跡はおかしいもの。
昔の霊能者は幽霊の歩き方によって、幽霊の歩法というスキルを作った。
幽霊の歩法を使ってみれば、もしかするとあいつが操っている霊の痕跡を見つけ出して、その霊をぶっ殺す。
とはいえ、僕は幽霊の歩法については詳しくはない。
だが、今はやってみるしかない。
一歩、二歩…
ちくしょー、ただ歩くだけで、非常に辛くて苦しい。
精神攻撃を受けているせいか。
体が重い。
精神と肉体の二つの痛みを我慢して、精神を集中して、僕は幽霊の歩法を使い続ける。
歩法の使うにつれて、その霊の存在が感知できるようになった。
…感知できた!
その霊が攻めてくる一瞬、僕は幽霊の歩法で避けた。
目を閉じたまま、その霊の攻撃を避けている。
チャンスを見つけた瞬間、力を込めてその霊へジャブを出す!
その霊の息が明らかに弱くなった。効いてる!あまり強くなさそうな霊だ。
もう一度感知してみると、その霊能者の霊力も大したものじゃない。わずかな霊力を笠に着て勝手気ままに振る舞うやつか。
目を閉じたまま、引き続きその霊を攻めている。
「ばかな!霊力がないのに、なぜ霊の位置を知ってる?!そして霊を攻撃することもできるなんて、あり得ない!」
あいつが叫んだ。
「くだらないことばかり言うザコだな…」
その霊を倒してから、目を開き、霊が消え去った時、僕の指輪もバラバラになった。
敵はあと一人だ。
矢のようにすばやく一歩前へ飛び出し、あいつの腹に膝蹴りを食らわせ、あいつが何歩も撃退された。
「ちっ、今回は見逃してやる」
あいつがそう言ったまま、白煙のような技を出して、僕はまだ見えなくて反応できないうちに、あいつが逃げてしまった。
…精神と肉体が受けた衝撃で、僕はついに支えられなくなり、倒れてしまった。
「兄さん!」
その声を聞いても、目が覚める力もなくなったから…