表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/94

20話 目覚め!画霊

詩音のおかげで、司祭の幻術は破られた。


「お久しぶりです、主。そっちも、お久しぶりです、セシリア、今はエルフの司祭ですか」


先と同じように、僕の体が詩音に操られて、詩音の声は僕の口から出てきた。


おい、これは何なんだよ。僕の体をかえしてくれ!


そう言いたいけど、体が操られている状態では、僕は話すことさえできない…


そういえば、この二人、互いに知っているのか?


「主の考えてることは分かりますよ。今は少し待ってて、後で説明しますから」


質問しようとする僕は詩音に止められた。


いや、そもそも操られている状態では、話そうとしても話せない。


驚いた顔をする司祭ーーセシリアは、不思議そうな声で叫んだ。


「そ、その声は、あり得ない!き、君、死んだはずじゃ?!」


「残念ですよね。妾はまだ生きてますよ」


「ち、違うのじゃ!今君の形では、生きるとは言えないのじゃ!」


「そうですね。霊体だけ残ってますけれど…」


詩音が僕の体から抜け出して、霊体の形で浮かんでいる。


初めて会った時と比べたら、霊体が濃く見える。


天使のような画霊の女の子は、まとっている白装束の下、真っ白な肌がちらりと見える。


その長い黒髪が彼女の動きによって、なびいている。


彼女は、まるで煉獄のそこから生まれ変わって、数えきれないほどの試練を経って、ここに辿り着いた天使のようだ。


僕の見た白黒のこの世界に、ほんの少しの慰めを与えてくれた。


…気がついたら、異常を感じた。


ようやく体を取り戻した僕は、全身の力が入らない。


「詩音、僕に何をした?!」


「主、勘違いしないでください。敵はそっちですよ。」


「じゃ何で僕の力が抜けたかよ?」


「もー、主のバカ!そいつの幻術を破れたのは誰のおかげ?代償としてちょっと力を吸い込んだだけです」


「それは… そうだけど…」


「お二人さん、雑談はそこまでなのじゃ。いくら昔の君はどんなに強くても、霊体だけじゃ無理じゃろう」


「フフ、どうでしょう」


詩音は再び僕の体に戻ろうとする。


「だめだ!やめっ」


「ちょっと体を貸してもらうだけですけれど。いいじゃないですか?どうせ主のその体がもうボロボロになっちゃいましたよね」


「僕の体がボロボロ?ちゃんとした身体じゃないかい?」


「フフ、いずれ分かりますよ」


「何が…?」


「そのボロボロな体は、霊体にとって宿りやすいところですよ」


「確か君は僕に取り憑く時、同じようなことを言ったよな」


「そうですね。主は意外にそんなにバカじゃなさそうですか」


「じゃ・か・ら… お二人さん、雑談はやめてください。まったく、緊張感はないのじゃ」


「ごめんなさいね、セシリア。つい… 主、体をちょっと貸してもらいますね」


「おい、ちょっ…」


詩音は僕の異議を無視して、無理矢理僕の体に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ