17話 悪夢
「レンカちゃん、大丈夫かい?」
牢獄の間というところに閉じ込められる僕は、隣の同じ状況に陥るレンカちゃんの様子を見る。
「兄さん、私は平気なの。それより、早くここを出なきゃ」
「そうだけど、もう夜だし、しばらくここで休もう。おやすみ」
ここの環境は意外といい。なんか眠くなってきた。
「もう!兄さんったらっ。知らないのよ」
眠い、眠い…
このままだと、深い闇に落ちていくだろう。
…
「あいつ、霊力がないんだって」
「マジ?やばくね」
「ホントだ!いけない子だね」
うるさい。うるさい。
霊能者一族の街を歩いている。
どこでも聞こえてくる嫌な声。
消えたい。
この一族が作った街から、逃げたい。
ここから逃げ出したいのだ!
霊能者という人たちが現れて以来、いえ、正しく言えば、一族という組織を作り出されてから、この街が存在していた。
組織の人たちはここで生活して、そして、いままで存続してきた。
大昔のことではないが、少しだけの伝統がある。
それは、霊力の伝承。
子供は必ず両親から引き継ぐもの。
最初の霊力が目覚める人たちを除いで、霊力は一族の人が生まれつきのものだ。
なのに、僕には霊力がない…
子供の頃から、いつも舐められていた。
…
「お二人さん、大丈夫ですか?」
ぼんやりしている状態で、その声が耳に入った。
目が覚めたら、リリヌがいた。
「リリヌさん、私は大丈夫なの。けど、兄さんが…」
「どうしたんですか?」
「兄さんの刻印はなんか不安定に見えるの」
レンカちゃんの話を聞いて、自分の刻印の異常に気づいた。
「どれどれ、うん、確かに。レンカさん、キミたちを連れ出すよ」
「それは助かるな。そこまで付き合ってくれて、感謝するぞ」
「勘違いしないでください。キミのその紋様のためです」
「も、紋様?兄さんの刻印?」
「いいですから、付いてきてください」
リリヌが軽く呪文を念じた。すると、霊力の障壁が解除された。
「さぁ、行きましょ」
「このままじゃ逃げられるの?」
「安心しなさい。場合に応じてスキルを使いますから」
僕は頷くしかできない。
「私たちは今アルフヘイムの地下にいますから、神殿のあるてっぺんに行くにはかなりしんどいですよ。心の準備をしておいたほうがいいです」
レンカちゃんと二人でリリヌの後ろに付いていく。
階段を登って、やっと地上に戻ったが…
リリヌの話によると、この巨大な竹の頂上に存在する封印の地は、僕の刻印の根源ということ。
どうやって登るのか?
階段もないのに。
「三階には魔法陣があって、それを使えば封印の地の下の階に登れるみたいです」
「ありがと、リリヌさん」
「三階までは、わたしが送ってあげましょ」
「へぇ、噂の魔法を使うの?」
「ふふ、よく見てね」
リリヌはレンカちゃんを抱き上げて、翼を振って、飛んでいった。
もっとすごいことがあると思ったのに。
そのようなこと、僕にはさすがに無理だろう。




