4話 スラム街
「ごちそうさま~」
レンカちゃんと朝食屋で適当に朝食を済ませた…
僕にはあんまり口に合わないけど、レンカちゃんはおいしそうに食べていた。
そして…
レンカちゃんと一緒に道を歩いている。
バイト先の花屋さんへ行く途中、後ろをついてくるレンカちゃんは急に僕に近づき、手を引っ張ってくれ、隣を歩いている。このあたりの雰囲気を怖がるためか…
これは、別におかしいことではない。
…当たりまえだ。
もう朝とはいえ、このあたりはまったく活気が感じられない。日差しが古いビルの隙間から差し込んでくる。だが、それだけではビルの間にある闇を追い散らすことはできない。
ここは、今僕の住んでいるスラム街だ。
ここは都のスラム街。汚れている道はともかく、ごたごたしているパイプや電線はあちこちにある。
そして毛細血管のように絡みあう無数の路地。
一年前、僕はここに来た時も、すごく驚いた。
まさか繁華な都には、こんなところがあるとは思わなかった。
霊能者や霊力などの存在が近年だんだん世間に知られたことにより、社会の発展が歪みになり、格差が広がっていく。
ここはまるで、別世界のようで、誰にも干渉されないところだった。
だから、ここに暮らすことにしただろう。
すなわち、スラム街に住んでいるとはいえ、貧しいわけじゃないってこと。一応バイトをしているし、家出する時お金をたくさん持っていったから。
先で待ってくれるのは光か、闇か。もうどうでもいい。生きていけば…
路地を歩く時、急にレンカちゃんが僕の右腕に抱きついてくれた。
レンカちゃんが震えていると右腕から感じられた。
「兄さん、ここ、怖い」
「大丈夫だ、僕がいるから、安心して」
「うん、兄さんが傍にいてくれるだけで心強いの」
この子に会ったばかりなのに、僕はもう兄さんと呼ばれることに慣れているみたい。
やれやれ…
…いくつかの路地を抜けたあと、間もなく花屋さんに着いた。
「おっさん、おはよう」
「ああ、お前か、今日は早いな。って、お兄さんと呼びなさい」
店長のおっさんはその髪をセットしている。
この店はスラム街で唯一の花屋さん。何だかスラム街の雰囲気になじめなく、活気にあふれている。
「おや、この子は?」
おっさんは僕の後ろに隠れているレンカちゃんに気付いた。
その目線はじろじろ
「あ、あの、この子は、友達の妹です。はい、しばらく僕が面倒を見るから、ハハハ…」
自分が何を言ってるかわからない。友達の妹とされたレンカちゃんに蹴られて、ちょっと痛みを感じる。
「ちっ、いたっ。それで、今日は早めに失礼させてもらえないかな?この子の面倒を見るから」
「そう、じゃ、今日は早く帰ってもいいよ。どうせこの頃お客がなかなか来ないんだよな…」
「まじ?助かるよ」
…
突然この時、外から変な音が騒がしく聞こえてくる…