12話 霊視
「は、はい。かしこまりました!」
駅員の声は明らかに怖くなったように聞こえた。
一体、どのような人からの命令なのか?
重い足音が聞こえる。
そして、僕の前にその足音が止まった。
「お前は確か二宮家の…」
この人、僕のことを知っているのか?
レンカちゃんに握られている右手は、急に強く握られた。
「どうした?」
僕はこっそりレンカちゃんに問いかけた。
「この声、怖い。聞き覚えがあるみたい」
「マジか?」
こいつは一族の人か?しかも身分は高そうだ。
「安心しなさい。わしは悪意がないから」
僕は見えないが、その声から強い威圧が感じてきた。
レンカちゃんは慌てて僕の右手を握ったまま、僕の後ろに隠れたことは、右手から感じてきた。
「なぜ、僕のことを?」
「わしは昔は霊能者一族の長老だった」
「長老?」
僕は一族の人を恨んでいるが、なんだかこの人の話をよく聞ける。
「そうだ。長老といっても、今はただの調査員にすぎない」
「何の調査?」
「竹林に起こった異変だ。詳しいことはまだわからん。ところで、お前、わしと会ったことあるかな?昔は」
「そう聞かれても、僕の目は見えなくなったけど…」
「うむ、お前はそっちの竹林から飛び散ってきた瘴気の影響を受けたかもな」
「じゃ、どうすれば?」
「それはお前自身しか解決できない」
「どういう意味?はっきり仰ってください」
「竹林に入って瘴気の根源を始末すること。といっても、今のお前には少々困難かな。一応、霊視という能力の使い方を教えてやる」
しばらくして、僕は霊視の使い方を手に入れた。
だが、霊力のない僕は、代わりに技を使う時は自分の命を駆動するしかない。
…
あの長老の話によって、霊視は霊力のあるモノがよく見える代わりに、一般的なモノを見る時はぼんやりするようになる。
そもそも、霊視を使うことは、モノを見るより周りを感知するといったほうが適切だろう。
「兄さん、何ぼーっとしてるの。出発するの」
あの長老から一定の距離を離れた後、レンカちゃんも落ち着いたようだ。
「ああ!」
僕はまたレンカちゃんに手を引っ張られて、二人で噂の竹林へ進んでいく。
霊視を通して、これからの目的地は天を衝くほど強い霊力のある場所だと見えた。




