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11話 見えなくなった僕

惰性によって、列車は間もなく竹林に近くの駅に到着した。


僕は一度もこの辺には来たことがなくて、少し不安だが、今は前へ進むしかない。


ふと、一抹の緑色が目に映った。


ここから竹林の縁が見えるようだ。


不意に真っ赤な血まみれの野獣のような気配が竹林から感じられる。


そこへ見た途端。


あっという間にその赤く見える影が僕の目に入り込んだ感じがした。


僕の視界が… 急に赤くなった…


目が痛い!焼けるような痛みが感じた。


痛くて痛くて、目を、開けたいけど開けられない。


僕は目を覆って腰を曲げるほど辛い。


「兄さん!どうしたの?」


目の痛みがだんだん和らいできたが、驚きの事実に気付いた。


目を開けても、何も見えない。真っ暗だ…



「目が、見えなくなった…」


「ほ、本当なの?!じゃどうすれば?!」


「とにかく僕の手を繋いでリードしてくれる?」


「いいけど。兄さん、本当に大丈夫なの?」


「今はまず駅を出るんだ」


「はい。兄さん、私がリードしてあげるね」


右手を握られた瞬間、温もりが伝わってきた。


「兄さん!その刻印が…」


「手の甲にあるやつか?何かあった?」


「そう。光っている、五芒星は」


「五芒星?逆五芒星じゃないか?」


「いえ、違うよ、兄さん。それは紛れもなく五芒星なのー」


そんなことあるわけか。


まさか、原因は視点の違い?


って、今はそういう場合ではななそうだ。


僕たちはこの列車を破壊したことは、バレたら大変だ。


さっさと離れろう。


小さな駅なので、普段ならあまり人がいないはずなのに…


今日は少し違うようだ。


目が見えないが、空気から血の生臭い匂いがする。


ここにも何か起こったのか。ただ僕の気のせい?



「お待ち下さい!」


レンカちゃんに手を引っ張られて、改札口を出たところ、誰かに止められたみたい。


駅員なのか?


「どうしたの?おじさん」


レンカちゃんは僕より先に疑問を呈した。


「その列車は一両しか余らなくなりましたが、一体何か起こったのですか?君たち先程その列車から降りたでしょう。さぞ知ってますよね。」


「やぁ、それは…」


「兄さんのせいじゃない!兄さんがそこを荒らしたわけじゃない!」


おいおい。これでバレたのではないか。


「そうですか。失礼しました。」


おいおい、本気か?


「実は、先程近くで事件が発生しました。したがって、すべての出入り者に安全検査を行います」


「事件って、なに?」


「今はまだ公開できません」


駅員にそう言われても、僕はやはり納得できない。


人の命に関わるかもしれないから。


「君たちは早くここから離れたほうがいいですよ。特にそこの竹林には絶対に入ってはいけないです」


「なぜだ」


「具体的なことは知りませんが、そう規定されています」


「悪いが、僕たちはどうしてもそこへ行かなきゃ」


「それは困りますね」


…その時。


「彼らを行かせよう」


かなり威厳のありそうな声が、耳に入ってきた。

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