表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/94

7話 列車強盗

獣の列車は駅に到着した。


この駅は終点駅だから、列車はここにしばらく止まるはず。


ちょうどいい、このような列車の正体を見張っていこう。


レンカちゃんは僕と一緒に列車に乗った。


「兄さん、ちょっと前に行ってみたい」


「いいよ、僕も付いて行く」


列車の先端の窓から前へ、レンカちゃんが見つめている。


「兄さん、なんか違うのー」


「ん?どういうことかい?」


「前に二匹の霊がいるのー」


レンカちゃんの指が列車の先端部分の前のところへ差している。


よく見ると、そこに確かに獣の霊がいる。少し薄く見えるが。


しかし、別におかしいことではない。


獣の列車であれば、獣の霊がいるのも何の問題はない。


「霊が引く列車だから、霊がいるのは当然だろう」


「…でも」


「心配するな。僕たちだけが乗るわけじゃないし」


「別に、怖くなんてないよ」



他におかしいと思うことはあるのだろう。


例えば、運転士がいないということ。列車内に。


そう、どうやらこの列車は獣の霊だけで運行しているようだ。


「あっ」


突然、列車が動き始めた。


レンカちゃんは足が滑って、転んでしまいそうな時。僕は急いで前に出てレンカちゃんを支えた。


「兄さん、ありがとう」


「礼を言うな。君は一応僕の妹なんだからさ」


「もうー、一応ってなんなのよ。妹は妹なのー」


「はいはい」



列車が発車する時、なんと知らせがないとは思わなかった。


とにかく席に座ろうか。


って、僕とレンカちゃん以外、一人しか乗っていないのか。この列車は2両編成で、乗客が少ないが、こういうことになるとは思わなかった。


レンカちゃんは慌てて近くの席に座ったが、僕もそのまま隣の席に座っていることになった…


「ゴーゴー~」


レンカちゃんはなんか興味津々だな。


…結局、この列車に乗る人は僕とレンカちゃんを含めて、三人しかいない。


その乗客は、全身真っ黒な格好をしている男の人だ。僕の向かい側の席に座っている。


だが、その男はこっちに見てない。列車の先端部分、すなわち獣の霊のいるところへ見ているようだ。



そういえば、僕はなんと獣の霊が見える。ちょっと薄く見えるだけだが…


僕は霊力がないので、霊を見るのは不可能なはずだが。


あの時レンカちゃんの霊力暴走による影響か、それとも、僕の体の中に眠っている詩音という画霊の女の子のおかげか…


そう思った時、僕がもう一度列車の前へ見ると、つい気付いたんだ。


この列車を引いている獣の霊が縛られているのは首ではなく、直接獣の霊の本体から、霊の糸を抜き出され、列車に繋がられる。これで列車を引くことが可能になる。


どうやらこの二匹の獣の霊は、ある動物の霊というわけではない。いくつかの大きな動物の霊で合成され、作り出されたより強い霊ということ。


これが霊能術においては禁忌だが、霊能者一族のある偉いさんが強引に実験を行ったようだ。



ドカン、ドカーンッ!


不意打ちの爆発音が僕の回想を切れた。


気がついた時、何人かの人が列車の窓から飛び入った。


「我々は強盗だ!大人しくお金をよこせ!財物をよこせ!」


と、僕たちはそう命令された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ