4話 機嫌が悪そうな声
霊力を使う交通機関…
あった!見つかった。 『霊というエネルギー』
霊を燃やして動力に… いや、違う違う。
霊を使役して車を引く… これだ。
どれどれ~、獣の霊に楔を打ち込み、暗示をかける。これで獣の霊がそのまま同じことを繰り返し、つまり車や列車を引き、動かすことは可能になる。
そういうことなのか。
「兄さん、見て見て~」
その声を聞いて、僕はレンカちゃんへ向かった。
「なんだ?急に」
「この本、面白そう~」
レンカちゃんの指差しに沿って、こういう本を見つけた。
『霊力で美食を作ろう!百種の料理の作り方』
「なんだこりゃ。レンカちゃん、お腹空いたか?」
「ううん、ただ兄さんの手料理食べたいなと思って~」
「手料理か。まぁ、いいよ、機会があれば、作ってあげる。」
「兄さん大好き~」
さて、次は目的地の竹林に関する資料を調べるか。
「レンカちゃん、地下2階に行くぞ。」
「えっ、楽しいところなのに…」
レンカちゃんは料理の本を楽しめている。
「その本を持って来ればいい。図書館を出るわけじゃないから、借りる必要はない。」
「えへへ、そっか、そっか。」
…
都の南西にある竹林、通称ーー妖精の竹林。その竹林には、この世にも数少ない妖精という生き物が生存している、という噂がありそう。
妖精は翼があり、体つきは約人類の三分の二だ。見た目は人間とほぼ同じだが、人間以上の美しい形をしているのが多い。
って、妖精たちが住んでいるところは竹林とはいえ、都の一つのエリアぐらいの広さがあるらしい。
そして、妖精の数が減る原因については、封印されている邪悪な物には関係があるかもしれない。
以上、黒の図書館地下2階にて、過去の様々な新聞から集めた情報だ。
地下一階に戻ったが、階段の近くの本棚に、『霊力暴走の禁忌』という本があると気づいた。
「そうだ。レンカちゃん、この前霊力の暴走が起こった時、なぜ僕の体を操れるのか?まさかおっさんの言う通り、死霊術なのでは?」
「霊力の暴走…?あの時の記憶は、ただ私は拉致されて、兄さんが助けてくれたことしか残らない…」
「回想してみ?レンカちゃんの身元に関わることかもな」
「うん。…だめ、思い出せない…」
「大丈夫だ。無理に思い出さなくてもいいさ」
とりあえず、今はその『霊力暴走の禁忌』という本を調べてみるか。
僕はその本へ近付く時…
「おい、そこの君たち、見知り顔ではなさそうじゃのう。霊能者の人?」
いきなり機嫌が悪そうな声をかけられた。




