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霊能者(仮)の僕には、霊力がないのだとっ?!  作者: レイジ
第二章 見覚えのある絵
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7話 画霊の女の子

そのもう一人の僕は、寝ているレンカちゃんをお姫様だっこしている。


彼がそのまま僕に後ろを向けてたたずんでいた。


もしかすると、ここは幻の世界ではなく、想い出の世界なのか。


だからこそ、母が見える、もう一人の僕が見えるのだ。


でも、ここの光景は僕の思い出とは食い違っている。


最も明らかなのは、あの二階の収納部屋が女の子の部屋になってしまった。


それに、今目の前にお姫様だっこされているレンカちゃん。そのレンカちゃんは本物か?


では、そのもう一人の僕は…


幻の世界だったら、彼も僕が見えないはず。


思いがけないのは、突然彼は後ろ振り返って、怪しげに笑ってくれた。


「お、お前は、何者だ?!」


目の前のその顔――何度も鏡に映った時現れる顔を見ると、非常に気分が悪い。その怪しげな微笑にも気味悪い。僕は急に心細くなってしまった。


「レンカはどうした!ここは、どこ?」


彼はゆっくり立てひざをついて、レンカちゃんを傍らの芝生にのろのろと置いた。


「僕は二宮朔夜、ここは僕の家。」


その彼――もう一人の僕は表情を表に出さないまま答えてくれた。


「レンカはただ寝ているだけ。」


「クソ、この偽物!!レンカに何をした?!レンカ!」


声の限り叫んだ。しかし、レンカちゃんが少しも動かない。


「お前、今自分のことを心配したほうがいいぞ。」


そう言った後、彼が稲妻のようなスピードで打ってくる。


やりつけた技…


僕はその鋒鋩(ほうぼう)を避けるため、跳ね退ける。


本当にもう一人の僕と戦うのか?なんか変な感じがして…


そして、まだ反応ができていないうちに、またげんこつが飛んでくる。


痛っっ!!


ボディーを打たれ、口から(つば)が噴き出した。


これ以上耐えられない!


そういう相手に、後ろを見せるわけにいかないだろう!


体勢を立て直し、こぶしを握りしめる。


攻撃を避け続け、反撃し、二の矢三の矢を放つ。


「ああああああああーーーーーーーーーー!!」


なぜだ?!


彼を攻撃する度に、僕の体は同じ程度の痛みを受ける。


目の前にいるもう一人の僕は、本物の僕?


じゃ僕は誰…?


もうどうでもいい、レンカちゃんを助け出すためなら何でもやるから。


絶対レンカちゃんを助けて見せる。


痛みと苦しみを堪え忍び、一撃で勝負しよう!


こういう場合は…


全身の力を込め、相手に体当たりをくらわす!


僕の体の前に風で形成された巨大な風の刃は、体当たりをくわせると伴い、その偽物の体を切り刻んだ。


偽物の体は煙になって空に上がっていった…


これで終わったかな…


おかしい、僕はどうして怪我をしなかったのか?


やはり瞬殺するしかなかったか。



「レンカ!無事か!って、君は、誰?」


寝ていた女の子が立ち上がった。でも、その女の子はレンカちゃんではない。今目の前にいるその子は、もらったばかりのあの絵に描かれている女の子だ。


「さっきのは、やはり君の仕業か。」


正体を見せてくれる以上、本気でやるつもりか。


この時、女の子は僕に言ってくれた。


「妾はこの絵の画霊でございます。主は今この絵の世界にいらっしゃいます。」


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