5話 絵の中の世界
「教えてくれ、レンカちゃん。この絵を知ってるかい?」
「よく分からないの、絵なんて、興味ないけど」
「じゃ、よく知っている感じって、どういうこと?」
「なんか頼れる感じ。そう、兄さんと似ている感じがした。頼もしいの」
「いや、それほどでも… ってか、ますますわからなくなってきたな」
「…兄さんのこと褒めてないよ」
「分かっているさ。分かっているけど…」
絵をテーブルの上に置き、ちゃんと調べてみるつもり。
「レンカ、この絵の霊力、感じられる?」
「…もちろん、こんな簡単なことは」
「どうだ?何か異常あるのか。当然、さっきの頼れる感じは含まれていないよ」
「この絵、おかしいことはないみたいの。世の中には霊力のあるものが多すぎる」
「それで?」
「…霊力があっても不思議なことではないの」
「描かれている女の子について、何か心当たりはないのか」
「特にない… その頼れる感じのほうがもっと気になる」
「そっか。まあいいか。ってか、今日の買い物はどう?楽しかった?」
「はい、楽しかった。でも、少し残念」
「どうして?」
「兄さんと二人で遊びに行きたいの。どこでもいい」
「ああ、今回の依頼が終わたら…」
「ホント?よかった。」
レンカちゃんは嬉しそうな顔をしている。
もう一度この絵をじっと見て…
この絵の女の子は相変わらずまるで生きているよう。思わず何度も繰り返して見る。
「…兄さん?」
その声を聞いても、返事はできない。なぜなら、目の前の光景が急にぼやけてしまうから…
…
ここは…
目の前に現れたのは、実家の一戸建て。
一年前、僕はここから家出した。
しかし、なんか違和感がある。
ここは静かすぎるんだろう。
あたりを見てみた。
確かにここは実家、間違いない。
なぜ、突然ここに帰ってきたんだ?!
僕はレンカちゃんと一緒にアパートにいるはずなのに…
そういえば、レンカちゃんは?
あの子を守ると約束したのに…
何やってんだよ。僕は。
結局、僕でさえ自分のことを半分も理解できていないのか。
その時、この家の前に一人がいるのを見かけた。
よく知っている姿。
「レンカちゃん?」
声をかけてみたけど、返事はない。
そして、レンカちゃんにによく似ている子はそのまま家に入った。
僕は急いでついていき、家に入った。
家の中の飾り付けは昔とほとんど同じように、何も変わっていない。
もしかして、本当に帰ってしまったのか。
一階には誰もいないようだ。
あの子がこの家に入ったはずなのに…
二階へ行って見ようか。
二階の奥まで歩いていく。
廊下に一番奥にある部屋は、女の子の部屋っぽい。
だが、この部屋は、収納部屋のはずだったが…




