4話 謎の絵
この絵を持って帰るか。
そう思ったまま、絵に手を伸ばして…
絵に触れた瞬間、なんと霊力が感じられる。
なぜか分からないが、レンカちゃんの霊力が暴走する時の光に体を通り抜けられて、操られて、なんだか体がおかしいようになった気がして…
霊、及び霊力に対する感知力が強まっているらしい。
もしかして、僕も少し霊力があったのかな?でも、この感じは安定していなくて、ちゃんと操ることはできない。
しかも、人の霊力は他の人の体には移すことができないはずだが…
この絵には、いったい何の秘密があるのか。
まあ、そういうことは帰った後にしようか。
絵を持ち、店を出ていった。
…
「もうー、兄さん、遅ーいの」
「ごめんごめん、つい…」
洋服屋に戻る途中、レンカちゃんたち二人に会った。
「あら、朔夜君はそんなタイプが好きなの?」
まだ気付いていないうちに、葵姉さんが近づいてきて、たった今手に入った絵が見えた。
もっと早く知っておけば、あのメガネにこの絵を包装してもらったらいいのに…
「い、いや、ただ、この絵が単純に好きなだけ…」
「…兄さん、素直じゃないよね」
やれやれ、まさかレンカちゃんまで…
「ああ、参ったな」
荷物番としての僕は…
いまやらなければいけないことは、山ほどある。
……
やっとクリニックに戻った。
矢も盾もたまらず葵姉さんの買ったものを置いた。
「はあー、疲れたわ」
「おいおい、僕のほうがもっと疲れてるんだろう」
葵姉さんにあっさりと言い返し、ここから立ち去る時。
「お金を返すのを忘れないで、妹さんに立て替えてあげたお金を」
「ああ、って、葵姉さんがレンカちゃんに買わせるんじゃねえか!」
「別にいいじゃないか、どうせもともと服ぐらい買う必要があるわ」
「それはそうだけど…」
返す言葉はない。
「兄さん、帰ろう。疲れたの」
レンカちゃんはの服を引っ張っている。
「うん…」
「またね」
「じゃあね」
「…バイバイ」
…
レンカちゃんと一緒に家に帰った。久々にこの一室に帰るなんて何と表していいか分からない。って、久々とはいえ、一週間ぶりにすぎない。
ただ、近いうちに引っ越しは必要になるかもしれない。二人で住めるように、それよりも、身の安全を確保することができるように、どこかへ引っ越しすればいいのか?それも考えなくてはいけない。
「…この絵、なんとなくよく知っている感じ」
家の中に入ると、レンカちゃんは小声でつぶやいた。
よく知っている感じって、どういう意味?




