14話 僕の妹(仮)
これは一体どういうことなんだ!
僕の体がなぜレンカちゃんに操られているのか?!で、どうやって僕の体が支配できるのか?!
おっさんが召喚してきたライオンのゴーストは、彼の動きに従って後ろへ下がった。
「そ、それは、死霊術?!お前、生きてるんじゃねぇか?!生き物だろうな!」
おっさんがそれをいいながら、ライオンのゴーストと合体し、そのゴーストが実体化に近いように見える。
死霊術?!その言葉を聞いて、マジ驚いた。死霊術は主に死霊や死んだ生き物を操って戦う法術だけど、僕は生きている人のはずなのに、何故死霊術が効いている?!
でも、これを問う暇がない。レンカちゃんはこれを問う暇が与えてくれないから。
レンカちゃんは僕の右手を胸に置き、呪文を念じた。
…
すると、手の甲に付いてる刻印が身の前に照らして、空に映し出した。
そのようなところから、青くて透明に見える剣が出てきた。
操られている僕が、具現化した剣を握ったまま、一瞬、ライオンのゴーストの目へ剣を刺し出す。
目に映り込んだ光景もはっきり見えないほど速い。
白刃の閃きに伴い、ゴーストの左目のところが剣に刺された…
僕の手で攻撃したけど…
これは、本当にレンカちゃんのやったこと?!
少女のレンカちゃんが、こんな残酷なことを…
「兄さんはそれを望んでいないのなら…やめるよ。」
いや、僕は、ただレンカちゃんを汚したくないんだ。
…
「ゴ、ゴホン。ははは、まさか、こんなことになってしまったよな。いつかまた会おう。今度はそんなに運がよくないかもな。」
青色の剣がライオンのゴーストとともに消え去り、おっさんは逃げる前にそういうセリフを残した…。
「やっと、終わったね。兄さん。」
急に体の疲れが感じられるようになった。
どうやら体の支配権を返してくれた。
後ろを振り向き、レンカちゃんが段々と穏やかになり、上からゆっくり落ちてくるのが見える。
僕は腕を伸ばして彼女を受け止めた。
戦う光が完全に消え、まわりも静かになった。
じゃ、先、抱きしめられたという感覚は、やはり精神的な感覚だったのか。
「レンカちゃん、体調はどう?」
「…眠い」
今は疑問がたくさんあるけど…
こんなにいろんなのことを経って、もう疲れた。
レンカちゃんをお姫様抱っこして離れようとする。
「一緒に、帰ろうか…」
「…うん」
…
もうすぐクリニックに着く時、葵姉さんがとば口に立っているのを見かけた。
「朔夜君、大丈夫か?この子は…」
葵姉さんに緊張した面持ちで聞かれる。
「寝ているだけだ。ゆっくり休ませて…。葵姉さんは?さっき急いでたので、悪いな。」
クリニックに入り、レンカちゃんをベッドに置き、布団を掛けた。
「私大丈夫よ。それより朔夜君は…?」
「この子の受けたことよりもたいしたことねえ。」
目先の安逸をむさぼる僕だって…
「せめて可愛い妹のためにも、しっかりしないとな。」
「なんか変わったような…。何っていうか…朔夜君は事なかれ主義じゃないの?」
…
「…兄、さん。」
「目が覚めたか…。気分はどう?」
その微かに開いた目を見て、気にかけて
「ちょっと、疲れちゃった…」
「ちゃんと寝て、傍で見守ってあげるから。」
「兄さんも、一緒に。」
「ぼくはいいんだよ。兄として妹を世話すべきだからさ。」
「やっと、認めてくれたね。嬉しい…」
「…ああ、これからは君は僕の妹なんだ。」
これから妹のように扱うだろうか。
「これからなんて…、生まれてからずっと兄さんの妹なのよ。」
「…はいはい。」
……
ここで経験したことは、まじでショックだった。
僕とレンカちゃんはもうここに居てはいけないかもしれない。
いざという時のために逃げ道を残しておく必要か…
これからどうするんだ…?
あの子――レンカちゃんには一体どんな秘密があるのか?
……
一週間後。
僕たちはほとんど回復した。何も起こらないと思っていたが…
「朔夜君、この前の話だけど。お願いがあるよ!」
葵姉さんが慌てて歩いて来た…




