表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/102

本心!? 長老の野望!

ついに明かされる、長老の陰謀とは!?

 テトラと結婚するのは自分だと長老は言う。初めは冗談かと思ったが、違う。その目は本気だ。


「小僧も見たじゃろぅ? テトラの治癒士としての才能は本物じゃ。こんな片田舎の小さい村でくすぶるより、都会へ出て技術を磨けば、必ずや相当な実力を身につけるじゃろう。その時、テトラの隣にいるのはワシじゃ。

 ワシは治癒士テトラの夫となり、その治癒魔法の効力で永遠の若さを手に入れるのじゃ。テトラには、それを成すだけの素質がある。こんな惨めな老いぼれの姿など懲り懲りじゃわい。

 ワシは全財産を叩いてでもテトラと結婚し、再び全盛期のような若々しい肉体と精神を手に入れるのじゃ。そうなれば、年の差などないも同然なのじゃ」


 ……なるほど。要するに、このジジイはテトラを利用しようとしてるのか。若さを手に入れるため、テトラの治癒士としての力を利用する。ただそれだけのために。テトラが望むかどうかなど関係なしに、長老は画策しているのだ。

 ――なんだよ、正真正銘のクソ野郎じゃねえか。


「……お断りします」

「なんじゃと!?」


 長老は明らかにうろたえている。


「さっきまで、僕はテトラさんと決闘する意志は希薄でした……でもたった今、事情が変わりました」

「どういうことじゃ!?」

「あなたにテトラさんを渡すわけにはいかない」


 僕は言い放った。長老は今にも激昂しそうな様子で、残り少ない歯をカチカチ鳴らした。


「なぜなんじゃ!? 前金が足らないか!? なら300万ジュエル出そう! そのあと、ワシとテトラが正式に結婚してから900万ジュエル出す! 合計1200万ジュエル! ワシの全財産じゃ! 頼む! これで手打ちにしてくれぇ!」

「どんな条件を提示されようと、引き受けるつもりはありません」


 断言すると、長老は土下座して禿げた頭を地面に擦りつけた。


「こんな老いぼれにここまでさせるかぁ! じゃがいとわん! ワシはいとわんぞ! 恥! 外聞! 全てかなぐり捨てて懇願するのじゃ! ワシは若さがほしい! テトラがほしい! 頼む! 哀れなジジイの余生に、僅かばかりの希望と自由をぉ!」

「いい加減にしろ!」


 僕は怒鳴った……先に激昂してしまったのは、どうやら僕だ。


「テトラはあんたの私利私欲を満たすための道具じゃない! 自分の意思を……テトラだけの自由を持ってるんだ! それを踏みにじるような真似は、誰にも許されない!」


 僕は叫びながら、一つの決心を固めた。


「あんたの企みは僕が阻止する――戦ってやる。僕はテトラと決闘する。テトラを、あんたみたいな奴の好きにさせるわけにはいかないんだよ!」


 僕は息も絶え絶えになっていた。ここまで叫んだのは……怒ったのは、随分と久しぶりだ。長老は顔を上げ、立ち上がった。

 長老は笑っていた。それは悪意のこもった笑みではなく、どこか満足げだ。


「――よくぞ言うたのぅ」

「え?」


 一体どういうことだ?

次回、長老の真意が語られる――!


現在、同時進行で連載中の『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』という別作品もありますので、こちらもよろしければどうぞ。http://ncode.syosetu.com/n9952cq/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ