衝撃! 長老の悪しき提案!
テトラと共に長老に会いに行くと、衝撃的な展開が二人を待っていた――!
テトラは人の傷や病を治す治癒士だった。長老に会い、今度こそ決闘を承諾してもらおうと言うのだ――僕は大反対だけれども。
「長老様! ユキオさんに見ていただきました、私のお仕事」
「ふむ、そうか……そうか……」
長老はこっくり頷く。その時、一瞬だけ、僕は長老と目が合った。なんとなく、怪しい眼光だった……。
「……テトラや、その小僧と二人きりにしてくれんかの?」
「え?」
「少し話しておきたいのじゃ、二人きりでな。その間、コッペル夫妻のところで休んでいなさい。疲れておるじゃろうて」
「で、でも……」
「心配無用じゃ。悪いようにはせん」
「……はい。では、ユキオさん。私はこれで……」
テトラは僕にペコリと頭を下げた。何とも律儀で可愛い女の子だ。
「村の入り口、左手の家にいますので、御用が終わったらいらしてください。家族にも紹介したいので……」
「は、はい……分かりました……」
テトラはもう一度頭を下げてから出ていった。いよいよ家族と対面かぁ……なんか、成り行きでここまで来てしまったけれど、本当に大丈夫だろうか?
「――ユキオ、とか言ったのぅ? 小僧」
「はっ、はい!」
長老は傍らの杖を取り、それで身体を支えながら僕の方へ近づいた。
「……小僧。テトラとの決闘、断ってくれんかのぅ?」
「え……?」
突然の提案だった。
「で、でも……決闘を申し込まれたら断れないんですよね? 遥か昔の暗黒時代から続く歴史の裏づけで……」
「そうじゃ。決闘を断れば『婚姻礼法』に違反し、2500万ジュエル以下の賠償金の支払い義務、もしくは10年以下の懲役が課せられる」
そのジュエルって通貨が日本円に換算していくらくらいなのかは知らないけれど、聞く限りかなりの重罪じゃねえか。
そんなもの強いられてたまるか。
「もちろんタダでとは言わん……保釈金はワシが払う。加えてテトラとの決闘を断った謝礼金も払おう。そうじゃな……まず前金として100万ジュエルはどうじゃ?」
なんなんだ、一体? このおじいさんは何を言っているんだ? 僕とテトラの結婚というか、決闘そのものを止めたいらしいが、口調からしてテトラを大事に思うが故――ということではないらしい。
何か企みのある目だ。
「……どうして、そこまでして?」
僕は恐る恐る訊ねた。すると、長老は微かに悪そうな笑みを浮かべた。
「それはのぅ……テトラと結婚するのはワシだからじゃ」
衝撃的なことを言う長老。
「……え?」
僕は呆然と立ち尽くした。
次回、長老の企みが明らかとなります。
また別作品『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』も連載中ですので、よろしければどうぞ。http://ncode.syosetu.com/n9952cq/