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キミが泣いて許しを乞うまで

 今回から、本編中で使われた台詞の一部をサブタイトルに採用する手法を取り入れました。適度に用います。

 王国の首都で、テトラ、アンナ、マリアの3人は、それぞれのスタートを切った。僕も新たに異世界学園生活を始めたけれど、クラスで隣の席のカレンがルームメートとなった。

 彼女の裸を見てしまったりなどは、まだ波乱の始まりでしかなかった。貴族のフェザーとその取り巻きの女子たちに、僕とカレンは狙いをつけられてしまったのだ。


 そして、その直後――早速アタッカーの『格闘術』の授業なのだが、それはフェザーも取っている科目だった。

 カレンはディフェンダーの授業に出ているし……まあ、ここは僕が奴の報復を一身に受けることになるだろう。


「合言葉はっ! そう! 筋っ! 肉っ!」


 最初にカレンの部屋に来た時、僕を学園長室へ連行した体育会系教師――通称ゴリラが叫んだ。


「愛すべき弱者共! 俺が強者たり得る鋼鉄の肉体の鍛練法を今日も伝授してやる! 実戦あるのみ! 新入生へのレクチャーも終わったところで、今回からローテーションの総当たり組み手だ!」

「先生!」


 全員が散開する前に、フェザーが手を挙げた。


「前回、ユキオくんはレクリェーションを終えたばかりです。ユキオくんと組む人は、彼の実力が分からないと、どこまでやっていいのか分からなくなるでしょう。ここは実際に、ボクが相手をして、みんなにユキオくんの手腕を1度見てもらった方がいいと思います。前回、彼と組んだボクなら適任です」


 フェザーめ――何を企んでいる。すると、ゴリラも僕とは少しばかり因縁があって、『いいだろう』と大人げない笑顔を見せた。


「では、フェザーと タジマ ユキオ は中央へ!」


 フェザーは得意そうな表情で僕を一瞥し、立ち上がった。キャーキャーと女子の黄色い歓声を受け、フェザーは気取った素振りで道着を着直した。

 仕方ない――僕は溜め息をついて、フェザーの正面に相対した。僕たちの戦場から去る際に、ゴリラが僕に耳打ちする。


「学園長のお気に入りだからといって、お前のふしだらな猥褻行為が許されると思ったら大間違いだ。お前は純真無垢な女子生徒の部屋に侵入するだけでは飽き足らず、更にはその裸を見、あまつさえ事の真相をうやむやにして隠蔽した。俺は逃がさないぞ。お前の腐った性根を叩き潰してやるからな。

 フェザーは俺が見てきた中でも最強の男。それに比べお前は格闘のセンスが全く皆無……俺は何も個人的な恨みでこんなことを言っているわけではないからな。これは教育だ。32年間健全に実直に生きてきた男がいるにも関わらず、お前は下劣な下心で一人の女子生徒を汚したのだ。俺はお前の『更正』に全力を注いでやる」


 このゴリラ全力で勘違いしてるなあ。しかも、それは学園長の口から説明を受けたはずなんだけどなあ。


「両者、向き合え――それでは、はじめ!」


 ゴリラの一声で、フェザーは一気に動いた。僕の動体視力が捉えられないほど素早く間合いを詰め、あっという間に僕の懐に入ると、腹を思いきり殴ってきた。


「ぐぉ……っ!」


 メリ、という嫌な音がして、僕はあまりの痛みにうずくまってしまった。


「バカだよね、キミも。こうなることが想定できなかったのかい? ボクが親切に声をかけてあげたことで調子に乗ってしまったようだから教えてあげるよ。ボクはキミをトモダチなんて思ってない。キミはボクの実力を誇張するための広告さ。キミみたいな成り上がりの無能と常に一緒にいれば、才人のボクがより輝くからね。つまりトモダチを装って利用していたわけさ」


 ごめん、それ知ってたわ。


「そんなキミが、調子に乗ってもボクの邪魔をするから悪いんだ。あのディフェンダーのカレンさんをボクのモノにする邪魔をね。キミごときがボクの邪魔をしていいと思っているのかい? ボクは、キミが泣いて許しを乞うまで、キミの尊厳の全てを潰し続ける」


 フェザーは僕の首根っこを掴み、顔面を殴った。僕は床に叩きつけられた。しかしフェザーは僕に休ませる間も与えず、次いで腹に蹴りを入れてきた。あまりに重い一撃に、僕は壁に激突した。


「キャ~ッ! フェザーきゅん! ステキすぎぃ~! やばい、アタシ、マジでフェザーきゅんの格好よさで気絶しそ~!」

「フェザーくん! ああ! 魔法の才能もある上に格闘もこなせるなんて、反則よ! どこまでアタシのココロを熱くしちゃうのっ♡」

「フェザーくんの蹴りっ! あんっ、蹴られたいっ! あのたくましいフェザーくんの体に力強く抱き締めれたいのぉ! 見て! フェザーくんコッチ見てぇ~!」


 一部の女子の歓声が大きくなっていく。僕より味方に恵まれているフェザーは、その声援で更に勢いづき、僕を痛めつけていった。

 いよいよありがちな感じになってきた。


 同時連載中の『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』もよろしくどうぞ。http://ncode.syosetu.com/n9952cq/

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