アンナの実力
8月2日 18時14分 モーニングスター大賞運営チーム様より、感想サービスの一環でコメントをつけていただきました! 光栄! これからも奥ゆかしさ重点で頑張ります!
また、同時連載中の『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』という作品も、今回モーニングスター大賞の選考にエントリーさせていただいております。
こちらは本作が開始する以前から連載されており、密度・【熱量】どちらも本作に劣らない質を誇っていると自負しています。
本作をお読みくださっている方、ぜひこちらもどうぞ。http://ncode.syosetu.com/n9952cq/
本編は、ついに森での戦いでカットされたアンナの戦闘シーンです!
王国へ向かう道中、テトラが盗賊に拐われてしまった。僕は助けに向かったけれど、ゴブリンの群れに足止めを食らい、すぐに駆けつけることが出来なかった。
代わりに、アンナという双剣士の女性が、テトラを守ってくれた。しかし、王国へ辿り着くための足を失った僕とテトラ。徒歩で王国を目指すことになった僕たちに、アンナは護衛として同行すると進言してくれた。
こうして、僕、テトラ、アンナ、3人の旅が始まった。
「アタイは首都のギルドのアタッカーなんだ。今日はたまたま、あの森の近くで仕事をしてて、テトラを見つけたってわけ」
「えー!? アンナってギルドのメンバーだったの!?」
「うん。『ケルベロス』っていうギルド」
「ホントに!? 凄い! ケルベロスって、あのアタッカー専門ギルド最強のケルベロス!?」
テトラとアンナの会話がとても盛り上がっているのを、僕は少し離れたところで見ていた。トボトボと、しょぼくれた足取りで歩きながら。
「あっ、ユキオさんユキオさん」
するとテトラが僕を振り返り、『こっち来てこっち来て』と手招きした。
「『ギルド』っていうのはね、世界各地にある何でも屋のことなの。依頼を受けて、それを解決して、報酬をもらう。これがギルドの仕事。
ギルドでは大抵の人が6種のロールの中から一つ得意分野を選んで、それに特化したメンバーとして売り込むんだ。アンナは、『アタッカー』っていう、攻撃が専門のロールの双剣士っていう職業ってこと。
ギルドの中には、一つのロールに特化したギルドもあって、例えばメンバー全員がアタッカーの専門ギルドとかがあるの。アンナはね、アタッカー専門ギルドでも最強って言われてるケルベロスっていうギルドのメンバーなの! 凄くない!?」
「すごい」
僕は正直な感想を言った。テトラの後ろで、アンナがドヤ顔をしていた。別にいいけど、なんで? なんでそこでドヤ顔? いや分かるけども。彼女、なんか僕に対抗意識を抱いている気がするんだよなぁ……。
そんなことを思っていると、アンナの後ろから、何か大勢の何かが向かってくるのが見えた。僕は念のため、テトラに下がっているよう手で促し、その正体を目を凝らして見た。
あれは――スライムだ! スライムとは、液状の生命体である。見た目は、なんかゼリーっぽい感じだが、れっきとしたモンスターだ。アメーバが50万倍くらい大きくなったものと言えば想像しやすいだろうか。
スライムは一見すると軟弱で倒すのは容易かと思われるが、実は厄介な特性がある。スライムには個体と集団の境界が存在しない。つまり液状の生命体であるが故、例えば複数のスライムが集まった時、そのスライムたちは合体して個となることが出来るのだ。逆もまた然りで、個体が分裂することも可能だ。
「テトラ、離れてろ!」
「大丈夫、アタイが指一本触れさせやしないから!」
僕とアンナが、戦線へ躍り出た。スライムに負けることは有り得ないが、テトラは治癒士だから戦えない。万が一スライムに捕まったら、液状の体組織に飲み込まれ、一生あのネバネバの中で生きることになってしまう。
僕たちは迫り来るスライムの大群と対峙し、駆け出した。僕が閃光を放つ隣で、アンナが双剣を構え、第一陣の真っ只中へと突撃していった。
アンナは女性だから、女神の力が事故って当たることはない。加えて、スライムには性別の概念がない。ゴブリン軍団の時とは違い、僕も存分に戦える。
僕が両手から閃光を放ち、連続でスライムを倒していくのに対し、アンナは2本の剣を振りかざし、戦場を我が家の庭の如く自由に駆け巡る。彼女が敵を斬り裂く様は、連続というより、一気だ。一気に、何体ものスライムが両断され、ベシャリと地面に散らばる。
あっという間にスライムの大群を一掃したが、アンナが倒したスライムの数は、僕の10倍くらいなんじゃないかと本気で思った。
「余裕だね」
そんなことを呟きながら、剣を鞘に納めるアンナ。
「強い」
僕は確信した。
はい。強いです。今後、もっと詳細な戦闘だったりアンナのスペックを披露します。
同時連載中の『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』という作品の主人公も強いです。




