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始まって3秒で敗北!?

 なぜユキオは負けてしまったのか……真相が明らかとなる!

 ついにテトラとの結婚を懸けた決闘が始まった。僕としては勝ってテトラとの結婚を阻止したかったけれど、何も出来ずに3秒で敗北してしまった。

 女神の力が発動しなかった……一体、どうして?


『どうかなされましたか?』


 仰向けになったまま動けない僕の頭の中に、あの女神様が現れる。


「女神様! どうして!? なんで僕の力が発動しなかったのですか!?」


 僕は頭の中で抗議した。


『どうぞセアと呼んでください――あれはあなたの力ではありません。あの力は本来、私のものです』


 そうでしたね。


『私の力は邪神リョウゼンを倒すためのもの――女性を守るためのものです。リョウゼンが私や、かつてエクレールに野望を阻まれた際、女性に激しい憎しみを抱くようになりました。以来、彼の破壊対象は専ら女性。その女性へ向けて私の力が発動することは、未来永劫あり得ません』

「そ、そんなぁ……」


 じゃあ、僕の敗北は最初から決まっていたのだ。テトラに決闘を申し込まれた時点で、僕とテトラの結婚は、揺るぎない確定事項に過ぎず、そこへ至るまでの僕の苦悩は、全て無駄だったわけだ。

 そんなことを考えていると、女神は――セアは僕に優しく微笑んだ。


『何を落ち込むのです? あんなに可愛らしい女性と結婚できるんですよ? 良かったじゃありませんか。羨ましい限りですよ』


 心にもないことを。


『それに、子供はいいものです。子供がいると、こう……お腹の下辺りが温かくなって、とても気持ちが良いのです。特に子供が成長する瞬間・過程を見られた時など、私は天にも昇る気持ちになります』

「セア様! 結婚するだけなのに話が飛躍し過ぎですよ! いくらなんでも子供はまだです! ――って、セア様、お子さんがいるんですか?」

『あら、私にとっては人間は全て子供ですよ。男性が荒っぽいのは少し困りますが、それでもみんな大切です――もちろん、私はあなたのことも愛していますよ』


 セアの笑顔が更に輝いた――やめてください、超照れます。


「ユキオさん! ユキオさん! 大丈夫ですか!?」


 テトラの声が聞こえた。ハッと我に返ると、頭の中からセアが消え、テトラが心配そうに僕の顔を覗き込んでいるのが見えた。


「テ……トラ……さん……だっ、大丈夫ですよ、僕は」

「あぁ……良かった!」


 テトラは喜びに涙を滲ませ、僕に抱きついた。僕の平らな胸板に、テトラの豊かなものが押しつけられ、僕は顔が真っ赤になってしまう。

 僕は周囲の人々が非難がましく僕を睨んでいるのに気づくと、粛々と顔を伏した――この柔らかさを知っているのは僕だけなんだな、と自慢したいのを堪えながら。


「オホン」


 長老が咳払いをしたので、僕とテトラは慌てて立ち上がった。


「怪我はないかのぅ?」

「はいっ、全然、この通り……」

「よかろう」


 まあ、テトラは麻酔魔法しか使っていないので、それは当たり前なんだけれど。


「で、じゃ。この決闘の勝者はテトラじゃから、二人は晴れて結婚することとなるわけじゃが――」


 僕は項垂れたいのを懸命に耐えた。テトラの前で落ち込んだら、彼女を傷つけてしまう。そもそも、僕はテトラと結婚したくないわけではなく、テトラの将来を案じて結婚に否定的だっただけなので、ここで落ち込むのはお門違いだ。


「結婚式は今夜でいいかのぅ?」

「……え?」


 僕は思わず聞き返した。


「はいっ、もちろんです!」

「え?」


 テトラが嬉しそうに答える――もちろんなの?


「他の皆もよいかのぅ?」


 テトラの両親が涙ぐんで頷くだけで、あとはみんな黙りこくっている。僕を睨みながら。


「よし……では早速、挙式の準備に取りかかろうではないか!」


 ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?

 次回、結婚式を間近に控えるユキオは花嫁と対面し――!


 同時連載中の『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』もよろしくどうぞ。http://ncode.syosetu.com/n9952cq/

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