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感動!? 長老の愛!

 長老がテトラへの愛を語ります。いや、異性へ向けるそれではなく、純粋に家族としての、ね……。

 テトラと結婚し、不老不死となるという衝撃の野望を秘めていた長老――頑として反抗する僕に、彼の口から出たのは満足げな台詞だった。

 よくぞ言うたのぅ――その言葉の意味とは、果たして……?


「すまなかったのぅ……少し器を試させてもらった」

「え?」

「一芝居、付き合わせたということじゃよ」


 どういうことなんだ? 僕は混乱する頭で必死に考えたが、答えは自力では出せなかった。


「ワシら村の住人は皆、テトラを大切に思っておる……そのテトラが結婚したいという相手を紹介してきたんじゃ。テトラをいかなる時も守れる男でないと、ワシらは認められん。じゃが、どうやらテトラを任せられる人柄のようじゃのぅ」

「そ、そんな滅相もない……」


 どうやら長老は心優しい人のようだ。僕はさっき思いきり怒鳴ってしまったことを悔いると同時に、少しホッとした。


「でも、いくらテトラさんが大切だからって、何もここまですることは……」

「……テトラは村人全員の家族なのじゃ。その絆は鋼鉄より強く、稲妻より美しいのじゃよ」


 僕は心打たれた。テトラ一人のために狂人を演じ、無様に頭を垂れるフリまでして、彼女が決闘する相手を見定める――そんなこと、誰でも出来ることじゃない。

 ここは素晴らしい村だ……外観だけでなく、住む人々の心までも。清らかで、且つ純粋だ。


「……ユキオとやら」


 長老は僕の名を呼び、手招きした。近寄ると、長老は僕の腕を強く掴んだ。老人とは思えない握力だ。


「村を代表する長老として頼もう……テトラを守ってやってくれ。治癒士は貴重な人材じゃ。その力を悪用しようとする者も少なくない。そういった闇の魔の手から、生涯をかけてテトラを守り抜くと誓ってくれ」


 いや、まだ決闘するだけで結婚するわけではないのに、勝ち負けを待たずしてそういうことを言われても困る。これじゃあ僕、負けなくちゃいけない雰囲気になるじゃないか。

 何を勝手に託してるんだ、このおじいさん。


「……はい」


 しかし、長老の気迫に押され、思わず答えてしまった……弱いなぁ、僕。輝望皇に選ばれても、性格は変わらないものだった。


「うむ――では、コッペル夫妻の家へ向かうのじゃ。テトラと一緒に……家族に、挨拶をしておくがいいじゃろう」

「はい……」


 長老の言葉に、何か含みがあるように思えた。僕は一抹の疑問を抱きながらも、長老に一礼し、テトラの家へ向かった。

 次回、ついにテトラのご両親へご挨拶に窺います。一生に一度、あるいは数度、経験する人は経験し、経験しない人は経験しないアレです。


 現在、同時進行で連載中の『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』という作品もありますので、こちらもよろしければどうぞ。http://ncode.syosetu.com/n9952cq/

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