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青き馬、秋の天皇賞の勝敗を見る

今回は短めです。

【マジソンからスターヘヴンに先頭が変わり府中の長い直線、このまま逃げ切れるのか!?しかし有力馬達はただ見ている訳ではない!!】

外国馬スターヘヴンが先頭に変わった瞬間、レースは大きく変化した。ゴールデンウィークはマジソンを抜かして二番手に上がり、クラビウスは外に出し、最後方に控えていたトロピカルターボに至っては更に大外に出してスターヘヴンを差しに行った。


【スターヘヴン!スターヘヴンがまだ粘る!これが二カ国ダービー馬!】

しかしそれでもスターヘヴンはまだ粘っていた。それは騎手が強引にスターヘヴンの首を押し出していたからだ。所謂剛腕と呼ばれるスキルだ。

スキルといってもゲームに出てくるようなスキルという意味ではなく匠の技術というべきだろう。この剛腕は逃げ先行でバテバテになった馬の首を手…否身体全体を使って押し出し、少しでも前に行かせて粘らせる技術だ。逃げや先行馬ではないがゴールドシップもこれのおかげで春の天皇賞を勝利した。


しかしこの剛腕というスキルはかなりの労力を必要とする為、馬よりも人が疲れてしまい使うタイミングを間違えばズルズルと順位を落としてしまうという欠点がある。故に騎手は使うタイミングを間違えれば勝利どころか自分が疲れるだけで終わってしまう。

ただスターヘヴンの騎手は貧弱な日本人とは違い、外国人でありパワフルである。その為日本人よりも長くスパートをかけ、粘らせることも出来る。二度の対決の内一度だけドラグーンレイトに先着できたのはこれが大きい。


残り200m、誰もがスターヘヴンが粘り切ったと思った瞬間、そいつはやってきた。

【あっと!?白い不死鳥が内から飛んできたぞ、飛んできたぞ!】

しかしそれに合わせるように芦毛の馬がゴールデンウィークとスターヘヴンに並んだ。

【マジソンだ〜っ!マジソン再び先頭に立った!ラストダンジョンもやってくる!】

そしてマジソンに合わせるようにラストダンジョンも先頭の三頭に並んだ。そう、マジソンは一度だけ末脚を発揮する為に一息ついただけだ。一息ついた分抜かれてしまったがその分だけパワーアップして帰ってきたのだ。

【そして鬼の末脚、トロピカルターボも黙っていない!しかし勢いが足りない!】

宝塚記念馬トロピカルターボも粘るがマジソン等には勝てずそのまま優勝候補から外れた。


【クラビウスもトロピカルターボに続いて脱落!先頭四頭の争いを制するのは一体誰なんだ!!?しかしラストダンジョン!さらに末脚を発揮出来るのか!?】

そして残り100mを切った時点で更に末脚を発揮したのはマジソンの永遠のライバルにして一番人気のラストダンジョン。この馬はマジソンに中山競馬場、京都競馬場等の舞台で何度も負かされ続けた…しかしダンジョンは初めてマジソンを東京競馬場以外の舞台で行われる宝塚記念を優勝しマジソンのライバルとして君臨した。さらに去年のこの舞台でも勝利し、誰もがダンジョンのことを「マジソンのライバル」から「古馬最強馬」として認めていた。


だがそれも束の間だった。自身の得意とする東京競馬場で行われるJCで敗北。それから牙を研ぎ澄ませ、何度もマジソンに挑んだ。だが結果はいつもマジソンよりも後着。いつしか3歳馬達よりも格下扱いされてしまう始末だ。だが毎日王冠で勝利したおかげで馬券師やファンはダンジョンを見捨てたりはしなかった。それ故の一番人気だ。その期待に応えられなければ永遠にラストダンジョンはマジソンティーケイよりも格下と言われ続けることになる。

【騎乗の橘が物凄い形相で鞭を振るう!】

橘も次代、つまりボルトや他の騎乗する馬の期待に応えるべく少しでもマジソンよりも前にいく。そしてスターヘヴン、ゴールデンウィーク、マジソンティーケイと次々と抜かした。

【ダンジョン来た!!ラストダンジョン先頭!】

そして誰もがダンジョンの先頭でレースが終わる。…ある陣営以外誰もがそう思っていた。それはスターヘヴン陣営でもマジソンティーケイ陣営でもなかった。


その馬は陣営によるミスで何度も負け続けた。だが今回に限り、それはなかった。完璧とも言える仕上げに加え騎乗ミスもない。そして不安要素であるリセットもいない。もはや陣営の誰もが勝利を確信していた。だが結果を残さなければ人は信用しない。その馬の名前はゴールデンウィーク。今年のダービー2着馬だ。


【しかし外からゴールデンウィークだ!ゴールデンウィークなんと差し切ってゴールイン!半年遅れのゴールデンウィーク!お見事でした!】

ゴールデンウィーク、まさかのGⅠ制覇。その後、ラストダンジョン、マジソンティーケイ、スターヘヴン、クラビウス、トロピカルターボと有力馬が続いてヘレニズムダンス等の馬達がゴールした。


『全く大したもんだ…あそこからスターヘヴンを差すなんてな。』

ボルトはゴールデンウィークに対してそう呟き賞賛していた。と言うのもドラグーンレイトに並ぶ馬達が上位に来るのだからフロックではないということを理解していたからだ。ましてやリセット対策をし続けてきたマジソンや自分の主戦騎手である橘がこれ以上ないまでに巧みに騎乗したダンジョン、そして剛腕によってパワーアップした外国馬スターヘヴンを振り切ったのだから尚更だ。


『何にしても今年の3歳馬は超ハイレベルな世代だ。来年が楽しみだ…』

ボルトはTVの電源を切り、水を飲む。そしてボルトは今年の3歳馬達が古馬になったらどのように成長するのか楽しみだった。何故なら今年の3歳馬はトーマ、トロピカルターボ、ロレアルゴー、ゴールデンウィークの4頭がすでに古馬GⅠを勝利している。これだけ豪華なメンツが揃うのは98世代(スペシャルウィーク世代)や01世代(アグネスタキオン世代)、10世代(ヴィクトワールピサ世代)くらいだろう。いやそれ以上と言っていい。何故ならその馬達が束になっても敵わない馬がいるからだ。


その馬の名前はリセット。この馬は色々な偉業を達成したり塗り替えたりしている。その中で最も関係がある三冠馬二頭を紹介しよう。


セントライト 12戦9勝

この馬はチート。この一言に尽きる。3歳デビューかつ無敗で現在でいう皐月賞を制覇した後2戦走り1勝するとダービーはリセットが更新するまで史上最大着差だった8馬身差で優勝。その後いくらか走り現在でいう菊花賞で優勝し引退した。

…コレだけ聞くと一流の馬にしか聞こえないがセントライトが敗北した原因は全て、当時の無茶苦茶な斤量(テンポイントの事件以来ようやく改定)によるものである。何せ敗れた馬に対して8kg以上も思い斤量で走っており、中には11kgの斤量差で走って負けたのだ。それは勝てなくても仕方ない。セントライトの走りを現代のルールで現在の人に見せたらおそらく真っ先にセントライトが史上最強馬と答えるだろう。

またリセットが更新するまでデビューから三冠達成までの日数はこの馬が最短だった。


シンザン 19戦15勝

クリフジ(シンボリルドルフ調教師推薦)、トキノミノル(テンポイント生産関係者推薦)と並ぶ日本競馬史上最強馬の一頭。三冠馬で唯一連対率100%を達成しており、GⅠにあたるビックレースでは全て負けなし。成績だけでも十分に立派なものだが、負けたレースを含めビックレース以外のレースは調教代わりだったという有様から如何にシンザンの能力が高いか理解出来るだろう。

またシンザンは東京オリンピックの年に三冠を達成しており、その次の東京オリンピックに達成したのがリセットである。


この二頭はどちらも最強馬と呼ばれるにふさわしい偉業を成し遂げ、パフォーマンスも優れている。だがリセットはそれ以上だ。圧倒的な人気や強さ、ありとあらゆる分野で頂点を極めたリセットに残されているのは下の世代の挑戦者を待つことだけだ。その挑戦者の一頭であるボルトがリセットとの対決を楽しみにするのは当たり前のことである。

この小説とは関係ありませんが夢の第11R…ロマンですよね。あそこにシンザンやセントライト、クリフジ、トキノミノル、TTG等を入れられたらと考えるだけでもゾクゾクします。

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