『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』映画評 《ネタバレ注意》
アクセスいただき、ありがとうございました。よろしければ、小生の他の作品もお読みたただけると幸いです。
①「Kの冒涜」(SF)
独立国家を名乗る軍事武装テロ集団「真日本帝国」が北海道を占拠。沖縄は独立して琉球共和国、朝鮮半島は南北統一して朝鮮民国に。極東アジアの国境が塗り替わる国家論サイバーパンクSFアクション。
②「スポーツ不要論」(エッセー)
物議を醸しだした賛否両論、人気エッセー。行政やマスコミとスポーツの関係をメッタ斬り。エッセー集「主食はビーフウエリントン」シリーズ。
③「蜜蜂男爵の館」(ホラー)
ショートショート集。ホラー、SF、ミステリー、ファンタジーなど様々なジャンルを含みます。
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を観てきた。
これまでスター・ウォーズ(以下、SW)は全作観ており、SW6とSW2以外はすべてロードショーで観ている。
自分では自分をSWオタクと自覚したことはなかったが、SWをよく知らない若い世代がいるらしいことにネットで気づいた。
多分、世の平均より自分はかなりSWオタクなのだろう。
さて、最新作SW7だが、可もなく不可もなく、といったところか。
ハン・ソロ、チューバッカ、レイア姫、R2-D2、C-3PO、そしてルークといったSW4~SW6のレギュラーメンバーが次々と登場。
特にラストのルーク・スカイウォーカーの登場シーンが秀逸だ。
宣伝ではルーク役のマーク・ハミルの太った姿が紹介されていた。かつてのイケメン主人公とはほど遠い容姿の劣化ぶりに、今回、出演しないのではないか、とニュース記事では紹介されていた。
ところが撮影前にしっかりダイエットを済ませ、まさにSW4のオビワン・ケノービーのような風格あるジェダイマスターになったマーク・ハミルのルーク。
仙人がこの世にいるとしたらこんな感じか、と思わせる納得のルックスと言っていい。
こうしたレギュラーメンバー再登場シーンは、オールドファンにはたまらないが、昔のスター・ウォーズを知らない世代が楽しめるのか、よく考えると疑問だ。
悪く言えば懐メロを楽しむ、という企画に近い。
一方、レイ、フィン、ポー、悪役のカイロ・レン、ドロイドのBB-8といった新キャラクターたちが、脱懐メロ企画を目指すべく、奮闘している。
女性のレイが主人公というのも新機軸だ。
新キャラクターたちがそれぞれ旧キャラクターの焼き直しでないところがいい。
またハン・ソロとレイア姫は離婚か別居した熟年夫婦で、しかも息子がダークサイドに落ちて家出したという設定が、大人向けホームドラマのようで奥深い。
ネットではSW4から6までが面白く、1から3が駄作だという論調が多いように思うが、実はSW4も封切りされて数年後、「ブレイドランナー」と比較されて酷評を浴びてきた経緯がある。
特に文芸評論家たちからSWシリーズは全般的に軽蔑されてきた。
最新SFXを表現するのが主目的の映画だから、ドラマとして幼稚になるのは仕方ないといった擁護論も昔からあった。
SW4ではCGを最初に使った映画だったし、SW1ではDLPプロジェクタを映画館で本格的に使用した(ほぼ)最初の映画(厳密には少しちがうかもしれないが)、という弁解ができた。
だが今回のSW7では、こうした技術上の弁解がほぼできなくなった。
封切りされたばかりのSW7は、興行主側のパブリシティーが誉める一方、ネットでは早くも批判が飛び交っている。
世の中には、万人受けするが、のめり込むには物足りないテイストがある。一方、癖があって好き嫌いはあるが、一度はまったらとことんはまるテイストがある。
SWシリーズは典型的な前者だろう。
SW7は監督がジョージ・ルーカスでなく、J・J・エイブラムスということだが、監督が交替したことを感じさせないほど、これまでの作風を忠実に再現した作品と言える。
つまり卒なく撮った、どちら様にもあたりさわりのないスター・ウォーズという感じがする。
(完)