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第4話

「宝貨を知らない?ああ、こっちの貨幣に馴染みがないのね」

「はい」

 リーゼは不思議そうな顔をしたが、すぐに得心いった。

「じゃあ・・・次は貨幣について話しましょうか。まず・・・」

 貨幣は下から鉄貨、半銅貨、銅貨、銅板、半銀貨、銀貨、銀板、半金貨、金貨、金板、宝貨と11種類存在する。

 それぞれの価値は、鉄貨10枚で銅貨、銅貨100枚で銀貨、銀貨100枚で金貨、金貨100枚で宝貨。

 半〇貨は〇貨の半分、〇板は〇貨10枚分となっている。

 因みに地球の金額に換算すると鉄貨が大体10円くらいとなる。

 つまり、コウの使用した魔導書グリモアの値段は。

「宝貨1枚1億円、10枚で10億円・・・」

 血の気が引いていく。

「大丈夫、大丈夫」

 顔が青くなっていくコウを見て、理由を察したリーゼが安心するように声をかける。

「コウをつれてくる時、ノワールドラゴンも回収したから、売れば捨て値でも宝貨100以上になるはずだから心配しなくても大丈夫よ」

 その言葉を聞いてコウは安堵する。

「じゃ、他のも、ちゃっちゃと説明しよう」

 再び講義が始まる。


 この世界のことを中心にコウとリーゼは互いに雑談しながら、講義は進んでいく。

 コウは急速に、この世界の知識を学んでいったが、講義の内容で1つ腑に落ちないことがあった。

 それはランクアップについてだ。

 ランクについて自称神様はありえないと言っていた。ランクアップの仕組みについても大雑把であるが言及していた。

 あの時はそこまで深く考えなかったが、詳しい説明を聞いてコウも疑問を覚えた。

 ランクアップする条件は3つあり。

 1.筋力、耐久、器用、俊敏、魔力のいずれかのランクが現在到達できる最高ランクであること

 2.筋力、耐久、器用、俊敏、魔力の()の合計値が、最大合計値の半分以上であること

 3.街の中心部にある『システム』と呼ばれる装置に『試練』を与えてもらい、その内容をクリアすること

 である。しかし、1.2.はともかく3.は受けた覚えがない。

 これは確かにありえないと言われても仕方がない。

 気になって『システム』についてリーゼに詳しく聞いてみると、よく分からないそうだ。

 『システム』はこの世界が生まれた時から存在し、『アビリティ』や魔法・魔術はもちろん基本アビリティの肉体の強化もこの『システム』が管理し、実行しているそうだ。

 他にもアナウンスやダンジョン関連の支援や手続きをしてくれる。

 とりあえず便利なので深く考えないようにしようという結論が二人の間になされた。


 講義が一通り終わったら、次は実技だ。

 と言ってもリーゼは魔法系の後衛なので、行うのは覚えた魔法の確認と『アビリティ』の検証だ。

 この時、ふと魔法と魔術は何か違いがあるか聞いたが。

「ない」

 と言われた。

 どちらも同じもので人や、その時の気分によって呼び方が違うだけらしい。

 そうして数日、訓練を行い。

「コウは反則だな」

 とリーゼに言われた。

 訓練と検証の結果、わかったことは、コウが覚えた魔法の内、火や風のように実体の無い物は従来通りの効果だったが、岩や氷などの固体は物質化の影響で同系統の『アビリティ』持ちと変わらないそうだ。

 他には転移の影響で空間系が、再生で回復系が強化されている。

 だが、極めつけは吸収の『アビリティ』だろう。

 体力や魔力を吸い取る魔法は存在するし、確かにそれらは強化されている。

 しかしリーゼに反則と言わさせたのは吸収できるものの種類である。

 知識を吸収するなどと言う様に、物覚えが尋常でなく早い。

 それだけなら天才や才能があるなどの言葉で片付けられるが、この世界は違う。

 この世界の住人は『システム』の支援によって、モンスターを倒すと『アビリティ』が上がる。それは、モンスターの力を吸収するからである。

 なので、コウは元の『アビリティ』の高さもあった常人の数十倍の速度で成長していくことになる。

 それを聞いたコウは。

「確かに反則ですね」

 と言って苦笑した。

 だが二人とも『戦争』に参加する以上、これは普通にありがたいことだった。

「あと生産だね」

「そうですね」

 ランクがⅥになって出現した生産についても当然検証した。

 こちらは読んで文字の如く、生産系つまり物づくりだ。

 リーゼの住まいは工房や研究室なども存在していたので、様々な物が作れた。

 武器、防具、薬、マジックアイテム、料理、衣類など様々だ。

 コウは便利だと思ったが、リーゼには呆れられた。

 普通は鍛冶、調薬など別々に『アビリティ』が存在していて、全てを一人で作れるものではないそうだ。

 生産は全て作れる分、個別の『アビリティ』より完成度が低いのではないかとリーゼは予想しているが専門ではないので、はっきりしないそうだ。

 だが、コウにとってこの『アビリティ』が一番成果があった。

 ノワールドラゴンの素材を使って武器、防具を作ったし、各種アイテムを補充することができた。

「とりあえず、教えられることはもうないわね」

 リーゼは残念そうに呟いた。

「ありがとうございました」

 コウは感謝を込めて謝辞を述べる。

「コウを成長させるには、私ではもう駄目ね。だからここに行きなさい」

 そう言って紙を手渡す。

 見ると簡単な地図と人名が書いてある。

「そこには知り合いの剣士がいるわ。剣を使うなら為になるから教えを乞いなさい。

 ついでに少し外の様子を見て、終わったら戻ってきなさい」

 慈愛に満ちた表情でコウを見る。

「はい」

 予想より早い旅立ちだが、否はない。

 少し寂しいが目的を果たすためには必要なことだと二人とも理解しているからだ。

 手早く旅支度を済ませて外に出る。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 互いにそう言って出発する。

 特に引き止めたりしない。

 いずれまた会うのだから、別れを惜しむことはしない。


 コウは振り返らず先に進む。



名前:コウ

ランク:Ⅵ

基本アビリティ:筋力Ⅵ(5021)⇒Ⅵ(5025) 耐久Ⅴ(4011) 器用Ⅳ(3601)⇒Ⅳ(3785) 俊敏Ⅳ(3887) 魔力Ⅳ(3431)⇒Ⅳ(3605)

修得アビリティ:吸収Ⅵ 物質化Ⅲ 再生Ⅴ 逆転の一撃Ⅲ 転移Ⅲ 生産Ⅰ⇒Ⅱ

称号:転生者 不死者 神の尖兵 剣士見習い 軽業師 竜殺し 中級魔術師

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