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第3話

「じゃ、説明するね」

「よろしくお願いします」

 コウの目の前には、黒髪翠目の長髪の魔女がいた。

 年のころは二十前で、とんがり帽子にローブをつけている神秘的な雰囲気を発する美女だ。

 自己紹介によると名前はリーゼで、ドラゴンとの戦闘の後、気絶したコウを運んで手当てしてくれたそうだ。

 なぜそんなことをしてくれたかというと、リーゼのもつ称号の効果で、あの自称神様と会話ができ、コウのお守りを頼んだそうだ。

「初めは乗り気じゃなかったんだけどね。ノワールドラゴン・・・ボスモンスターをソロで倒せる様なら次の『戦争』の役に立ちそうだしね」

「どうして、そこまで?」

 『戦争』に拘るのか。

 ついでに戦ったドラゴンの正式名称はノワールドラゴンのようだ。

「あんた神に『戦争』のことを聞いたんだろう」

「はい」

「なら言うがね、確かに神の駒にされるのは腹が立つ。

 神様にとっては、それこそ私たちはゲームで勝つための手札でしかない。けど私たちは生きているんだ!今!ここで!

 最初聞いたときは、やってられるかって思った。

 でも『戦争』は無くならないし、その結果は私の気持ちとは関係なく降り注ぐ。

 あんた、神に世界に与えられる『戦争』の褒章と罰則を知っているかい?」

「いいえ」

 コウは首を振る。

「褒章は神がお告げという形で、参加者に内容を聞いて実現可能なものを授ける。

 罰則はいくつかパターンがあってランダムに決まるが、大抵はボスモンスターの出現さ」

 その内容にコウが驚いた顔をする。

「わかったろ。本来、私たちは資源を得るために対峙するのはモンスターだけでいいのさ。

 なのに神の都合で強力なモンスターにも立ち向かわなくてはいけない。

 理不尽だろ。だけど、それがいやなら『戦争』で勝つしかない。

 ルールがある以上、ボスを倒すより犠牲は少ない。

 なのに他の奴らはダンジョンの探索を優先しろと言う。

 ボスがダンジョンで自然に生まれると思っている。

 『戦争』で力を入れるのは褒章目当ての浅ましいやつ。世界のことをまるで考えていない。そりゃ!どっちだい!

 あげく、真実を話してもボスを怖がる臆病者と罵る。

 現状を打破するには真実を知る者がどうにかしないといけない。

 だから、私は『戦争』に勝利し、褒章で『戦争』の中止か、それが不可能ならば真実を世界中の人に伝えることを要求するつもりだ。

 別世界から来たあんた・・・いや、コウにこんなことを頼むのは筋違いかもしれないが、お願いだ力を貸してくれ」

 リーゼは頭を下げる。

「頭を上げてください。リーゼさん、元々自称神様の依頼で『戦争』へ参加することは決めていました。なので、お世話になる身ですから、こちらこそ頭を下げなくてはいけません。

 もちろん協力は惜しみません」

「ありがとう」

 コウの言葉にリーゼは再び頭を下げる。



「では、改めてはじめましょう」

「お願いします」

 暫く経ち、リーゼがコウに授業することになる。

「まずはこれ」

 そう言ってリーゼは本棚の中から一冊の本を取り出し、コウに渡す。

 白い革張りの本で、表紙には何も書いていない。

 何となく開いてみる。

「わ!」

 すると突然、本の中から光が溢れ出し、その光はコウの胸元から体内に入ってくる。

 サラッ。

 光が収まると持っていた本が砂の様になって崩れ落ちた。


---称号:中級魔術師 を手に入れました---


 そのアナウンスと共に頭の中に魔術の使い方が流れ込んできた。

「これって」

 訳が分からずリーゼに説明を求めようと顔を向けると。

「驚いた。これって魔導書グリモアって言って、魔法・魔術が使えるようになるマジックアイテムなのよ」

 いたずらが成功したような顔で説明する。

 そもそも、この世界の魔法・魔術は技術でも学問でもない。世界の法則に則った『アビリティ』の発動だ。

 例えば火炎の『アビリティ』を持ったものなら火を操ることができるが、水や風を操ることはできない。

 だが、魔法系の『アビリティ』は強力で多くの者が欲した。しかし覚えられる『アビリティ』に限りがある上、ランダムに覚えるとあっては事実上不可能である。

 そして人々が次に目をつけたのは称号である。

 称号なら上限がない上に『アビリティ』のような効果が望めるからだ。

 そして最初は失敗しながら試行錯誤を続け完成したのが。

「魔導書というわけ」

 魔導書は魔法系の『アビリティ』を生産系の『アビリティ』で本に封じ込めたもので、封じ込めた魔法系の数だけ価値があり、得られる称号も変化する。

 称号は個人差もあるが10以下が下級魔術師、10~30が中級魔術師、30~50は上級魔術師でそれ以上は大魔術師、賢者、魔女、神官などがあるそうだ。

「もちろん魔法系の『アビリティ』持ちの人と比べると、威力も落ちるし消費魔力も多い。

 そのうえ火炎のように火なら何でもできるといった感じとは違って、魔導書にあるのは同じ火の魔術でも火を球体にして攻撃、火を前面に放射するといった一つ一つ細かく魔術を設定する必要があるのよ」

 それでも利便性が高いので、人気はあるし、値段は恐ろしく高い。

「魔術が一つしか載ってない魔導書でも金貨がいるし、砂になったこれなんか売ったら宝貨10枚は必要よ」

 そう言いながら砂になった魔導書を片付ける。

 説明を聞きながらコウは背中に嫌な汗を掻き、リーゼに質問をする。


「あの~。リーゼさん宝貨ってどのくらいの価値があるんですか?」



名前:コウ

ランク:Ⅵ

基本アビリティ:筋力Ⅵ(5021) 耐久Ⅴ(4011) 器用Ⅳ(3601) 俊敏Ⅳ(3887) 魔力Ⅳ(3427)⇒Ⅳ(3431)

修得アビリティ:吸収Ⅵ 物質化Ⅲ 再生Ⅴ 逆転の一撃Ⅲ 転移Ⅲ 生産Ⅰ

称号:転生者 不死者 神の尖兵 剣士見習い 軽業師 竜殺し 中級魔術師new


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