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第10話

「は?」

「・・・」

「ゴーレム?」

「ゴーレムかしら?」

 反応は大きく二通りに分かれた。

 棺に触れた瞬間、突然光だし空間を裂くように現れた全身金属の巨人。

 皆、ゴーレム・・・無機物を使って作り上げた人形だと思っているが、コウは違う意見を持っていた。

「ロボット?」

 全身が装甲で覆われ、左手に金属盾、右手に大砲と言っても差し支えない銃を装備し、背中には二本の巨大な大剣を担いでいる。

 極めつけは胸部の装甲が開放され操縦席らしきものまで見える。

「SFかよ」

 頭痛を感じながら、コウは眉間を指で揉む。

 三人は説明してほしそうな表情でこちらを伺う。

 その光景にまた困ったことになったと思った。

 こちらとしても事情はよく分からないのだ。

 フワ。

 考えをまとめていると棺が突然浮かび上がった。

 それを呆然と見ていると、棺はロボットの胸部に入り込んで装甲が閉まる。

 そして機械のような駆動音が鳴り始める。

「やばそうだな」

 全員、無言で肯定する。

「侵入者発見、規定ニ従イ直チニ排除ヲ開始シマス」

 ロボットから合成音声とでもいうべき擦れた声が発せられた。

 そして銃が向けられ引き金が引かれた。

 光が迸る。

「物質化、大盾。空間固定」

「三重結界」

 コウが瞬時に壁とでもいうサイズの盾を創りだし、リーゼが結界を張る。

 しかし、銃から放たれた光線は結界を引き裂き、盾を溶かし突き進む。

 それでも一瞬、速度が落ちる。

 その間隙を使って全員散開する。

「・・・」

「はっ」

「とりゃ」

 アズールが牽制に針を投げ、コウとバルは距離を詰めて斬りかかる。

「「つ!」」

 牽制目的の針はともかく、長剣も弾かれた。

「ただの金属じゃないな。竜の素材で作った剣が打ち負けるなんて普通じゃない」

 バルは体勢を立て直して、再度斬りかかる。

 今度は真正面から打ち合わず、間接など装甲が薄そうな所を中心に連撃する。

 だが、傷つきも揺るぎもしない。

「離れなさい!五条の閃光」

 光線には光線とでいうように、五つの光がロボットを打ち付ける。

「大地の牙」

 コウも追撃とばかりに、退避しながら魔法を放つ。

「束縛する鎖」

 それでも遠目にも大したダメージを与えられてないのが分かるので、リーゼは撃破ではなく拘束に切り替える。

「武装変更」

 ロボットがそう言い、銃と背中にある大剣の片方が発光し入れ替わる。

 ブン!

 空気を薙ぎ払う音と共に鎖を破壊する。

「・・・」

 鎖に気を取られている間に、背後からアズールが何かの液体の入った瓶を投げつける。

 ジュッ。

 焼けるような音と共に煙りが出る。

 酸だ。よほど強力なものなのだろう。今まで何をしても傷一つつけられなかった装甲を溶かしたのだ。

 これを喰らったのが生物ならば、苦痛で動きを制限することができたのだろう。

 しかし相手は、おそらく機械である。痛みは感じず、また動きに支障をきたすような損傷もしていない。

 ロボットは虫を払うかのように剣で薙ぐ。

 アズールは剣の側面で打たれ壁際まで吹き飛ぶ。

 三人は素早く目配せをして、リーゼを救援に向かわせる。

 回復なら再生の『アビリティ』をもつコウが向いているが、ロボットを足止めするためには前衛能力を持つ二人が残るしかない。

「バル」

「なんだ?」

「考えがある。耳を貸せ」

 そう言って策を授ける。

「いくぞ」

 その掛け声と同時に二人は動き出す。

 バルはロボットに向かって、コウは回り込むように誰もいない所へ。

「こいや」

 バルは長剣を高速で振り回しながら、手数と速度で翻弄し足止めをする。

 だが、軽い攻撃で注意は引いても倒せはしない。

 一方、コウは戦場から離れた位置で剣を床に叩きつける。

 目的は魔法陣だ。

 万一、魔法陣からエネルギー的なものを供給しているならば、これで方がつくと考えた。

 だが、ちらりと見ても止まる様子がない。

「ハズレか」

 もしくは効果が現れるまで時間が掛かるかである。

 しかし、それを確認するまで悠長に待っている暇はない。

 バルと合流するため、コウもロボットの元へ駆けつける。

「首尾は?」

「何処にも突起や押せる場所なんて見当たらないぞ」

 バルもただの足止めではなく頼みごとをしていた。

 攻撃しながら緊急停止するスイッチのようなものがないか捜してもらったが、この乱戦で探しきれないのか、元々存在しないのか見つけることができなかった。

「仕方ないか」

 もう一つ思いついた策はある。

 けれど出来れば実行したくなかった。

 方法は転移だ。

 操縦席目掛けて直接乗り込めばいい。

 一見、簡単確実に思えるが、実はかなり難しい。

 転移は座標をしっかり捕らえる。もしくはイメージする必要がある。

 なので、動いているロボットの操縦席に転移するには動きを予測しなくてはいけない。

 更に装甲があるので、直接転移先を目視することもできないのが、より転移を困難にしている。

「でも、やるしかないよな」

 バルが引き止めてくれているうちに意識を集中する。

「・・・転移」

 操縦席に向かって移動した。


「着いた」

 周りはよく分からないモニターとレバーやスイッチの数々。

 目の前にはガラスのような棺がある。

 ガラスと表現したが、よく見ると表面は濁っていて内部を見ることはできない。

 一瞬、中身が気に掛かるが、今は事態の収拾が最優先だ。

 周囲が狭いので長剣ではなく、短剣を使い突く。

 ピキィ。

 棺の表面に罅が出来る。

 手に伝わる感じとしては、ロボットの装甲よりこちらの方が硬い印象を受ける。

 だが、破壊できている。

 理由として短剣が自称神様の特製ということ、今までの戦闘で敵が強敵と認識しているので『アビリティ』の逆転の一撃が発動し、威力が高まっていることが上げられる。

 パリィィィィィン。

 ガラスが砕ける音のようなものが響いて棺が砕ける。

 そして、中身が現れる。

「は?」

 コウは混乱した。


 現れたのは眠っている赤い髪をした全裸の女性だった。



名前:コウ

ランク:Ⅵ

基本アビリティ:筋力Ⅵ(5201)⇒Ⅵ(5286) 耐久Ⅴ(4106)⇒Ⅴ(4188) 器用Ⅴ(4072)⇒Ⅴ(4130) 俊敏Ⅴ(4123)⇒Ⅴ(4208) 魔力Ⅳ(3763)⇒Ⅳ(3869)

修得アビリティ:吸収Ⅵ 物質化Ⅲ 再生Ⅴ 逆転の一撃Ⅲ⇒Ⅳ 転移Ⅲ 生産Ⅱ

称号:転生者 不死者 神の尖兵 剣士 軽業師 竜殺し 中級魔術師

ストックが無くなりました。暫く投稿できません。

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