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凡人高校生、現代ダンジョンで最強パーティーを目指す ~レベル1からの努力と絆~  作者: 寝不足魔王


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第7話 クールな転校生と、初めての共闘


朝のホームルームが終わると、すぐに休み時間になった。


俺は深呼吸をして、窓際の席に座る白峰凛のところへ歩み寄った。


クラスメイトたちの視線がチラチラと集まるのが分かる。


「えっと……白峰さん」


凛がゆっくり顔を上げた。

黒髪がサラリと揺れ、クールな瞳が俺をまっすぐ見つめる。


「昨日、廃墟ダンジョンで君を見たよ。一人で探索してたよね?」


凛は一瞬だけ目を細めた。


「……そう」


短い返事。

表情はほとんど変わらない。


クラスが少しざわついた。


「佐藤が転校生に話しかけてるぞ」

「凡人なのに勇気あるな……」


俺は少し気まずくなりながら続けた。


「俺たち、探索部で活動してるんだけど……もしよかったら、一緒にどう?」


凛は小さく首を振った。


「今は……一人で大丈夫」


それだけ言って、再び窓の外に視線を戻した。


俺は「そっか、ごめん」と小さく頭を下げて自分の席に戻った。


授業中。


数学の時間、先生が黒板に問題を書き連ねている。


俺はノートを取るふりをしながら、ちらりと凛の方を見た。


彼女は窓辺で静かに本を読んでいた。

タイトルは見えないが、厚い本だ。

指先でページをめくる仕草が、とても丁寧で、まるで大切なものを扱うようだった。


(彼女も何か抱えてるのかな……一人でダンジョンに行く理由とか)


ふと、そんなことを思った。


俺自身が凡人で何もなかった頃を思い出す。

今は花や剛がいるから頑張れるけど、凛はまだ一人なんだろう。


心の中で、少しだけ共感が芽生えた。


――放課後――


探索部室に集まった俺たち3人。


高橋先生がニコニコしながら言った。


「今日も頑張れよ! 3階層まで挑戦してみろ。装備はしっかり使え」


花が少し心配そうに微笑んだ。


「ケンタくん、凛さんのこと、どうだった?」


俺は肩をすくめた。


「話しかけたけど……『一人で大丈夫』だって」


剛が大きな声で笑った。


「クールだなあ! でもすげえ強そうだったぜ!」


花が優しく言った。


「凛さん、寂しそうだったね。もし機会があったら、声かけてあげようよ」


俺たちは頷き合い、いつもの廃墟ダンジョンへ向かった。


ゲートをくぐり、階段を下りて3階層へ。


空気が重く、壁に苔が生え、薄暗い。


「兄貴、ここから本番だな!」


剛が盾を構えて先頭に立つ。


花が俺の隣で小さく息を整える。


「ケンタくん、今日もよろしくね」


俺は「うん」と答え、集中した。


突然、前方から複数の足音が響いた。


強化ゴブリン5体と、巨大なオーク1体。


オークは棍棒を振り回し、ゴブリンたちは素早い動きで包囲してくる。


「来た! みんな、連携!」


俺が声を張った瞬間——


奥の通路から黒髪が翻った。


白峰凛。


彼女は一人でオークに斬りかかっていた。


解析の眼が光り、敵の弱点を正確に突く。


でも、数の暴力が凄まじい。


ゴブリンたちが一斉に凛を狙う。


「くっ……」


凛の動きが一瞬遅れた。


その隙にオークの棍棒が振り下ろされる。


「危ない!」


俺たちは即座に駆けつけた。


「花、右! 剛、正面! 俺は凛さんを援護!」


戦闘が始まった。


剛が鉄壁の盾でオークの攻撃を受け止める。


「うおおお! 俺が耐える!」


花が流星剣を連続で放ち、ゴブリン2体を切り倒す。


俺は凛の横に滑り込み、指揮の鼓動を発動させた。


「凛さん、俺たちと一緒に!」


凛が驚いた顔で俺を見た。


その瞬間——


俺の努力の結晶と凛の解析の眼が、ふっとシンクロした。


敵の弱点がより鮮明に、頭の中に浮かび上がる。


「今だ! オークの膝! ゴブリンは背後!」


凛が小さく頷き、癒しの光で剛のHPを回復しながら動き出す。


息が上がる。


汗が噴き出す。


腕が重い。


でも、諦めない。


「まだ……いける……!」


努力の結晶が全力で回転する。


長時間動き続け、指示を出し続け、仲間を繋ぐ。


4人の息が、初めて完全に重なった。


花の剣が閃き、剛の盾が守り、凛の解析と回復が支え、俺の指揮が全てをまとめる。


グシャッ! グシャッ! ドゴォン!


最後のオークが倒れた。


【経験値獲得】

【レベルが7に上昇しました】


静けさが戻った。


凛が息を切らしながら、俺たちを見た。


「……ありがとう」


その声は小さかったけど、初めて少しだけ柔らかかった。


花が優しく微笑んだ。


「一緒に帰らない? 凛さん」


剛が笑顔で盾を背負う。


「兄貴の指示、すげえよな! これからも一緒にやろうぜ!」


凛は少し迷うように目を伏せた。


でも、ゆっくりと頷いた。


「…少しだけ、考えてみる」


廃墟の出口から夕陽が差し込む中、俺たちは4人で並んで歩き始めた。


これが、初めての共闘だった。


そして、きっと——最強パーティーへの大きな一歩になる予感がした。

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