第3話 猪突猛進のクラスメイトと、3人目の兆し
翌日の朝。
学校へ向かう道を歩きながら、俺は昨日の公園のベンチでのことを思い出していた。
花の笑顔と、彼女の言葉。
「ケンタくんが頑張るなら、私もついていくよ!
だって、幼馴染でしょ?」
その言葉に、本当は期待していたのかもしれない。俺の胸が少しだけ温かくなった。
少し照れくさくなりながら校門をくぐると、花がちょうどタイミングよく現れた。
目が合うと、彼女はにこっと笑って手を軽く振ってきた。俺も自然と微笑み返した。
昨日一緒に戦ったことが、少しだけ俺たちを近づけた気がした。
ホームルームが終わり、授業が始まる。
歴史の授業中、後ろの席から大きな声が響いた。
「俺さ、ダンジョン行きたいんだよなー! 強くなって、かっこいい探索者になりてえ!」
大山剛。クラスで一番体が大きく、バスケ部でガタイの良いヤツだ。
いつも明るくて、声がデカい。
隣の友達が「またそんな夢みたいなこと言って」と笑っている。
俺は内心で少し苦笑した。
俺も昨日まで「凡人だから関係ない」と思っていたのに……今は違う。
――放課後――
靴箱で靴を履き替えようとすると、花が息を切らして駆け寄ってきた。
「ケンタくん! 大変! 剛くんが一人で廃墟のダンジョンに入っちゃったみたい!」
「えっ!?」
俺は慌てて花と一緒に廃墟へ向かった。
ゲートをくぐると、中から大きな叫び声が聞こえてくる。
「うおおおお! 俺が守るぞー!」
剛が木の棒を振り回しながら、スライム三体に囲まれていた。完全に猪突猛進だ。
「剛! 危ない!」
俺と花が駆けつける。
スライムの一体が剛に向かって飛びかかる。
「花、右から回って! 俺は左! 剛は真ん中で耐えてくれ!」
俺はすぐに指示を出しながら、地面の石を拾った。
体がまだ少し重い。でも、昨日より長く戦える気がする。
「努力の結晶……ここで効いてくれ!」
深く息を吸い、集中して動き続けた。
回避、攻撃、仲間への声かけ。
汗が目に入る。腕が痛い。肺が熱い。
でも、諦めない。
「まだいける……!」
花が棒を剣のように振り、剛が体を張ってスライムを引きつける。
三人で息を合わせた瞬間——
グシャッ、グシャッ、グシャッ!
スライム三体を同時に倒した。
【経験値獲得】
【レベルが4に上昇しました】
剛がへたり込みながら、目を輝かせて俺を見上げた。
「佐藤……お前すげえ! 動きも指示も完璧だったぞ!
兄貴って呼んでいいか!?」
俺は苦笑いしながら手を差し伸べた。
「兄貴は大げさだろ。でも……みんなでやれば勝てるな」
花が笑いながら頷く。
「うん! 三人でやると全然違うね!」
廃墟の外に出て、3人で近くのファミレスに寄った。
剛が興奮冷めやらぬ様子でハンバーグを頰張りながら話す。
「明日も一緒にやろうぜ! 俺、絶対強くなるから!」
花が俺を見て、柔らかく微笑んだ。
俺は小さく頷いた。
これが、俺たちのパーティーの始まりの予感がした。
家に帰り、部屋でステータスを確認する。
【努力の結晶 Lv1】
まだ始まったばかりだ。
でも、俺は確信した。
最強パーティーを目指す——その第一歩が、今、踏み出された。




