第9.5話 初めての4人親睦会
―― 学校の放課後、探索部室 ――
パーティー結成からちょうど1日後。
探索部室で片付けをしていると、花が突然手を挙げた。
「ねえみんな! せっかく4人になったんだし、今日初めての親睦会しよー!
学校近くのファミレスでどう? 先生にも声かけておいたよ!」
剛が目を輝かせて即答した。
「いいねえ! 俺、ハンバーグ大盛り頼むぜ!」
凛が少し驚いた顔をしたけど、すぐに小さく頷いた。
「…私も、行きます」
俺は笑顔でみんなを見回した。
「じゃあ決定! 最強パーティーの初親睦会だな」
―― 学校近くのファミレス、夕方6時 ――
ファミレスの窓際の4人テーブルに着いた。
高橋先生も少し顔を出して「今日は俺は顔だけな。みんなゆっくり楽しめよ!」と笑って帰っていった。
メニューを開くと、花が元気に注文をまとめる。
「私はストロベリーパフェとアイスティー! 凛さんは?」
凛が少し迷ってから答えた。
「…アップルパイと紅茶をお願いします」
剛は迷わず「ハンバーグ大盛り&コーラ! 兄貴は何にする?」
俺は「俺はオムライスとコーヒーかな」と笑った。
注文が来て、テーブルがいっぱいになった瞬間から会話が弾んだ。
剛がフォークを振り回しながら話し始めた。
「俺さ、最初にダンジョン行った時、スライムに足滑らせて転んで顔面から突っ込んだんだぜ! 兄貴に助けてもらったのがきっかけだよなあ」
みんなが大笑い。
花が手を叩いて続ける。
「私も文化祭の準備で剣の素振り練習してたら、先生に『部活じゃないんだから!』って怒られたの! 今思うと恥ずかしいよね」
凛が紅茶を一口飲んで、静かに微笑んだ。
「…私は、昔は一人でしかダンジョンに行けなくて…
失敗しても笑ってくれる人がいなくて、いつも黙って帰ってた」
テーブルが少し静かになった。
俺は自然と自分の話をした。
「俺なんて本当に凡人だったよ。レベル1でスライム相手に必死で石投げて…
でも花や剛、そして凛と出会って、努力の結晶が目覚めて変われた。
みんながいるから頑張れるんだ」
剛がコーラをぐいっと飲んで笑った。
「兄貴の努力見てると俺も燃えるぜ!」
花が明るく手を伸ばして凛の手を軽く握った。
「これからは失敗してもみんなで笑い合おうね!」
凛の目が少し潤んで、初めて本当に柔らかい笑顔になった。
―― ファミレス、女子トークタイム ――
デザートが来て少し落ち着いた頃、花が凛を女子トイレに誘った。
「凛さん、少しおしゃべりしよ!」
トイレの前で並んで手を洗いながら、花が明るく言った。
「凛さん、今日来てくれて本当に嬉しいよ。
私、凛さんみたいにクールで強い人がいて、なんか安心するんだ」
凛が鏡越しに少し照れくさそうに微笑んだ。
「…花さんみたいに明るくて優しい人がいて、本当に嬉しいです。
これからも、よろしくお願いします」
二人は自然と笑い合い、固い絆を感じていた。
―― ファミレス出口、夜7時半 ――
ファミレスを出ると、夜の風が気持ちよかった。
4人で並んで歩きながら、花が言った。
「今日、すごく楽しかった! またすぐやろうね!」
剛がガッツポーズ。
「次は俺が全部おごるぜ!」
凛が静かに、でもはっきりと言った。
「…私も、楽しみです」
俺は3人の後ろを少し歩きながら、心の中で実感した。
(この4人なら、本当に最強パーティーになれる)
―― 夜、自宅リビング ――
家に帰ると、弟のゆうたが玄関で待っていた。
「兄ちゃん! 4人親睦会どうだった!? 動画撮ってきた!?」
俺は笑って頭を撫でた。
「楽しかったよ。みんな最高の仲間だ」
母の恵子さんがキッチンから温かい声をかけてくれた。
「健太、友達が増えて本当によかったわね。
これからもみんなで頑張ってね」
俺はステータス画面をそっと開いた。
【努力の結晶 Lv2】
パーティー共有効果が少しずつ強くなっている。
今日のほのぼのとした時間も、俺たちの絆を確実に強くしてくれていた。
最強パーティーの物語は、まだ始まったばかりだ。




