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臍の緒
生まれてゆくようだと、
思いながら。
坂道をくだる。
トンネルを抜けると。
ずっと向こうに。
真白く。
ひときわ高い、連なりが。
どこより明るく、光っている。
ひとすじの。
細長い雲は降りて。
空に浮かぶ、平らな白さと。
大きな背に、被さる白さを。
繋いでいる。
街は。
薄霧に包まれて。
山なみの、輪のなか。
青い器に満ちている、
水のような、なだらかさ。
潜って行くから。
やがては蒸気になり。
戻ることは無いけれど。
景色を見に。
やって来たんだ。
それでいいんだ。
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